成田空港予定地の代執行とは - わかりやすく解説 Weblio辞書

成田空港予定地の代執行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2023/06/20 08:15 UTC 版)

成田空港予定地の代執行（なりたくうこうよていちのだいしっこう）は、1971年（昭和46年）に新東京国際空港（現・成田国際空港）建設予定地で公共用地の取得に関する特別措置法・土地収用法・行政代執行法に基づき実施された、未買収地への行政代執行^{[注釈 1]}である。

脚注

根拠法令

^ 土地収用法第20条
^ 土地収用法第102条の2第2項
^ 行政代執行法第2条
^ 土地収用法第35条
^ 公共用地の取得に関する特別措置法第2条
^ ^a ^b ^c 公共用地の取得に関する特別措置法第20条
^ 土地収用法第95条
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g 行政代執行法第3条
^ 土地収用法第18条
^ 土地収用法第26条
^ 公共用地の取得に関する特別措置法第4条
^ 公共用地の取得に関する特別措置法第10条

注釈

^ ^a ^b 正式な法律用語ではないが、「強制代執行」と俗称され、NHKを含むマスコミにおいても用いられる^[1]^[2]。
^ 交渉を担当していた元空港公団職員は、一般大衆が反対運動に加担したのはマスコミによる成田美化キャンペーンの影響によるものとしながらも、民家への強制収用が行われた（後述）小泉よねの土地は道路に使用されており、その道路を迂回させれば強制収用は空港建設の上で必ずしも必要なものでなかったとしている^[7]。当時の千葉県知事であった友納武人も、農家の収用を懸念し空港公団側と議論したが、過激派学生が地下壕を掘って拠点としておりどうしても交渉ができない、空港ターミナルビルの入り口に当たるとされ、対象地から外せなかったとしている^[8]。また別の公団OBは、強制収用について「開港のため、どうしても必要な措置だった」としながらも、「強硬手段を用いた結果、過激派に暴力で抵抗する大義名分を与えてしまった」と述べている^[9]。
^ 成田市駒井野字広田、字張ヶ沢などの原野及び山林であり、第1〜6地点と呼称された^[16]。
^ 友納は「これらはほとんどがけのような無価値な土地で、農作物が一本たりとも生えていない。しかも六カ所の土地が合計で四五〇坪しかない。それを六カ所に分けて、代議士だとかいろいろな人が所有している。こういったものは、農地だとか農家だとかと違いますし、話し合いで解決できないだろうという意味で、私は代執行しました」と当時の考えを述べている^[20]。
^ 投石を行った野次馬の中には、当初の空港建設予定地であった富里村から駆け付けた法被姿の消防団や空港建設工事に従事する出稼ぎ労働者がいた^[25]。
^ 小川紳介監督の『三里塚　第二砦の人々』では、日当2万円で全国から雇われたとしている^[27]。
^ ただし、公団や機動隊側は櫓を引き倒すときに一気に倒れないようにする措置等は必ず施していたという^[29]。
^ 468人とも^[32]。
^ 任意取得のため。これにより、7月26日から30日にかけて「農民放送塔」が妨害物除去仮処分で撤去された^[12]。
^ 現在の日航貨物ビル前駐機スポット付近^[39]。
^ 一坪運動地の登記簿には、成田知巳委員長以下、勝間田清一・大出俊・山口鶴男・阿部昭吾・加藤シヅエなど、国会議員55人が名を連ねていた^[40]^[41]。成田空港空と大地の歴史館では、立木トラストに使われた成田知巳と佐々木更三の明認札が展示されている。
^ 現在のA4離脱誘導路付近滑走路脇^[39]。
^ 現在のP-1駐車場内^[39]。
^ 現在の滑走路北端部^[39]。
^ 現在の空港西通り出口付近^[39]。
^ 社会党は、団結小屋も作らず簡単な天幕で済ませており、積極的守備体制が見られなかった^[23]。
^ 九十九里浜の網元から入手した揚繰網^[52]。
^ 反対派は、強度不足はやぐらに使う予定だった鉄材を団結小屋への家宅捜査で差し押さえられたためだったとしている^[54]^[55]。
^ よねは、事実上の夫の大木姓を死別後も名乗り続けていたが、法律上の姓名は「小泉よね」である^[58]。
^ 事実、事件当日に反対同盟副委員長の石橋政次が記者会見で「今後人が居住している住居などについて代執行が行われれば、死者はもっと出るかもしれない。機動隊に対するうらみは農民の中にもたくさんある。いっさいの原因は、数少ない農民を虫ケラ同然に扱う政府のやり方にある。」と述べている^[61]。
^ 公安調査庁 1993, p. 23では、警察官282人・代執行作業員7人が重軽傷を負い、反対派489人が凶器準備集合罪・公務執行妨害罪・放火罪等で逮捕されている。
^ 日経新聞の取材に対しては「犠牲者が出ることを心配していた知事としては当然のことだろうが、私としては中止してやり直した場合、将来さらに犠牲者を重ねる恐れがあることと、警察官には冷静、慎重に職務を遂行させるから既定方針通り行うことが犠牲者を生かす道ではないか」と友納に電話で伝えたと述べている^[62]。
^ 運輸省・空港公団は、開港予定期日を一番遅らせたのはパイプライン建設であったこと、当初の工事の見通しが楽観的であったことをシンポジウムにおいて認めている^[66]。
^ 世帯主を含め家族全員が借主として名前を連ねている例が大半であった^[4]。
^ 例えば、2畝26歩の土地について356人、24歩の土地について225人の借主がそれぞれ設定されていた^[4]。
^ 平和の塔の審理：3月20日（第1回）・3月29日（第2回）・4月22日（第3回）・5月4日（第4回）
反対同盟系の審理：3月23日（第1回）・3月24日（第2回）・4月27日（第3回）・5月4日（第4回）
個人の審理：3月27日^[12]
^ ただし、小泉よねの土地への代執行は20日から。

