未成熟の権原
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/27 10:14 UTC 版)
今日において発見は確定的な領域権原を設定するものではなく、「未成熟の権原」となるに過ぎないとされている。領域権原の取得原因である先占として認められるためには発見のみでは不十分であり、その土地の使用や定住を伴う物理的支配権の行使や確立が必要とされている。そのような立場を示したものとして、16世紀初めに島を発見したスペインの領有権を条約により継承したとするアメリカと、原住民との協定や18世紀以降の主権行使の事実を主張したオランダの間で島の領有権が争われた1928年のパルマス島事件常設仲裁裁判所判決があげられる。同判決において裁判所は、決定的期日の時点で発見に基づくスペインの主権が存続していたかを検討し、もし16世紀に発見のみによってスペインの権原が認められたとしても、その後のスペインの権利の継続的な存在は決定的期日の時点で有効な法によって判断されなければならないとして、単なる発見の事実は無主地の先占による領域権原の取得を認めるには不十分だと判断した。発見による「未成熟の権原」は、他国による継続的かつ平和的な主権の行使に優越しないと判断されたのである。
※この「未成熟の権原」の解説は、「発見 (国際法)」の解説の一部です。
「未成熟の権原」を含む「発見 (国際法)」の記事については、「発見 (国際法)」の概要を参照ください。
- 未成熟の権原のページへのリンク