知的財産高等裁判所とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 組織・団体 > 政治組織 > 政府 > 日本の国家機関 > 知的財産高等裁判所の意味・解説 

ちてきざいさん‐こうとうさいばんしょ〔‐カウトウサイバンシヨ〕【知的財産高等裁判所】

読み方:ちてきざいさんこうとうさいばんしょ

知的財産についての訴訟専門的に扱う裁判所特許庁下した審決対す不服申し立て第一審特許権実用新案権著作権など民事訴訟控訴などを担当する昭和25年1950設置東京高等裁判所第五特別部始まり平成17年2005)知的財産高等裁判所通常部、特別部として新発足。知財高裁


知的財産高等裁判所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/18 10:04 UTC 版)

日本高等裁判所支部
知的財産高等裁判所
支部長 本多知成
組織
管轄区域 日本[注 1]
本庁 東京高等裁判所
上位裁判所 最高裁判所
下位裁判所 技術型
東京地方裁判所
大阪地方裁判所
非技術型
東京地方裁判所
水戸地方裁判所
宇都宮地方裁判所
前橋地方裁判所
さいたま地方裁判所
千葉地方裁判所
横浜地方裁判所
新潟地方裁判所
甲府地方裁判所
長野地方裁判所
静岡地方裁判所
概要
所在地 〒153-0061(専用: 153-8537)
東京都目黒区中目黒2丁目4-1
北緯35度38分29.94秒 東経139度42分10.97秒 / 北緯35.6416500度 東経139.7030472度 / 35.6416500; 139.7030472座標: 北緯35度38分29.94秒 東経139度42分10.97秒 / 北緯35.6416500度 東経139.7030472度 / 35.6416500; 139.7030472
法人番号 1000013020001
設置 2005年平成17年)4月1日
知的財産高等裁判所
2022年10月11日に現在の所在地(知的財産高等裁判所・東京地方裁判所中目黒庁舎)に移転された。
以前の所在地は東京都千代田区霞ヶ関一丁目1番4号
テンプレートを表示

知的財産高等裁判所(ちてきざいさんこうとうさいばんしょ)は、東京都目黒区にある東京高等裁判所の支部。略称は、知財高裁(ちざいこうさい)。

知的財産に関する事件を専門に取り扱う東京高等裁判所の特別の支部[注 2][1][2][3][4]知的財産高等裁判所設置法(平成16年法律第119号)に基づき、2005年平成17年)4月1日に設立[5][1]

組織

知的財産高等裁判所は、2005年(平成17年)4月1日、裁判官18人、裁判所調査官11人、その他書記官、事務局職員を合わせて51人の体制で始められた[5][1][2]。このほか専門的な知見に関する意見を求めるため、非常勤の専門委員が事件に関与する[5]

  • 所長
  • 裁判部門
    • 特別部(大合議部)
    • 通常部
      • 第一部
      • 第二部
      • 第三部
      • 第四部
  • 事務部門
    • 知的財産高等裁判所事務局-裁判官会議
      • 庶務第一課
      • 庶務第二課

取扱い事件

審決取消訴訟

特許庁が行った審決に対する不服申立てとしての審決取消訴訟は知的財産高等裁判所が全国の事件をすべて取り扱う(知的財産高等裁判所設置法2条2号、特許法178条1項等)。この審決取消訴訟については知的財産高等裁判所が第一審となる。

知的財産権関係民事事件

民事控訴事件

技術型(すべて知的財産高等裁判所が取り扱う)
技術型事件とは、特許権実用新案権、半導体集積回路の回路配置利用権、プログラムの著作物についての著作者の権利に関する訴訟事件のこと。
技術型事件の第一審は、東京地方裁判所または大阪地方裁判所の管轄に属する。そして、民事控訴事件(民事事件の控訴審)のうち、技術型事件の控訴事件は東京高等裁判所の専属管轄に属し(民事訴訟法6条3項)、東京高等裁判所の「特別の支部」である知的財産高等裁判所が全国の事件をすべて取り扱う(知的財産高等裁判所設置法2条1号)。
非技術型(各高裁が取り扱う。知財高裁は東京高裁の管轄事件のみ取り扱う)
非技術型事件とは、意匠権商標権、著作者の権利(プログラムの著作物についての著作者の権利を除く)、出版権、著作隣接権育成者権、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴えに関する訴訟事件のこと。
非技術型事件の第一審は全国の地方裁判所の管轄に属する。そして、民事控訴事件のうち、非技術型事件の控訴事件については第一審を取り扱った各地方裁判所に対応して全国8か所にある高等裁判所が管轄を有している。そのため、東京高等裁判所の管轄に属する事件のみを知的財産高等裁判所が取り扱う(知的財産高等裁判所設置法2条1号)。