出典

^ “成田空港強制代執行”. テレビ60年特選コレクション | NHKアーカイブス. 2022年1月19日閲覧。
^ 共同通信 (2019年2月22日). “＜あのころ＞成田で強制代執行開始空港反対派農民が抵抗”. 47NEWS. 2022年1月19日閲覧。
^ 公安調査庁 1993, pp. 3–18.
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h “昭和46(行ク)2”. www.courts.go.jp. 裁判所. 2021年12月31日閲覧。
^ ^a ^b 公安調査庁 1993, p. 19.
^ ^a ^b 第65回国会衆議院議院運営委員会第10号昭和46年2月26日（PDF） - 国会会議録検索システム、2021年11月3日閲覧。
^ ^a ^b 前田 2005, pp. 112–113
^ ^a ^b 友納 1981, p. 213.
^ “成田空港管制塔占拠 /上 43年後の証言「申し訳ないが…」”. 毎日新聞 (2021年7月4日). 2021年7月3日閲覧。(要購読契約)
^ 大和田 & 鹿野 2010, p. 94.
^ ^a ^b 前田 2005, p. 107-110.
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p ^q ^r ^s ^t ^u ^v ^w ^x ^y ^z ^aa ^ab ^ac ^ad ^ae ^af ^ag ^ah ^ai 空港公団 1987, pp. 278–298.
^ ^a ^b ^c ^d 大坪 1978, pp. 102–105.
^ 第93回国会（臨時会）答弁書第三号別表四、1971年1月16日
^ 原口 2000, pp. 201–202.
^ ^a ^b シンポジウム記録集編集委員会 1995, p. 31, 資料編.
^ ^a ^b ^c 空港公団 1987, pp. 58–59.
^ 千葉県警 1989, p. 484.
^ 大坪 1978, p. 115.
^ 航空政策研究会 1973, pp. 13–14.
^ ^a ^b 福田 2001, pp. 166-168・174.
^ ^a ^b ^c ^d ^e 公安調査庁 1993, pp. 19–22.
^ ^a ^b 飯高 1976, p. 169.
^ ^a ^b ^c ^d 大坪 1978, pp. 118–119
^ 郡山吉江『三里塚野戦病院日記』柘植書房、1980年、89頁
^ 大坪 1978, pp. 117–119.
^ シンポジウム記録集編集委員会 1995, p. 282.
^ ^a ^b ^c 伊藤 2017, pp. 57–67
^ “死傷者が多数に…なぜ成田空港の反対派は過激に進んだのか”. ホウドウキョク. フジテレビ (2017年7月29日). 2019年2月1日閲覧。 “この際、反対派が乗っているヤグラをチェーンソーで切るシーンがよく映像で見られるが、公団関係者によると、必ず公団や機動隊側がヤグラの途中まで上りロープを結びつけ、更にそのロープをクレーン車に結びつけて一気に倒れないようにした上で、切る作業を続けていたという。”
^ 隅谷 1996, p. 42.
^ 福田 2001, pp. 176.
^ ^a ^b 大坪 1978, p. 119.
^ 隅谷 1996, p. 43.
^ 大坪 1978, pp. 120–121.
^ 福田 2001, p. 177.
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o 大坪 1978, pp. 127–131
^ ^a ^b ^c 空港公団 1987, pp. 58–60.
^ ^a ^b 空港公団 1987, pp. 60–62.
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 原口 2002, pp. 48–55.
^ 第65回国会参議院予算委員会第7号昭和46年3月4日（PDF） - 国会会議録検索システム、2021年11月12日閲覧。
