未成線とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 未成線の意味・解説 

みせい‐せん【未成線】

読み方:みせいせん

完成していない鉄道の路線


未成線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/28 07:46 UTC 版)

未成線(みせいせん)とは、本来の意味においては鉄道路線において未だ完成していない路線のことを指す[1]。ただし、鉄道愛好家などの間では、完成を目指して建設工事が行われていたものの途中で工事が打ち切られた路線を指して用いられることもある[1]廃線跡めぐりに類するものに未成線めぐりがある[1]

概要

狭義の意味で鉄道関係者と一部の趣味人の間でのみ使われた言葉であり、さほど知られていなかったが、1990年代宮脇俊三『鉄道廃線跡を歩く』シリーズなどの書籍で誤用ながら使用されたことを受け、鉄道趣味人の間に認知されるようになった。

  • 鉄道事業者が敷設許可を受けていながら完成させていない路線(本来の意味
    • 免許線と特許線 - この段階では何も施行されていない
    • 工施線(工事施行認可線) - 工事の認可が下りた路線。用地買収や施行を始めた路線も含む
  • かつて鉄道事業者が免許・特許を持っていながらも失効させ、かつ完成させていない路線
  • 政府地方自治体や鉄道事業者などが構想を立てながら、免許や特許を受けるに至っていない構想路線
    • 却下線 - 申請を却下された路線
    • 構想路線 - 書面の上で検討されただけの路線[2]
  • 改正鉄道敷設法別表で定められ、国や国鉄によって建設されることが期待された予定線
    • 予定線 - 法律で定められた予定路線。後に追加されたものも含めて最終的に150線200区間に膨れあがる。
  • 予定線の中で、日本鉄道建設公団の手で工事線として敷設されながらも実現しなかった公団線
    • 工事線 - 日本鉄道建設公団が工事をしている路線。後に日本国有鉄道清算事業団に継承された。勘違いされやすいが、これはあくまでも「公団線」であって国鉄や「国鉄線」とは無関係である。

1980年昭和55年)に制定された日本国有鉄道経営再建促進特別措置法により全国各地で多くの工事が中止となったが、その後、第三セクター鉄道として開業したものもある。例えば、工事が長期間中止になっていた国鉄阿佐線(阿佐西線)を引き継いで建設を進め、2002年平成14年)に開業した阿佐線(ごめん・なはり線)がその一例である。

このうち建設中に計画が中止された鉄道路線の場合、その建設地に買収済の用地や跨線橋・橋台などの遺構が残っていることがあり、中には根北線越川橋梁のように文化財指定を受けたものも存在する。また、道路に転用された場合でも鉄道路線独特の線形が保たれる場合が多く、廃線跡廃墟と同様に、未成線跡を探訪する鉄道ファンも存在する。

未成線の例

構想段階

責任主体による机上計画が信頼できる情報源により確認されるが、具体的な事業の出願および認可(請願、陳情に留まるものを除く)や事業免許取得などが無く、構想のみに留まっているもの。

日本国内

国際線・日本国外

計画中に中止

具体的な計画(会社設立、事業の出願および認可、事業免許取得など)が立てられるなどしたが、具体的な建設や用地買収に至らないまま、諸事情により中断し、かつ再開されていないもの。また、代替計画に吸収され事実上消滅したものも含む(例:第二東海道新幹線)

日本国内

国際線・日本国外

建設中に中止

事業計画の実現として一部でも建設または用地買収を実施(測量環境アセスメントなどの調査や設計作業に留まるものを除く)した路線は、本項目では、建設を開始したものとみなす。