その他の事件

東京高等裁判所の管轄に属する民事事件及び行政事件のうち、主要な争点の審理につき知的財産権に関する専門的な知見を要する事件は知的財産高等裁判所が取り扱う(知的財産高等裁判所設置法2条3号)。

沿革

  • 1950年昭和25年)11月 - 昭和 23年の特許法の改正により、東京高等裁判所を専属管轄とする審決取消訴訟制度が定められたことを契機として,東京高等裁判所に知的財産部として、第5特別部が設立される。後に、民事通常部の第6民事部、第13民事部、第18民事部、第3民事部を知的財産権関係事件の専門部とする。
  • 1961年(昭和36年)- 東京地方裁判所に知的財産部を開設する。平成17年4月1日現在、東京地裁には知的財産権関係事件を取り扱う専門部が4箇部ある。
  • 1964年(昭和39年) - 大阪地方裁判所に知的財産部を開設する。平成17年4月1日現在、大阪地裁には、知的財産権関係事件を取り扱う専門部が2箇部ある。
  • 1990年平成2年) - 大阪高等裁判所に知的財産部を開設する。2005年(平成17年)4月1日現在、大阪高裁には知的財産権関係事件を取り扱う集中部が1箇部ある。
  • 1996年8月(平成8年) - 民事訴訟法等の一部を改正する法律が成立する(特許等に関する訴えの競合管轄化等を内容とする)。
  • 2001年(平成13年)6月 - 1999年(平成11年)7月 に設置された司法制度改革審議会が「意見」を公表し、「知的財産権関係事件への総合的な対応強化」の具体的方策として、裁判所の専門的処理体制の強化を目的とする様々な提言をした。
  • 2001年(平成13年)12月 - 司法制度改革推進本部が設置される(2004年11月まで)[6]
  • 2002年(平成14年)2月 - 小泉首相施政方針演説で、歴代総理として初めて知的財産権の重要性に言及。
  • 2002年(平成14年)7月 - 同年3月に設置された知的財産戦略会議が、知的財産戦略大綱を決定し、東京地裁や大阪地裁の専門部を実質的に「特許裁判所」として機能させるため、両裁判所に専属管轄を創設することなどの様々な課題が提示された。
  • 2002年(平成14年)10月 - 知的財産訴訟検討会を開催する。
  • 2003年(平成15年)3月 - 知的財産基本法(平成14年法律第122号[7])が施行される[8]知的財産戦略本部が発足する[9]
  • 2003年(平成15年)7月 -「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」が決定される[10]。民事訴訟法等の一部を改正する法律が成立する(特許等に関する訴えの専属管轄化、専門委員制度の導入等を内容とする)[11]
  • 2004年(平成16年)4月 - 東京高裁で知財関係事件を取り扱っていた4つの民事通常部(第6民事部、第13民事部、第18民事部、第3民事部)を、第1から第4の「知的財産部」に名称を変更する。また、東京高裁に知的財産大合議部としての「第6特別部」(5人の裁判官による大合議制)を創設する。
  • 2004年(平成16年)6月 - 知的財産高等裁判所設置法が成立する[12]
  • 2005年(平成17年)4月 - 知的財産高等裁判所が設立される[5][1]

東京高裁にあった第1知的財産部から第4知的財産部の4箇部を「通常部」とし、第6特別部を「大合議部」とする。

歴代所長

(任期の後ろは後職)

その他の裁判官

第一部

  • 本多知成
  • 伊藤清隆
  • 天野研司

第二部

  • 清水響
  • 菊池絵理
  • 頼晋一

第三部

  • 中平健
  • 今井弘晃
  • 水野正則

第四部

  • 増田稔
  • 岩井直幸
  • 安岡美香子

(2025年5月30日現在)[26]

脚注

注釈

  1. ^ 知的財産権事件のうち、非技術型は東京高等裁判所管轄地域のみ。
  2. ^ 特別の支部の意義について、司法制度改革推進本部事務局長山崎潮は、参議院法務委員会(平成16年6月03日)において、「裁判所法上の支部でございますけれども、独自の司法行政の事務あるいは事務局等を有するとともに、その設置の根拠を法律に求めるという点で通常の支部とは異なるということでございまして、その意味で「特別の支部」というふうに表現をしております。通常の支部は裁判所が自ら、どこに支部を置くということを自らの判断で定めることができるようになっておりますけれども、この点については裁判所の判断というよりも法律で決めてしまう、こういうような特別の支部だと、こういう位置付けでございます。」と説明している。日本国憲法第76条にいう特別裁判所にはあたらない。

