りょう‐かい〔リヤウ‐〕【領海】
領海
【領海】(りょうかい)
海上において、至近の国が持つ国家主権が及ぶ領域。
国際連合海洋法条約に基づき、領土沿岸部に設定された基線から12海里以内を領海とする。
複数の国家の領海が重なるような事例においては、両国の中間に境界線を敷くのが通例。
かつては「海岸から砲撃が可能な距離」という曖昧な定義が為されていた。
この解釈について各国間で意見が食い違ったため、各地で領土紛争の火種ともなった。
現代では国際連合の規定により「『原則として』基線から12海里以内」と定められている。
無害通航権
領海の扱いは基本的に領土に準ずるが、国際合意に基づき、一つの例外が設けられている。
合法的に活動する全ての船舶は、国籍が何れであれ、全ての国の領海を通航する権利を保障されている。
よって、国家は領海内の船舶に対して正当な理由なく攻撃や拿捕を行う事ができない。
これを「無害通航権」という。
ただし、領海に侵入した船舶に対して退去を求める権利はある。
退去勧告が無視されれば、その船舶は合法な活動をしていない事になり、正当な理由により攻撃できる。
同様の根拠で、司法警察の捜査や、戦争状態にある敵国の船に対する干渉は正当である。
また、武装船舶が事前の外交的合意なく侵入した場合は「国防上の正当な理由」により無警告で攻撃できる。
領海
【英】: territorial sea
領海とは、海岸に沿って一定の幅を持つ帯状の海域であって、沿岸国の領域の一部を構成するものをいう。 海岸において領海の範囲を測定するための起算点となる線を領海の基線といい、基線から海に向かって領海の外側の限界までの距離を領海の幅という。なお、基線の陸地側の水域を内水と呼び、領海とは法的地位を異にしている。これまで国家が主張できる領海の幅の最大限について、国際的な合意がなかった。これは、領海であれば沿岸国の支配下に置かれるが、公海ならばすべての国の自由な使用に開放されるため、その幅の決定を巡って国家間の利害が対立したためであった。国連海洋法条約は、史上初めて領海の幅の最大限を 12 海里と定めることに成功した。領海は国家領域の一部であるが、すべての国の船舶が領海において無害通航権を享受する。ゆえに、外国船舶は、沿岸国の平和、秩序または安全を害しないかぎり、沿岸国の許可を受けることなしにその領海を通航することができる。また、公海または排他的経済水域の一部分と公海または排他的経済水域の他の部分との間における国際航行に使用されている海峡の場合には、領海であっても、すべての国の船舶と航空機が通過通航権を享受するので、継続的かつ迅速な通過の目的で航行と上空飛行の自由を行使することができる。 |
領海
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/09 01:53 UTC 版)
領海(りょうかい、英語: territorial sea、フランス語: eaux territoriales)とは、基線から最大12海里(約22.2キロメートル)までの範囲で国家が設定した帯状の水域であり、沿岸国の主権が及ぶ水域である(右図参照)[1][2][3]。沿岸海(えんがんかい)といわれることもある[1]。
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- ^ 国連海洋法条約第12条
- ^ a b c d 杉原(2008)、126-129頁。
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- ^ 中国船3隻が領海侵犯 尖閣周辺 今年で32回目 産経ニュース 2014年12月30日
- ^ 尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処
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- ^ 小寺(2006)、257頁。
領海
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/17 05:33 UTC 版)
詳細は「領海」を参照 領海は、基線から沿岸に最大12海里までの範囲で沿岸国が設定した帯状の水域である。領海と領海の海底、およびその地下に対して沿岸国の主権が及ぶ。内水の場合と違って、他国船舶の無害通航を尊重する義務があり、他国船舶に対する裁判管轄権は制限される。
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領海
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/06 21:34 UTC 版)
