日本国憲法第29条
日本国憲法第29条
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 09:06 UTC 版)
「プログラム規定説」の記事における「日本国憲法第29条」の解説
日本国憲法第29条第3項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」と規定する。しかし、私有財産を公共のために用いることを定める法律が補償規定を欠いている場合をめぐって憲法第29条3項の法的性格に関する争いがある。 この論点についても憲法29条3項はいわゆるプログラム規定であるとする学説がある。 しかし、判例や多数説はこのような立場をとっていない。最高裁は河川附近地制限令事件の判決で、河川附近地制限令第4条について「同条に損失補償に関する規定がないからといって、同条があらゆる場合について一切の損失補償を全く否定する趣旨とまでは解されず、本件被告人も、その損失を具体的に主張立証して、別途、直接憲法二九条三項を根拠にして、補償請求をする余地が全くないわけではない」として憲法29条3項に基づいて直接補償請求をすることを認めている(最大判昭和43年11月27日刑集第22巻12号1402頁)。また、この判決を契機に学説でも補償請求権を憲法上の具体的権利と解することが一般的に承認されるに至っている。
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