商標登録の取消しおよび無効
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 00:07 UTC 版)
「日本の商標制度」の記事における「商標登録の取消しおよび無効」の解説
所定の理由がある場合には商標登録が取り消されたり無効とされたりすることがある。取消しまたは無効にする主な手段は以下のとおりである。 異議の申立て 商標登録後も、商標掲載公報の発行の日から2月以内であれば、何人も特許庁長官に対して異議の申立てを行うことができる(43条の2)。異議申立てがあった場合、3人または5人の審判官による審理が行われ、43条の2第1号および2号に定められた取消理由があると判断された場合には、登録は取り消され、権利(専用使用権、通常使用権を含む)は初めからなかったものとされる(取消しの遡及効、43条の3第3項)。 無効審判 3条や4条などの規定に違反した商標が誤って商標登録された場合や、商標登録後に無効理由が生じた場合には、利害関係人は商標登録を無効にすることを請求できる(無効審判、46条)。一定の私益的な無効理由については、5年の除斥期間が設けられており、除斥期間経過後は無効審判の請求ができない(47条)。これは、登録後一定期間経過するとその商標に信用が化体するため、無効にする利益よりもすでに生じている信用を優先させたものである。なお、公益的な無効理由については、信用を優先させることは適当ではないため、除斥期間は設けられていない。 不使用取消審判 法は、名称に化体された信用を保護するために権利者に専用権および禁止権を認めているのであり、実際に使用されない名称には信用が化体しないから、使用されていない名称に保護を与え続ける必要はない。そこで、継続して3年以上日本国内で指定商品等について登録商標が使用されていない場合には、何人も登録商標の取消しを請求することができる(不使用取消審判、50条1項)。これに対し、商標権者(又は使用権者のいずれか)が使用していたことを立証できない場合には、商標権は審判の請求の登録の日に遡って消滅する(50条2項、54条2項)。なお、不使用取消審判の請求がされることを知ってから、取消しを免れるために駆け込み的に使用を始めても、取消しを免れることはできない(50条3項)。 商標権者による不正使用取消審判 商標権者が禁止権の範囲内で、品質の誤認や出所の混同を招くような不正な方法で登録商標または登録商標に類似する商標を使用した場合には、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる(51条)。取消しとなった場合には、商標権は取消審決が確定したときに消滅する(54条1項)。 使用権者による不正使用取消審判 専用使用権者または通常使用権者が禁止権の範囲内で、品質の誤認や出所の混同を招くような不正な方法で登録商標または登録商標に類似する商標を使用した場合には、何人も、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。ただし、当該商標権者がその事実を知らなかった場合において、相当の注意をしていたときを除く(使用権者による不正使用取消審判、53条)。取消しとなった場合には、商標権は取消審決が確定したときに消滅する(54条1項)。
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