商標登録が取り消された例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 01:10 UTC 版)
「原産地名称保護制度」の記事における「商標登録が取り消された例」の解説
以下の例は、欧州理事会規則が発効される前に登録された商標に、欧州理事会規則がさかのぼって適用されて商標登録が取り消された例である。地理的表示の保護という「達成すべき目的が非常に求められて」いることを示す実例の一つとして取り上げる。 フィンランドにおいて“COGNAC”および“HIENOA KONJAKKIA”という表示を含むラベルと“KAHVI-KONJAKKI”および“Café Cognac”という表示を含むラベルが、2001年に商標として出願され、2003年に商標登録された。コニャック (Cognac) の地理的表示の権利者である全国コニャック専門家事務所 (BNIC: Bureau National Interprofessionnel du Cognac) は、この商標登録に気が付き、異議をとなえた。それを受けたフィンランドの特許・登録局の判断は揺れたものの、最終的に2007年には両方のラベルとも登録商標として確認された。 次にBNICはこの最終決定を無効にする訴えを裁判所に提起したのだが、審理の最中の2008年にワインと蒸留酒の地理的表示の保護に関する欧州理事会規則No110/2008が発効された。新しい欧州理事会規則の23条 (1) 項によれば、対象になっている2つのラベルは商標登録が拒否されるか取り消されるべきものである。そこで、フィンランドの裁判所は欧州裁判所に、2003年に登録された商標に対して2008年の理事会規則が適用されるものか問い合わせたのである。 欧州裁判所はこの欧州理事会規則が過去にさかのぼって適用されるとした。理事会規則を、それが発効した5年も前の商標登録に適用するということは一見したところ奇妙に見える。しかし、TRIPS協定の発効をうけて、地理的表示が保護されるべきであることを規定している欧州規則No3378/94が1996年にすでに発効しており、欧州理事会規則No110/2008はそれを継承している規則である。そして欧州理事会規則No110/2008の23条 (1) 項はその地理的表示の保護を実施するにあたっての統一条件を表しているに過ぎない。つまり、この欧州理事会規則をさかのぼって適用させるとしても、法安定性の原則も関係者の正当な期待の保護の原則も崩すことにはならないとした。正当な期待が保護されているならば、規則が達成すべき目的が非常に求められている場合には例外的に規則をかさのぼって適用してい良い事になっているので、最終結論として欧州理事会規則No110/2008が2003年の商標登録に適用できるとした。
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