^ “成田空港反対闘争、煽って逃げた社会党　テロ集団を育てたといっても過言ではない　小川国彦氏の死去に思う”. 産経新聞 (2017年5月28日). 2017年6月24日閲覧。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 公安調査庁 1993, pp. 22–24.
^ 朝日新聞 1998, p. 49.
^ ^a ^b ^c ^d 大坪 1978, pp. 136–137
^ ^a ^b 隅谷 1996, p. 48.
^ 隅谷 1996, p. 47.
^ 朝日新聞 1998, p. 46.
^ ^a ^b ^c 立花書房 2001, pp. 42–46.
^ ^a ^b 原口 2000, p. 191.
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p 佐藤 1978, pp. 100–123
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 大坪 1978, pp. 134–136
^ 飯高 1976, p. 180.
^ ^a ^b 飯高 1976, pp. 178–185.
^ 隅谷 1996, pp. 172–173.
^ シンポジウム記録集編集委員会 1995, p. 296.
^ ^a ^b ^c ^d 第66回国会衆議院地方行政委員会第4号昭和46年9月23日（PDF） - 国会会議録検索システム、2021年11月3日閲覧。
^ 「傷跡深いトリデは消えたが…」『朝日新聞』1971年9月18日、3頁。
^ シンポジウム記録集編集委員会 1995, p. 298.
^ 伊藤 2017, p. 144.
^ 朝日新聞 1998, p. 175.
^ 1971年9月17日朝日新聞3面
^ 飯高 1976, p. 192.
^ 保阪正康『後藤田正晴　異色官僚政治家の軌跡』文藝春秋、2009年
^ 坂東弘平『後藤田正晴・全人像』行政問題研究所、東京、1983年、161-162頁。ISBN 4-905786-28-2。OCLC 15398932。
^ 北原鉱治『大地の乱成田闘争―三里塚反対同盟事務局長の30年』お茶の水書房、1996年、80頁。
^ シンポジウム記録集編集委員会 1995, pp. 314–318.
^ 大坪 1978, pp. 152–153.
^ “【戦後７０年千葉の出来事】成田闘争（下）公共事業のあり方一変”. 産経ニュース (2016年4月28日). 2021年11月15日閲覧。
^ 原口 2002, p. 48-55.
^ “成田空港建設で自宅強制収用の故小泉よねさん　補償解決へ話し合い合意　千葉”. 産経新聞 (産経新聞社). (2015年2月4日) 2018年1月11日閲覧。
^ “４３年前の代執行「解決」へ合意千葉県が一定の結果責任を表明成田空港建設”. www.chibanippo.co.jp. 千葉日報 (2015年2月4日). 2021年11月13日閲覧。
^ 公安調査庁 1993, p. 338.
^ “陳述書を提出して（ 3 )”. www.facebook.com. facebook (2018年4月3日). 2018年4月11日閲覧。
^ ^a ^b 公安調査庁 1993, pp. 345–530, 成田闘争略年表.
^ ^a ^b ^c 伊佐千尋『衝突-成田空港東峰十字路事件』文藝春秋、1988年9月15日、188-197頁。
^ 大坪 1978, pp. 108–110.
^ ^a ^b ^c ^d 佐藤 1978, pp. 89–92.
^ ^a ^b 大坪 1978, pp. 105–108.
^ ^a ^b ^c ^d ^e 大坪 1978, pp. 111–113.
^ 公安調査庁 1993, pp. 263–332.
^ 佐藤 1978, pp. 107–111.
^ 福田 2001, pp. 160–166.
^ 原口 2000, p. 9.
^ 第65回国会衆議院本会議第2号昭和46年1月22日（PDF） - 国会会議録検索システム、2021年11月3日閲覧。
^ 友納 1984, pp. 276–284.
^ 友納 1981, pp. 210–211.