出典

  1. ^ a b c d 知財高裁が発足 ネット使い海外発信も」『朝日新聞朝日新聞社、2005年4月1日。オリジナルの2005年4月3日時点におけるアーカイブ。2025年6月17日閲覧。
  2. ^ a b 「一太郎」特許訴訟、大合議部で審理へ 知財高裁」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年5月9日。オリジナルの2005年5月10日時点におけるアーカイブ。2025年7月18日閲覧。
  3. ^ 知財高裁、大合議法廷で初審理 「一太郎訴訟」で」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年6月3日。オリジナルの2005年6月5日時点におけるアーカイブ。2025年7月18日閲覧。
  4. ^ 詳報:「松下の特許、先行発明があり無効」、一太郎訴訟で知財高裁」『日経BP日本経済新聞社、2005年9月30日。オリジナルの2005年12月25日時点におけるアーカイブ。2025年7月18日閲覧。
  5. ^ a b c d e 知的財産高裁の初代所長に篠原勝美氏」『読売新聞読売新聞社、2005年3月9日。オリジナルの2005年3月11日時点におけるアーカイブ。2025年6月17日閲覧。
  6. ^ 司法制度改革について”. 法務省. 2025年6月17日閲覧。
  7. ^ 知的財産基本法”. 衆議院 (2002年12月4日). 2025年6月17日閲覧。
  8. ^ 知的財産基本法の施行の状況及び今後の方針について”. 首相官邸 (2006年2月24日). 2025年6月17日閲覧。
  9. ^ 知的財産戦略本部”. 首相官邸. 2025年6月17日閲覧。
  10. ^ 知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画”. 首相官邸. 2025年6月17日閲覧。
  11. ^ 第156回国会(常会)民事訴訟法等の一部を改正する法律案”. 参議院 (2003年7月16日). 2025年6月17日閲覧。
  12. ^ 知的財産高等裁判所設置法”. 衆議院 (2004年6月18日). 2025年6月17日閲覧。
  13. ^ 詳細 | 国・独立行政法人 - 政府公共調達データベース”. ジェトロ. 2022年4月7日閲覧。
  14. ^ 「ビジネス裁判所」誕生へ 審理、より速く”. 日本経済新聞 (2017年11月20日). 2022年4月7日閲覧。
  15. ^ 知財高裁の篠原初代所長が会見 「食らいついていく」」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年4月1日。オリジナルの2005年4月3日時点におけるアーカイブ。2025年7月18日閲覧。
  16. ^ 裁判官検索:篠原勝美”. 新日本法規WEBサイト. 新日本法規出版株式会社. 2025年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月17日閲覧。
  17. ^ 裁判官検索:塚原朋一”. 新日本法規WEBサイト. 新日本法規出版株式会社. 2025年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月17日閲覧。
  18. ^ 裁判官検索:中野哲弘”. 新日本法規WEBサイト. 新日本法規出版株式会社. 2025年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月17日閲覧。
  19. ^ 【人事】最高裁」『MSN産経ニュース産業経済新聞社、2012年3月12日。オリジナルの2012年3月12日時点におけるアーカイブ。2012年3月12日閲覧。
  20. ^ 裁判官検索:飯村敏明”. 新日本法規WEBサイト. 新日本法規出版株式会社. 2025年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月17日閲覧。
  21. ^ 裁判官検索:設樂隆一”. 新日本法規WEBサイト. 新日本法規出版株式会社. 2025年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月17日閲覧。
  22. ^ 裁判官検索:清水節”. 新日本法規WEBサイト. 新日本法規出版株式会社. 2025年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月17日閲覧。
  23. ^ 裁判官検索:高部眞規子”. 新日本法規WEBサイト. 新日本法規出版株式会社. 2025年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月17日閲覧。
  24. ^ 「安心な生活に尽力」 高部新長官が着任会見 高松高裁 /香川」『毎日新聞毎日新聞社、2020年10月27日。2025年6月17日閲覧。
  25. ^ 裁判官検索:大鷹一郎”. 新日本法規WEBサイト. 新日本法規出版株式会社. 2025年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月17日閲覧。
  26. ^ 法廷担当表:知財高裁の案内:知的財産高等裁判所

関連項目

外部リンク


知的財産高等裁判所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 14:39 UTC 版)

全員法廷」の記事における「知的財産高等裁判所」の解説

知的財産高等裁判所の特別部大合議部)には5人の裁判官全員による大合議制度がある(民事訴訟法310条の2)。

※この「知的財産高等裁判所」の解説は、「全員法廷」の解説の一部です。
「知的財産高等裁判所」を含む「全員法廷」の記事については、「全員法廷」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「知的財産高等裁判所」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「知的財産高等裁判所」の関連用語

知的財産高等裁判所のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



知的財産高等裁判所のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの知的財産高等裁判所 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの全員法廷 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS