団体商標
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/24 14:06 UTC 版)
団体商標(だんたいしょうひょう、collective mark、collective trademark)は、団体が所有し、団体の構成員が使用する商標である。団体標章(だんたいひょうしょう)ともいう。
団体商標は、団体が使用する標章ではなく、その構成員に使用させる標章であるという点で、通常の商標と大きく異なる。諸国の商標法によれば、自己が使用するためではなく、もっぱら他人に使用させるための標章は、商標としての保護の対象外とされるのが原則である。団体商標はこの原則の例外にあたり、団体自らが使用する意思がない標章であっても、団体の構成員に使用させる標章であれば、団体商標として保護され得る。
通常の商標は、商品または役務の出所(しゅっしょ、供給元)が特定の一の事業者であることを表示する。一方、団体商標は、商品または役務の出所が特定の団体に属する一定の範囲の事業者であることを表示する。
工業所有権の保護に関するパリ条約は、同盟国に対して、団体商標の登録出願の受理および団体商標の保護を義務づけている(パリ条約7条の2)。パリ条約における団体商標の保護義務は、1911年の第4回改正会議(ワシントン)改正会議で新設され、1934年の第6回(ロンドン)改正会議で修正され、現在に至っている。
日本
歴史
日本における団体商標制度は、パリ条約上の義務を履行するため、1921年(大正10年)の旧商標法(27条)で初めて導入された。しかし、1959年(昭和34年)の商標法全面改正で団体商標に関する明文の規定が削除された。新たに規定した通常使用権の許諾制度(商標法第31条)で代替できると考えられたためである。すなわち、通常使用権の許諾制度があれば、団体が通常の商標権を取得し、その構成員に対して通常使用権を設定することによって、団体商標と同等の保護が実現すると考えられたのである。
しかし、日本が標章の国際登録に関するマドリッド協定の議定書に加入するにあたり、団体商標の制度が必要とされたため、1996年の商標法改正で団体商標の制度が再び設けられた(商標法7条)。
2005年の商標法改正では、新たに地域団体商標の制度が設けられた。
要件
- 出願人は社団法人または特別の法律により設立された法人格を有する組合(またはこれらに相当する外国の法人)でなくてはならない(商標法第7条第1項)。
- 登録を受けようとする商標は、団体の構成員に使用させるものでなくてはならない(商標法第7条第1項)。
- 出願時に、出願人が社団法人または組合であることを証明する書面を提出する必要がある(商標法第7条第3項)。
効果
社団法人または組合が団体商標として商標登録出願をすると、自己の商品または役務について使用する商標でなくても、商標登録を受けることができる(商標法第7条第2項によって読み替えられる第3条第1項)。団体商標の商標権には以下のような特徴がある。
- 団体商標の商標権を他人に移転すると、通常の商標権となる(商標法第24条の3第1項)。ただし、団体商標の商標権として移転する旨記載した書面と移転を受ける商標権者が社団法人または組合であることを証明する書面とを特許庁長官に提出した場合はこの限りではない(商標法第24条の3第2項)。
- 団体の構成員は、団体から登録商標の使用をする権利の許諾を受けなくても、団体の定めるところにより登録商標を使用できる(商標法第31条の2第1項)。
関連項目
団体商標
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 09:11 UTC 版)
2004年団体商標を取得、この際に熊野筆®の定義やロゴマークが作られた。定義は以下の通り。 筆先(穂先)は熊野地域で作られたものに限り、同地域で最終工程まで仕上げる。 なお毛筆・画筆・化粧筆それぞれで原料・製法が会社によって異なる部分があるため、これ以上細かく定義は作られていない。商標法の一部改正により2006年から地域団体商標が始まるが、他ではその取得にあたり熊野筆のケースを参考にしたという。 産地組合である熊野筆事業協同組合に加盟する組合員は2015年現在で99社になる。うち熊野筆®を商標契約しているのは同年現在で52社になる。以下契約店を列挙する。 詳細は熊野筆事業協同組合ホームページ参照。 安芸一松堂 一休園 一晃園 一松堂筆舗 一宝堂 大年製作所 越智製作所 魁栄堂 貫盛堂 喜筆 久華産業 久宝堂 九嶺堂 玉信堂製筆 久保田号 晃祐堂 五大洲 實森誠実堂 志々田清心堂 実栄堂筆舗 史芳堂筆舗 春海堂 松月堂 尚美堂 神技堂 眞祥堂 泰山堂 泰盛堂 タウハウス 竹田ブラシ製作所 橘宝盛堂 丹精堂 竹宝堂 長栄堂 友井尚文堂 中村製作所 博雲堂筆舗 広島清雅堂 広島筆産業 平尾文明堂 不二産業 藤田画筆製作所 筆の里振興事業団 ブロス 文学堂製筆 文宏堂 仿古堂 北斗園 穂乃伊堂 丸屋文栄堂 瑞穂 宮尾産業 以下、2017年現在流通している品目例を列挙する。 県運営アンテナショップ広島ブランドショップ TAUの熊野筆セレクトショップでは久華産業・晃祐堂・丹精堂・竹宝堂・中村製作所・瑞穂ブラシの5社とその他セレクトショップが厳選した400種類以上の化粧筆、書筆、画筆を扱っている。 ザ・広島ブランド広島市認定特産品化粧筆、宝飾・漆化粧筆 - 丹精堂 熊野筆(書道筆) - 一休園 熊野筆(日本画筆・アニメ筆・絵手紙筆など) - 松月堂 熊野化粧筆 - 晃祐堂 熊野筆(書筆) - 仿古堂 上記以外では、誕生記念筆いわゆる赤ちゃん筆の元祖である洞水筆、化粧筆世界トップシェアの白鳳堂 、などがある。
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