しょ‐たい【書体】
書体
【英】typeface
書体とは、文字の表示・印刷に使用する様式のことである。漢字における、楷書・行書・草書・篆書(てんしよ)・隷書、活字における明朝・ゴシック・アンチック、イタリックなどが書体に相当する。
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書体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/21 13:49 UTC 版)
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書体(しょたい)とは、一定の文字体系のもとにある文字について、それぞれの字体が一貫した特徴と独自の様式を備えた字形として、表現されているものをいう。基礎となる字体の特徴、およびその字形の様式から導かれる、形態の差異によって分類される。例えば、漢字という文字体系のもとにある書体として、篆書・隷書・楷書・行書・草書の五体に加え、印刷用の書体(明朝体やゴシック体など)、さらにはデジタルデバイスでの表示に最適化することを指向した書体が存在する[1]。これらはいずれも共通の文字集合から生まれながら、時代・地域・目的などにより、その形態を変化させていったものである。
英語の typeface の訳語としても用いられる。この場合は、広義における活字とその意匠についての概念として扱われる。
近年ではフォントと同義に用いられることがあり、フォントの使用ライセンスの単位として、1書体、2書体と数えることもある。しかし本来、書体は文字に通底する概念であって、金属活字の字面や写真植字の文字盤、またデジタルフォントのアウトラインデータそれ自体を指すものではない。
以下は字形から見た書体の類別(組版の視点から見た分類)に従って叙述する。
![]() 漢字 | ||||||||||||||||||||
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書体 | ||||||||||||||||||||
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字体 | ||||||||||||||||||||
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漢字文化圏 | ||||||||||||||||||||
中・日・朝・越・台・琉・新 | ||||||||||||||||||||
派生文字 | ||||||||||||||||||||
国字 方言字 則天文字 | ||||||||||||||||||||
仮名 古壮字 字喃 女書 | ||||||||||||||||||||
契丹文字 女真文字 西夏文字 | ||||||||||||||||||||
→字音 |
欧文書体
欧文書体は、画数や字数が少なく作りやすいため数が豊富であり、整理・体系化が進んでいる。
主な書体は以下のように分類される。
- セリフ(ストロークの端に飾りがついた書体)
- オールド・フェイス
- トランジショナル
- モダン・フェイス
- サンセリフ(セリフのない、均一な太さのストロークをもつ書体)
- グロテスク
- ネオ・グロテスク
- ヒューマニスト
- ジオメトリック
- スクリプト(筆記体などの手書き文字に近い書体)
- フォーマル
- インフォーマル
- ロンドスクリプト (フランス風)
- イタリックスクリプト
- カリグラフィック
- ディスプレイ (POP) 書体
- ブラックレター
- コンピューター向け
- ドットディスプレイ用書体
- セグメントディスプレイ用書体
- その他
- OCR用書体 (OCR-A、OCR-B、E-13B及びCMC-7、Data 70など)
- タイプライター再現用書体 (ムラや掠れなどを再現したもの)
欧文書体の各構成要素

欧文書体は小文字において上下の幅が極端に異なることから、いくつかの上下のラインを設定し、字の高さを数パターンに規格化した上で設計される。このことよりベースラインを始めとした、図のように幾つもの(見えない)並び線に沿ってデザインされることが普通である。
また、欧文書体はエレメントを再利用することで構成されること、いくつかの特徴的なエレメントのデザインが決まれば、他の文字の同様の部分もおおむね定まってくるといえる。エレメントによる字形の再生産は一般的に読みやすさを担保する要請に叶うことである。なお、再利用されるエレメントは完全に一致するとは限らず、文字の造形に内在する錯視や、出力時の見え方の調整を念頭に部分的にエレメントを例外的に調整する必要がある。
なお、「カウンター」は、閉じた部分だけではなく、CやVなどの字の内側も指す。また、図中の「ケルン」は日本独自の用語であり、英語ではball-shaped terminal、ドイツ語ではTropfenなどと呼ばれる。金属活字において、一般にボディから張り出した部分を指すkernという語をエレメントと混同した呼称であって、誤りとされる。
欧文書体における並び線の種類

- ベースライン
- 単にラインとも呼ばれる。欧文に限らず、様々な文字体系に存在する仮想的な線と言える。和欧混植の組版においては、一方が下がって見えるといった問題を解消するために、和欧間で異なるベースラインを設定することがある。
- ミーンライン
- ベースライン+エックスハイト(後述)の高さに引かれる水平線。ベースラインと並んで、視線を誘導するうえで重要な要素である。
- キャップライン
- 大文字の上端の高さに引かれる水平線
- アセンダーライン
- 小文字のf、h、l などの上端の高さ、すなわちアセンダーの上端に引かれる水平線。
- なお、Lの小文字「l」と大文字「I」の字形が書体によっては酷似するが、基本的に小文字lの上端はアセンダーラインに達し、大文字Iの高さはキャップラインに収められる。本文書体では、目立ちすぎないように両者の差は小さい。見出し書体では、逆にキャップラインがアセンダーラインより高く設計されることがある。これは可読性よりも誘目性を重視した設計と言える。
