商標登録を受けられる商標
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 08:29 UTC 版)
「地域団体商標」の記事における「商標登録を受けられる商標」の解説
地域団体商標として登録を受けようとする商標は、以下の要件を満たす必要がある(商標法7条の2第1項)。 組合自身または構成員が使用する商標であること。 商標が使用された結果、組合自身または構成員の業務に係る商品または役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていること。「広く認識されている」の範囲が問題となるが、特許庁の審査実務では、日本全国に広く知られていなくても、例えば、隣接都道府県に及ぶ程度に知られていれば、本要件を満たすものと扱う。日本全国に広く知られている商標はこれまでも登録を受けられていたため(3条2項)、地域団体商標制度を導入した意義が失われるからである。 地域の名称と商品または役務の名称等を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標であること。具体的には、以下の類型のいずれかに該当する文字のみであること。地域の名称+商品または役務の普通名称(例)「大間まぐろ」、「草加せんべい」 地域の名称+商品または役務を表示するものとして慣用されている名称(例)「美濃焼」、「有馬温泉」(「焼」は陶磁器を、「温泉」は入浴施設や宿泊施設の提供の役務を表示するものとして慣用されている名称である。) 上記+商品の産地または役務の提供の場所を表示する際に付される文字として慣用されている文字(例)「仙台名産笹かまぼこ」(商品の産地または役務の提供の場所を表示する際に付される文字として慣用されている文字の例としては、「名産」、「特産」などがある。一方、「元祖」、「本家」、「特選」などは、これに該当しない。) 商標に含まれる地域の名称は、商品の産地や役務の提供地の名称であるなど、商品または役務と密接な関連性を有すること(商標法7条の2第2項)。 なお、地域の名称のみの商標、商品や役務の名称のみの商標は商標登録を受けることができない。たとえば、「イセエビ」や「サツマイモ」も、形式的には地域の名称(伊勢、薩摩)と商品の普通名称(エビ、イモ)の組み合わせからなる語であるが、これらの語は既に普通名称と認識され、伊勢地方産のエビや、薩摩地方産のイモといった地域ブランドを表示するものとは認識されないから、商標登録を受けることができない。 また、地域の名称と商品または役務の名称等を表示する文字を含む商標であっても、識別力を有する図形と組み合わされた商標や特殊な書体の文字によって表示する商標は、そもそも商標法3条1項3号~6号に該当しないから、地域団体商標としてではなく、団体商標または通常の商標として登録を受けることとなる。地域団体商標の登録出願をしてしまったとしても、出願後、団体商標または通常の商標の登録出願に変更できる(商標法第11条第2項)。
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