その構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 06:56 UTC 版)
「三部作 (プッチーニ)」の記事における「その構成」の解説
最終的にプッチーニの「三部作」は『外套』、『修道女アンジェリカ』、『ジャンニ・スキッキ』をこの順番で上演する、という形態に落ち着いた。この構成は何に由来し、どのような意味をもつのかに関しても各説がある。 『神曲』 救いようのない暗さをもつ『外套』、人間の贖罪をテーマとした『修道女アンジェリカ』、明るいユーモアの『ジャンニ・スキッキ』の3つが、ダンテ・アリギエーリ『神曲』の地獄篇、煉獄篇、天国篇にそれぞれ対応する、との分析がある。もっとも、『ジャンニ・スキッキ』は天上の哲学的な歓喜とは無縁の人間臭いユーモアであり、ダンテまで持ち出すのは穿ち過ぎではないか、との批判もある。 ホフマン物語 1881年初演のジャック・オッフェンバックのオペラ『ホフマン物語 (Les Contes d'Hoffmann )』は、主人公の詩人ホフマンが3人の女性オランピア、アントーニア、ジュリエッタと繰り広げる3つの恋物語であり、プッチーニはこの作品からヒントを得て3つの物語の同時上演を考案した、との説がある。しかし、『ホフマン物語』が同一主人公による、3つの類似した物語であるのに対して、「三部作」はまったく異なる時代、地域の別種の物語の組合せであり、両者には大きな相違が見られる。 グラン・ギニョール劇場 プッチーニが『外套』をオペラ化するきっかけとなったパリのグラン・ギニョール劇場では短幕物の3本立て上演が多く行われており、プッチーニ「三部作」もそれに倣ったのだとの説もある。 劇場効果 「三部作」はプッチーニの鋭い劇場感覚から生まれたオリジナルの構想であるとの考えもある。この頃プッチーニはある書簡で。 「劇場で成功するにはお決まりの秘訣というのがある。まずは観客に興味を持たせ、驚かせ、感動させ、そして笑わせるんだ」 と述べている。『外套』が観客を惹きつけそしてエンディングで驚かせ、『アンジェリカ』が感動させ、『ジャンニ・スキッキ』が最後に笑わせて家路につかせる役目を担っているのだとすると、この「三部作」構成はプッチーニのいう「秘訣」をそのままその順番で作品化したものだということができる。
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