憲法第67条問題とは? わかりやすく解説

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憲法第67条問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 08:55 UTC 版)

在廷ノ臣僚及帝国議会ノ各員ニ告ク詔勅」の記事における「憲法第67条問題」の解説

大日本帝国憲法第67条」および「第1回帝国議会」も参照 大日本帝国憲法公布され実際に施行されていく過程において、1つ重要な問題生じていた。 第64国家歳出歳入毎年予算ヲ以テ帝国議会協賛ヲ経ヘシ 予算款項超過シ又ハ予算ノ外ニ生シタル支出アルトキハ後日帝国議会承諾ヲ求ムルヲ要ス 第67憲法上ノ大権ニ基ツケル既定歳出法律結果ニ由リ又ハ法律上政府義務ニ属スル歳出政府同意ナクシテ帝国議会之ヲ廃除シ又ハ削減スルコトヲ得ス 大日本帝国憲法においては予算は「帝国議会協賛賛同)を得なければならない」(第64条)とされており、帝国議会必要に応じてこれに修正加える事ができた。しかし、その一方で67条に掲げる「法律上政府義務ニ属スル歳出」(以下、「義務的経費」とする)については、政府了承を得ない限り帝国議会予算案削減をする事ができないものとされた。 ところが、憲法に規定された「義務的経費」が具体的にどのような経費相当するかについては、これを定義づけた法的規定がなかったため、政府民党の間でその範囲めぐって激しい対立生じた。これが第67問題である。政府は「富国強兵」の推進のため、議会によって予算削減される事態を防ぐため、その範囲できるだけ広く解釈しようと図り逆に民党公約掲げていた「民力休養」を実現させるために削減できる予算増やしてその分地租削減にまわす構想政費節減)を打ち出していたので、その範囲できるだけ狭めようとした。なお、当時実際財政において大きな割合占め公債費が第67条によって削減不可能な義務的経費であるという点については民党側も争う余地がないとしていた。残り経費について、何が義務的経費」にあたるのか、1890年明治23年)の第1回帝国議会以来政府側と民党側の主張激しく対立していたのである。 特に政府は、清との関係緊迫化から海軍増強至急課題として位置付けて人件費とともに軍事費義務的経費組み込むことを主張していた。一方民党は、海軍増強必要性認めつつも、海軍含めて各省庁に無駄が多いとして人件費削減して政府人員経費などの行政整理迫り人件費軍事費義務的経費化には否定的な姿勢示していた。第1回帝国議会において政府は、予算削減応じ代わりに人件費義務的経費化を事実上認めさせた。なお、同議会において1891年明治24年2月20日天野若円大成会)が提出した衆議院が第67関連予算削減審議する際には事前に政府了解を得るという決議吏党自由党土佐派賛成いわゆる土佐派の裏切り」)によって衆議院可決され政府もこれを了承した。これは一見帝国議会における予算削減権限自主的に制約たようにもみえるが、裏を返せば予算先議権がある衆議院政府合意した予算削減貴族院がさらに修正加え余地をも奪うもので、衆議院予算審議における貴族院対す優越権議会慣習のかたちで事実上確立したものとなった軍事費問題については結局先送りされ結果的に第2回帝国議会における樺山資紀海軍大臣の「蛮勇演説」へとつながった

※この「憲法第67条問題」の解説は、「在廷ノ臣僚及帝国議会ノ各員ニ告ク詔勅」の解説の一部です。
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