日本国内

国際線・日本国外

完成後に中止

日本国内

  • 油須原線(油須原 - 豊前川崎):この路線の場合、線路自体は完成し後は開業を待つばかりとなった直後に一部区間の廃止が決まったという非常に特殊な例である。

脚注

  1. ^ a b c 梅原淳『PHPビジュアル実用BOOKS いまこそ楽しみたい新幹線の旅 夢の超特急誕生から50年』PHP研究所、2014年、106頁。 
  2. ^ 整備新幹線中央新幹線などのように、長年の空白を経て整備計画の決定や事業化に至る事例もある。
  3. ^ 広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫”. 東京都都市整備局都市基盤部交通企画課. 2021年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月3日閲覧。
  4. ^ 中日新聞』1990年9月17日朝刊岐阜版「【岐阜県】トレンド90ぎふ/ 関心高まる“中濃新線” 活性化への起爆剤に 観光地化めざす “奥美濃”も歓迎」(中日新聞社 前田智之)
  5. ^ なにわ筋線「北梅田~JR難波・南海新今宮」の鉄道事業許可』(プレスリリース)国土交通省、2019年7月9日https://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo04_hh_000074.html2019年7月9日閲覧 
  6. ^ 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1911年12月5日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ 「軽便鉄道免許失効」『官報』1914年7月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1913年1月13日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. ^ 「軽便鉄道免許失効」『官報』1915年3月16日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  10. ^ 鉄道要覧』p.400
  11. ^ 現:西武園
  12. ^ 現:西所沢
  13. ^ 小田急多摩線延伸に関する関係者会議報告書 II.小田急多摩線延伸の取組の歩み”. 町田市 (2019年3月). 2022年1月24日閲覧。
  14. ^ 相武電鉄の歴史”. 相武電鉄上溝浅間森電車庫付属資料館 (2019年3月). 2022年1月24日閲覧。
  15. ^ 南武線の矢向とは別の場所
  16. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(昭和58年(1983年)3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)436頁。
  17. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(昭和58年(1983年)3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)438頁。
  18. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(昭和58年(1983年)3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)332頁。
  19. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(1983年3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)231頁。
  20. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(1983年3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)365頁。
  21. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(1983年3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)365 - 366頁。
  22. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(1983年3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)367頁。
  23. ^ 『富山地方鉄道五十年史』(1983年3月28日、富山地方鉄道株式会社発行)217頁。
  24. ^ a b 『富山廃線紀行』(2008年7月16日、草卓人著、桂書房発行)117頁。
  25. ^ a b 『氷見市史 通史編二 近・現代』(2006年3月31日、氷見市発行)411 - 412ページ。
  26. ^ 『氷見市史 通史編二 近・現代』(2006年3月31日、氷見市発行)414ページ。
  27. ^ 朝日新聞』1997年4月18日名古屋朝刊第三社会面29頁「乙川駅から西へ 新空港鉄道で半田市が周辺整備計画【名古屋】」(朝日新聞名古屋本社
  28. ^ 『地方鉄道及軌道一覧 昭和10年4月1日現在』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  29. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1927年9月17日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  30. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1930年12月11日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  31. ^ 幻の茂浦鉄道青森県水産総合研究センター 増養殖研究所だより, 第112号
  32. ^ 茂浦鉄道 【導入編】日刊ウェブマガジン「まいにち・みちこ」2019.11.25
  33. ^ 茂浦鉄道 【机上調査編 第15回】日刊ウェブマガジン「まいにち・みちこ」2020.7.27
  34. ^ 『氷見市史 通史編二 近・現代』(2006年3月31日、氷見市発行)412 - 414ページ。
  35. ^ 『帝国鉄道年鑑』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  36. ^ 「鉄道免許取消」『官報』1930年12月20日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  37. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1922年10月6日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  38. ^ 「鉄道免許取消並失効」『官報』1938年6月29日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  39. ^ 田尻弘行『宮崎交通鉄道部』ネコパブリッシング、2005年、15-16頁

関連項目


未成線(黒松内 - 岩内)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 03:42 UTC 版)

岩内線」の記事における「未成線(黒松内 - 岩内)」の解説

もともとこの路線瀬棚 - 寿都 - 岩内 - 然別間の鉄道敷設運動の結果一部区間承認され建設され路線である。また、太平洋戦争後、函館本線急勾配緩和するバイパスルートとして、「後志國黒松内ヨリ岩内附近ニ至ル鐵道」(改正鉄道敷設法別表130号ノ2。1953年昭和28年8月1日公布施行された「鉄道敷設法等の一部改正する法律」(昭和28年法律147号)によって追記。43.9km)が計画された。 1957年昭和32年4月3日調査線1964年昭和39年6月25日工事線となり、黒松内 - 湯別間では1968年昭和43年)まで営業していた寿都鉄道路盤跡を転用することも内定し現地測量進んでいた。1972年昭和47年12月24日着工認可されたが、岩内駅付近など一部用地買収が行われたのみで、後に工事中止された。 未成区間雷電海岸経由し第3雷電トンネル (5232m)、第2雷電トンネル (580m)、刀掛トンネル (3160m)、尻別トンネル (605m) などの長大トンネル計画されていた。 計画されていた駅 岩内駅 - 敷島内駅 - 雷電駅 - 港町駅 - 磯谷駅 - 美谷駅 - 歌棄駅 - 湯別駅 - 中の川駅 - 黒松内駅 岩内 - 湯別間日本海沿いを通る計画で、磯谷駅歌棄駅内陸を通る函館本線目名駅(旧・磯谷駅)、熱郛駅(旧・歌棄駅)とは別位置

※この「未成線(黒松内 - 岩内)」の解説は、「岩内線」の解説の一部です。
「未成線(黒松内 - 岩内)」を含む「岩内線」の記事については、「岩内線」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「未成線」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「未成線」の例文・使い方・用例・文例

  • 未成線
Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「未成線」の関連用語

未成線のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



未成線のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの未成線 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの岩内線 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS