日本国憲法第76条とは? わかりやすく解説

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日本国憲法第76条

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/21 05:59 UTC 版)

(にほんこく〈にっぽんこく〉けんぽうだい76じょう)は、日本国憲法第6章にある条文の1つであり、司法権裁判所特別裁判所の禁止、裁判官の独立について規定している。


注釈

  1. ^ しかし、日本の裁判所においては、最高裁判所事務総局という司法行政の中枢機関が全ての裁判官の人事権を独占しており、最高裁判所事務総局は行政の方針に批判的な判決を書いた裁判官を過疎地の小さな裁判所へ左遷するなど、人事面や給与面において裁判官たちに様々な拘束や圧力をかけているため、日本の裁判官たちが実際に「良心に従い独立してその職権を行う」ことは極めて困難であり、ほとんどの裁判官は最高裁判所事務総局による左遷を恐れて、最高裁判所の意向に沿った権力者側に都合の良い判決だけを書き続けなければならず、日本国憲法第76条第3項は最高裁判所事務総局によって完全に死文化されているとする批判も多い[1]。実際に最高裁判所事務総局での勤務経験を有する元裁判官で明治大学法科大学院教授の瀬木比呂志は、日本国憲法第76条第3項の現実について「すべて裁判官は、最高裁と事務総局に従属してその職権を行い、もっぱら組織の掟とガイドラインによって拘束される」と表現している(瀬木比呂志著『絶望の裁判所』114~115ページ)。なお、欧米諸国の裁判所においては、真の意味で裁判官の独立を保証するため、日本のような上層部機関の命令による裁判官の転勤制度は存在せず、裁判官のポストに空席が生じた場合の後任については応募制となっている。

出典

  1. ^ カレル・ヴァン・ウォルフレン著:『日本/権力構造の謎』(早川書房)、木佐茂男宮澤節生佐藤鉄男川嶋四郎水谷規男・上石圭一共著:『テキストブック 現代司法』(日本評論社)、安倍晴彦著:『犬になれなかった裁判官 司法官僚統制に抗して36年』(NHK出版)、西川伸一著:『日本司法の逆説 最高裁事務総局の「裁判しない裁判官」たち』(五月書房)、井上薫著:『狂った裁判官』(幻冬舎新書)、生田暉雄著:『裁判が日本を変える!』(日本評論社)、ダニエル・フット著:『名もない顔もない司法 日本の裁判は変わるのか』(NTT出版)、新藤宗幸著:『司法官僚 裁判所の権力者たち』(岩波新書)、デイヴィッド・ロー著:『日本の最高裁を解剖する アメリカの研究者から見た日本の司法』(現代人文社)、森炎著:『司法権力の内幕』(ちくま新書)、瀬木比呂志著:『絶望の裁判所』(講談社現代新書)、瀬木比呂志著:『ニッポンの裁判』(講談社現代新書)、生田暉雄著:『最高裁に「安保法」違憲判決を出させる方法』(三五館)、週刊ダイヤモンド2017年2月25日号特集:『弁護士 裁判官 検察官 司法エリートの没落』(ダイヤモンド社)、瀬木比呂志・清水潔共著:『裁判所の正体 法服を着た役人たち』(新潮社)、別冊宝島2594:『弁護士 裁判官 検察官 司法が危ない』(宝島社)、岡口基一著:『裁判官は劣化しているのか』(羽鳥書店)、磯村健太郎・山口栄二共著:『原発に挑んだ裁判官』(朝日文庫)、岩瀬達哉著:『裁判官も人である 良心と組織の狭間で』(講談社)、週刊東洋経済2020年11月7日号特集:『文系エリートの頂点 仕事とお金のリアル』(東洋経済新報社)、週刊東洋経済2023年9月9日号特集:『揺らぐ文系エリート 弁護士 裁判官 検察官』(東洋経済新報社)など多数


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