通常基線 低潮高地の全部が本土または島から12海里を超える距離にある場合には、低潮高地はそれ自体の領海を有さない(第13条第2項)。一方、低潮高地の全部または一部が本土または島から12海里以内にある場合に限り、その低潮線を領海を定める際の通常基線とすることができる(第13条第1項)。 直線基線 低潮高地と直線基線の関係について、国連海洋法条約第7条第4項は以下のように定めている。 直線基線は、低潮高地との間に引いてはならない。ただし、恒久的に海面上にある灯台その他これに類する施設が低潮高地の上に建設されている場合及び低潮高地との間に基線を引くことが一般的な国際的承認を受けている場合は、この限りでない。 — 海洋法に関する国際連合条約第7条第4項 この規定によれば、通常、低潮高地は直線基線の基点とはならないが、低潮高地に高潮(満潮)時にも水中に没しない灯台等の施設を設置した場合や、一般的な国際的承認を受けている場合には、低潮高地も直線基線の基点になる(第7条第4項)。
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領海
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「サンピエール島・ミクロン島」の記事における「領海」の解説
1973年の国連海洋法条約で定義された新しい海洋法により、現在、国家は排他的経済水域を200海里(370km)を超えて拡大し、周辺の大陸棚を含めることができている。 1988年4月、トロール船クロワ・ド・ロレーヌ号が群島の選挙当選者の扇動によってカナダ領海を侵犯し、カナダ沿岸警備隊に逮捕された。乗組員、乗船していた4名の選挙当選者、 群島のカトリック司教は2日間にわたってセントジョンズで拘束されたが、その後フランス国家による多額の罰金支払い後に釈放された。1992年の国際司法裁判所による仲裁では、フランス側が要求した47000km2の代わりに、フランスには12400km2の排他的経済水域のみが与えられた。 カナダは、サンピエール島およびミクロン島の領海が、ニューファンドランド島の南にあるカナダ独自の排他的経済水域を犠牲にして拡大することに反対している。オタワの連邦政府は、1992年のニューヨークの仲裁裁定から生じた領海を守るとしている。しかし、この仲裁裁定は仏加両国とも受け入れず、さらに群島の当局者たちも受け入れなかった。仏加間で問題となっている漁業問題は、カナダの沿海州と連邦当局の間でも発生している。しかし、この問題は、1990年以前ほど深刻ではなくなった。それは、漁業資源が減少し、オタワの連邦政府が大西洋岸全域で世界的な猶予を課したからである。 サンピエール島およびミクロン島の選挙当選者たちは、2009年3月に誕生した『大陸棚の集団』(Collectif pour le plateau continental)所属である。その目的は、領海問題において群島の権利拡大を目指し、2009年5月13日までにパリの国連境界委員会への同意書の提出を推進することであった。カナダは、フランス領の群島が大陸棚を拡張することになる可能性に反対する法律の草案を作成した。当時の内務大臣ミシェル・アリヨ=マリーは、2009年3月25日、国連で群島の漁場を拡大するよう要請する趣意書を発表した。フランスは2009年5月8日、国連に、サンピエール島およびミクロン島、フランス領ポリネシア、ウォリス・フツナにおけるフランス大陸棚拡張の事前申請を行った。このケースは行き詰っている。
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領海
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「オーストラリア南極領土」の記事における「領海」の解説
オーストラリア南極領海は、オーストラリア南極領土の沖合200カイリまでの国際水域である[3]。オーストラリアはこの領海がオーストラリア南極領土の排他的経済水域 (EEZ) に含まれると主張している。オーストラリアによる南極における主権の主張には異議が唱えられているため、多くの国家は南極EEZに関するオーストラリアの宣言に対して抗議した。一部は、これが南極条約第4条によって禁じられた主権の主張の「拡張」に当たると主張している。海洋法に関する国際連合条約 (UNCLOS) の規定では、沿岸国の排他的経済水域は領海を定めるベースラインから200海里 (370 km)を超えないと定められている。
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領海
「領海」の例文・使い方・用例・文例
- 領海内で
- 船は中国の領海を侵犯した
- 領海.
- 英国水域[領海]で.
- その船は針路を誤ってロシアの領海に入ってしまった.
- 領海内に侵入してきた飛行機はレーダーで捕捉された.
- 領海圏内
- 日本の領海内の出来事だ
- かつてカナダの領海で不法な釣をするニューイングランドの漁師によって使われていた快速スクーナー
- ある国の領海の限界
- 彼らは私たちの領海に侵入した
- すべての国の領海の外側の公海
- 米国とその領土の海岸12海里の距離に含まれる領海
- 領海のうちの沿岸海という海域
- 国の領土や領海の外の区域
- 無害通航権という,領海通航の権利
- 領海内での漁業
- 領海の範囲を画定する線
- 領海法という法律
- 三海里説という,国際法上の領海についての考え方
領海と同じ種類の言葉
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