- ディセンダーライン
- ディセンダ(後述)の下端を揃える水平線。
- エックスハイト(xハイト)
- a、c、x などの小文字の高さ。ベースラインとミーンラインの間。文字通り、xの活字の高さ(ハイト)から来ている。
- 小文字の高さは「エックスハイト・エックスハイト+アセンダー・エックスハイト+ディセンダー」の3種類であり、エックスハイトを基本として全体のデザインが組み立てられる。書籍などの本文組版に使用される字種の大部分は小文字であり、読者の視線はエックスハイトを基準として流れていくため、これが揃っていない書体の可読性は損なわれる。
- なお、実際の書体設計においては、cやoなどの丸く小さい文字が、錯視により過度に小さく見えるのを防ぐため、オーバーシュートといって上下のラインに若干重なるようデザインされる。これにより、人間の目にとってラインが揃っているように知覚されるのである。
- キャップハイト
- 大文字の高さ。小文字と異なり、(一般的な欧文書体では)大文字はこの高さで揃う。
- アセンダー
- b、d、f、h、k、lについて、ミーンラインより上に出た部分。
- ディセンダー
- g、j、p、q、yについて、ベースラインより下に出た部分。
- (特に横組みにおいて)活字を単独でなく並べた状態で俯瞰して、和文と特に異なる要素の一つが、このディセンダーである。これに相当する要素が和文活字には存在しないためである。1バイト部分に欧文書体を組み合わせてあるフォントで、半角(すなわち1バイトの)括弧のベースラインが下がって見えることがあるのは、その括弧が天地をアセンダーからディセンダーの高さにかけてデザインされているからと言える。
欧文書体では等幅活字を除いて、文字ごとに字幅(セット、字面の横の長さ)が異なるため、活字のサイズはボディサイズ(字面の縦の長さ)が基準となっている。ある活字のサイズを一辺とする正方形を、組版における相対的な長さの単位としたものがem(エム)である。例えば、12ポイントの活字での1 emは12ポイントであり、14級の活字での1 emは14級である。emという呼称は大文字Mに由来しており、古くはMの活字の字幅とボディサイズがほぼ一致し、正方形に近かったためとされる。文書全体の量を知るためには単語数を計量することが多いが、このemを用いることもある。
小文字のaからzまでを並べた長さ、すなわちabcdefghijklmnopqrstuvwxyzの長さを、a-zレングスという。
植字にあたって
和欧混植では、ポールやエッジセリフ、ステムなどのデザインが、和文の同様の要素とデザインとして合っているかを考慮しながら組み合わせを考える。もっとも、あらかじめ設定された従属書体を用いる場合も多い。
出典
- ^ “ウェアラブルなどの極小画面デバイス向けフォントの提供を開始 九州大学との共同研究のエビデンス資料を公開|新着情報|FONTWORKS | フォントワークス”. FONTWORKS | フォントワークス. 2020年1月12日閲覧。
参考文献
- 永原康史『日本語のデザイン』美術出版社、2002年 (ISBN 4568502438)
- 組版工学研究会編『欧文書体百花事典』朗文堂、2003年 (ISBN 4947613556)
- 小林章『欧文書体 その背景と使い方』美術出版社、2005年 (ISBN 4568502772)
関連項目
外部リンク
- 書体の基礎知識 和字書体編 - タイプラボ
- 宋朝体と明朝体のうつりかわり - 欣喜堂
- 書体ネット
書体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 08:12 UTC 版)
北アメリカの道路標識では一般的に、「FHWAアルファベット」が使用されてきた。FHWAは「連邦高速道路行政機関」の略。1945年に発効した交通制御器具標準書体で定められ、その後FHWAで更新された。現在は道路標識全体の表現を定める「標準道路標識(SHS)」の一部となっている。 近年、アメリカの研究者が開発した、より見やすい「クリアビュー」フォントがFHWAにより暫定的に許可され、使用される例も多くなってきた。カナダでは高速道路や一般道でも使用されている。 地方自治体や空港公団などが独自のフォントやHelveticaなどを使用する場合もある。
※この「書体」の解説は、「道路標識」の解説の一部です。
「書体」を含む「道路標識」の記事については、「道路標識」の概要を参照ください。
書体
「書体」の例文・使い方・用例・文例
- 流麗な書体
- 失読症患者が読みやすいようにデザインされた書体があると聞きました。
- 日本語の草書体はとても読みづらい.
- 草書体.
- アンシャル書体から発展した小さい草書体文字の、または、アンシャル書体から発展した小さい草書体文字に関する
- 草書体
- 古代のエジプト文字の草書体で書かれている、または属すさま
- キリル文字の書体
- 活字が突き出た金属板の書体の部分
- 7世紀と9世紀の間に、アンシアル字体から発達して、中世の原稿で使われる小文字の草書体文字
- 右に傾斜する文字で書かれた書体のスタイル
- 大きく丸い曲線で書かれた書体のはっきりと書かれたスタイル
- 象形文字に似た書体(普通読みにくい)
- ヘブライ語の書体として紀元前5世紀以来使われてきたセムのアルファベット(後の、イディッシュ語とラディノ語の書体)
- 書体{しょたい}ファミリー内での特定のサイズとスタイルの種類
- それぞれの文字が同じ幅の書体(タイプライターのように)
- 15世紀から18世紀に使用された太い書体
- 正形と非常に細い台詞と重いダウンストロークによって特徴づけられる書体(18世紀のギアンバティッサ・ボドーニによるデザインに基づく)
- 不規則さと傾斜するセリフと細いストロークと太いストローク間の対照がほとんどないことが特徴の(18世紀のデザインに基づく)書体
- 厚く太い線の書体
書体と同じ種類の言葉
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