^ “政治に忘れられた成田の農民”. 朝日新聞: p. 2. (1971年2月25日)
^ 原口 2000, p. 20.
^ 原口 2002, p. 20.
^ 成田市立図書館 (1991), 成田市年表, 成田市
^ ^a ^b “初日はにらみ合いで幕　成田空港代執行”. 朝日新聞（夕刊）: p. 9. (1971年2月22日)
^ ^a ^b “第一地点の代執行完了成田空港”. 朝日新聞（夕刊）: p. 1. (1971年2月23日)
^ “もみ合い泥まみれ成田空港一段と険悪な雰囲気”. 朝日新聞（夕刊）: p. 9. (1971年2月23日)
^ “あれは公団用地反対派不審顔”. 朝日新聞: p. 3. (1971年2月24日)
^ ^a ^b “少年行動隊が最前列に成田空港の代執行”. 朝日新聞: p. 1. (1971年2月24日)
^ “成田空港「少年」のけが、7人に”. 朝日新聞: p. 3. (1971年2月25日)
^ ^a ^b “成田の紛争、2日間休戦”. 朝日新聞（夕刊）: p. 1. (1971年2月26日)
^ “逮捕者141人に成田空港午後も衝突”. 朝日新聞: p. 1. (1971年2月26日)
^ “危険…それが武器成田の地下壕”. 朝日新聞: p. 22. (1971年2月26日)
^ ^a ^b “ホッっとした中に警戒も”. 朝日新聞（夕刊）: p. 11. (1971年2月26日)
^ “もう一つの三里塚”. 朝日新聞: p. 23. (1971年2月27日)
^ “少年行動隊も登校”. 朝日新聞（夕刊）: p. 9. (1971年2月27日)
^ “激突は中断したが… 成田空港代執行”. 朝日新聞: p. 9. (1971年3月1日)
^ “成田、トリデの撤去開始代執行宣言”. 読売新聞（夕刊）: p. 1. (1971年3月2日)
^ “きょう群衆も規制成田代執行抵抗激しく難航”. 朝日新聞: p. 1. (1971年3月3日)
^ ^a ^b “成田にヤジ馬3000人”. 朝日新聞: p. 3. (1971年3月3日)
^ ^a ^b “成田野次馬で混乱”. 読売新聞: p. 15. (1971年3月3日)
^ “「成田」代執行混とん”. 読売新聞: p. 1. (1971年3月4日). 1971-03-04
^ “成田代執行双方200余人けが”. 朝日新聞: p. 1. (1971年3月4日)
^ “第五トリデが中心か成田、きょうも代執行”. 朝日新聞: p. 1. (1971年3月6日)
^ “おじさんは知ってるの？成田空港用地”. 朝日新聞: p. 23. (1971年3月6日)
^ “農民はムダな抵抗”. 朝日新聞: 3. (1971-03-07).
^ 小川国彦 (2004), 心は野にありて―回想録, 朝日新聞社出版局, p. 102
^ ^a ^b ^c ^d 千葉県警 1989, p. 489.
^ “緊迫の夜、学生ら集結”. 毎日新聞: 23. (1971-09-16).
^ ^a ^b 千葉県警 1989, p. 490.
^ 大坪 1978, pp. 132–134.
^ ^a ^b “成田決戦ついに犠牲者”. 朝日新聞（夕刊）: 11. (1971-09-16).
^ “だれのためか農民不在のゲバ”. 毎日新聞（夕刊）: 10. (1971-09-16).
^ ^a ^b 千葉県警 1989, p. 491.
^ “【羽成哲郎のぴーなっつ通信】警察官の心意気伝えたい”. 産経ニュース. (2013年11月2日) 2018年9月6日閲覧。
^ 大和田 & 鹿野 2010, p. 35.
^ “交番で時限爆弾破裂”. 朝日新聞（夕刊）: 11. (1971-09-18).
^ 朝日新聞 1998, p. 47.
^ NHKオンライン『成田闘争”５０年　その教訓を語り継ぐ思いとは』、2017年2月4日閲覧。
^ 千葉県警 1989, p. 493.
^ “夜明けのゲリラ 5むね焼き打ち”. 読売新聞（夕刊）: 11. (1971-09-21).
^ “機動隊寮に鉄パイプ爆弾”. 朝日新聞（夕刊）: 11. (1971-09-22).
^ 原口 2000, p. 204.