産業上の利用可能性とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 人文 > 概念 > 可能性 > 産業上の利用可能性の意味・解説 

産業上の利用可能性(さんぎょうじょうのりようかのうせい)


”産業上の利用可能性”とは、発明産業上利用可能であることをいう。産業上利できない発明特許を受けることができない特許法29柱書)。たとえば、人体対象とした治療方法は、産業上の利用可能性が無く特許対象ならないとされている。ただし、治療装置であれば、産業上の利用可能性があり、特許なり得るとされている。

執筆弁理士 古谷栄男)

産業上の利用可能性

「産業上の利用可能性」とは、特許法上、保護を受ける発明条件1つ発明技術実施した製品サービスなどの市販もしくは営業行為が行えるかどうかを指す。
たがって個人的に利用すること、学術的にのみ利用することは特許を得ることは出来ないまた、「産業上の利用可能性」を証明するために、明細書には、どのような産業上の利用用途があるか、明示する必要がある

産業上の利用可能性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 14:51 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

特許法において、産業上の利用可能性(さんぎょうじょうのりようかのうせい、industrial applicability)とは、発明が産業に利用できるものであることをいう。発明について特許を受けるための要件の一つである。

解釈

発明の産業上の利用可能性をいうときの産業(industry)には、狭い意味の産業すなわち工業だけでなく、商業、農業なども含まれる。医業(医療)は産業に含まれるとする国と、含まれないとする国がある。

発明された物の製造販売や発明された方法の利用が、現在採算がとれないとしても、その発明の産業上の利用可能性は否定されない。

また、発明の物それ自体は、全く個人的にしか利用できないものであっても、それを製造販売する業者が考えられる限りは、その発明は産業上の利用可能性を有する。例えば、玩具それ自体は産業に利用できないものであるとしても、玩具を製造販売する産業が成り立ち得る以上、玩具の発明は産業上の利用可能性を有する。

全く個人的にしか利用できない発明は、産業上の利用可能性がない。例えば玩具の使用方法の発明は、産業上の利用可能性がない発明とされるかもしれない。また、従来知られておらず、したがって用途もなかった化合物の発明は、出願人が少なくとも一つの用途を示さない限り、産業上の利用可能性がないとされる。

日本

日本の特許法は、第29条第1項柱書で、発明について特許を受けるには産業上の利用可能性が必要であることを規定している。また、日本国特許庁の『特許・実用新案審査基準』によれば、人を手術、治療または診断する方法の発明は、産業上の利用可能性がないと解するとされている。

なお、人を手術、治療または診断する方法の発明は産業上の利用可能性がないという解釈には無理があるという意見もある(相澤英孝『バイオテクノロジーと特許法』78頁(弘文堂,1994)、中山信弘『工業所有権法(上)特許法』116-117頁(弘文堂,第2版増補版,2000)など。 また、医療行為の特許性に関する裁判例として、東京高判平成14年4月11日がある。)。

米国

産業上の利用可能性に相当する規定として、米国特許法101条は、方法、機械、製造物、組成物、またはこれらの新規かつ有用な改良を特許可能な発明として挙げている。

また、医療分野に係る方法全般も特許の対象とされている。ただし、医師等による医療行為には原則として特許権を行使することができない旨が規定されている(米国特許法第287条(c)(1))。

欧州

欧州の特許法では、特許を受けるためには発明に産業上の利用可能性が必要である(欧州特許条約第52条(1))。人や動物の体の処置方法や診断方法は産業上の利用可能性を有する発明ではない(欧州特許条約第52条(4))。農業を含むいずれかの種類の産業において生産または使用できる発明は、産業上の利用可能性を有する(欧州特許条約第57条)。

関連記事


「産業上の利用可能性」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



産業上の利用可能性と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「産業上の利用可能性」の関連用語

産業上の利用可能性のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



産業上の利用可能性のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
古谷国際特許事務所古谷国際特許事務所
(C)1992-2025 FURUTANI PATENT OFFICE
アヴィスアヴィス
Copyright(C)Avice,Inc. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの産業上の利用可能性 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS