憲法第29条3項の法的性格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 23:14 UTC 版)
「損失補償」の記事における「憲法第29条3項の法的性格」の解説
私有財産を公共のために用いることを定める法律が補償規定を欠いている場合をめぐって憲法第29条3項の法的性格に関する争いがある。 プログラム規定説(立法指針説)憲法29条3項はいわゆるプログラム規定であるとする学説。 違憲無効説補償規定を欠く法律は憲法29条3項に照らして違憲無効であるとする学説。 請求権発生説法律が補償規定を欠く場合には憲法29条3項に基づいて直接補償請求をすることができるとする学説。 通説・判例は補償が憲法上必要であるにもかかわらず法律が補償規定を欠くときは憲法上直接に損害補償請求権が発生するとしている。 判例では、最高裁が河川附近地制限令事件の判決で、河川附近地制限令第4条について「同条に損失補償に関する規定がないからといって、同条があらゆる場合について一切の損失補償を全く否定する趣旨とまでは解されず、本件被告人も、その損失を具体的に主張立証して、別途、直接憲法二九条三項を根拠にして、補償請求をする余地が全くないわけではない」として憲法29条3項に基づいて直接補償請求をすることを認めた(最大判昭和43年11月27日刑集第22巻12号1402頁傍論)。この判決を契機に学説でも補償請求権を憲法上の具体的権利と解することが一般的に承認されるに至っている。
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