領海条約とは? わかりやすく解説

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りょうかい‐じょうやく〔リヤウカイデウヤク〕【領海条約】


領海条約

読み方りょうかいじょうやく
【英】: convention on the territorial sea and the contiguous zone

正式の名称は、「領海および接続水域に関する条約」という。
1958 年 4 月 29 日第一次国連海洋法会議署名され1964 年 9 月 10 日発効したわが国は、この条約に対して 1968 年 6 月 10 日加入書を寄託し、7 月 10 日わが国につき発効した領海というのは、国家海岸沿う帯状海域であって沿岸国の領域一部とされるのである領海に関する国際法規は、これまで慣習法頼ってきたが、この条約によって法規細目までが明確になった。その意味で、この条約は、領海について既に慣習法として効力のある法規条文の形で文章化したものであって、この条約の非当事国に対して効力が及ぶものと解されている。条約の内容は、領海法的地位領海外側限界測定するための基線設定領海における外国船舶無害通航権接続水域制度などを規定している。しかし、この条約では、領海の幅の最大限定めることには成功しなかった。この条約の規定多くは、国連海洋法条約第 2 部領海および接続水域」の中に再度規定された。領海の幅の最大限に関する規則は、この 1982 年条約によって史上初め合意されたものである。(→領海

領海及び接続水域に関する条約

(領海条約 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/27 14:02 UTC 版)

領海及び接続水域に関する条約
通称・略称 領海条約[1]
起草 国際連合国際法委員会[2][3]
署名 1958年4月29日(ジュネーヴ
発効 1964年9月10日[1]
寄託者 国際連合事務総長[4]
文献情報 昭和43年6月21日官報号外第73号条約第11号
言語 中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語[4]
主な内容 領海および接続水域の制度を規定[1]
関連条約 国連海洋法条約大陸棚条約公海条約公海生物資源保存条約
条文リンク [1][2]
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領海及び接続水域に関する条約(りょうかいおよびせつぞくすいいきにかんするじょうやく)は、1958年4月29日に作成され1964年9月10日に発効した32カ条からなる条約である[1]領海条約と略称される[1]。52カ国が批准している[5]。第1次国連海洋法会議にて採択されたジュネーヴ海洋法4条約のひとつ[1][6][7]領海および接続水域の制度を規定する[1]

経緯

1947年、国連総会国際法の法典化を任務とする国連国際法委員会を設立し[2]、1949年の同委員会第1会期から領海制度の法典化が議題のひとつとして取り上げられた[3]。国際法委員会から領海制度に関する特別報告者に任命されたJ.P.A.フランソワは基線、隣り合う国家間の領海の境界画定方法について調査を行い[3][8]、専門家や各国政府の見解を参考にフランソワは報告書を作成し国際法委員会に提出、これをもとにして第6、第7会期に領海制度に関する条文草案が採択された[3]。さらに国際法委員会は1956年の第8会期にこの領海制度を含む海洋法制度全体をまとめた73カ条からなる条文草案を採択し、これを条約として実効性のあるものとするため国連総会に対し海洋法に関する審議を行うための外交会議の招集を勧告した[3]。この勧告を受けて国連総会は決議1105 (XI)を採択し[9]、これにもとづき1958年にスイスジュネーヴで開催された第1次国連海洋法会議に国際法委員会が作成した73カ条の草案が提出された[3][10]。86カ国の参加による同会議では国際法委員会の草案をもとに審議がなされ、その結果本条約とともに大陸棚条約公海条約公海生物資源保存条約条約の4つの条約が採択された[3][10]。この4つの条約はジュネーヴ海洋法4条約といわれる[1][11][12][13]

内容

領海の一般的地位(第1条、第2条)、領海の限界(第3条-第13条)、無害通航権(第14条-第23条)、接続水域(第24条)を規定し、現代の領海や接続水域の制度の基本を確定した[1]

領海に関する国家の権能について、本条約は「国の主権は、その領土及び内水をこえ、その海岸に接続する水域で領海といわれるもの」(第1条第1項)および「領海の上空並びに領海の海底を及びその下に及ぶ」(第2条)とする[14]

国連海洋法条約

領海条約採択時には各国の意見が一致せず領海の幅に関する規定は置かれなかったが、1982年に採択された海洋法に関する国際連合条約国連海洋法条約)第2部(第2条-第33条)には「領海及び接続水域」に関する規定が設けられ、領海の幅は12カイリまでとされた[1]

その他若干の相違はあるものの、国連海洋法条約は本条約を含めたジュネーヴ海洋法4条約の制度を統合し発展させたもので[1][15]、国連海洋法条約の締約国の間では4条約より国連海洋法条約の方が優先されることとなった(国連海洋法条約第311条第1項)[3]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k 筒井(2002)、340頁。
  2. ^ a b 筒井(2002)、136-137頁。
  3. ^ a b c d e f g h Law of the Sea: Régime of the Territorial Sea” (英語). 国際連合国際法委員会. 2013年5月1日閲覧。
  4. ^ a b
    この条約は、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語の本文をひとしく正文とし、その原本は、国際連合事務総長に寄託するものとし、同事務総長は、第26条に規定するすべての国にその認証謄本を送付するものとする。 — 領海及び接続水域に関する条約第32条
  5. ^ Convention on the Territorial Sea and the Contiguous Zone” (英語). United Nations Treaty Collection. 2013年5月1日閲覧。
  6. ^ 杉原(2008)、123頁。
  7. ^ 小寺(2006)、250頁。
  8. ^ Special Rapporteurs of the International Law Commission (1949-2011)” (英語). 国際連合国際法委員会. 2013年5月1日閲覧。
  9. ^ United Nations General Assembly resolution 1105(XI), "International conference of plenipotentiaries to examine the law of the sea"” (PDF) (英語). United Nations Dag Hammarskjöld Library. 2013年5月1日閲覧。
  10. ^ a b 筒井(2002)、132頁。
  11. ^ 筒井(2002)、230頁。
  12. ^ 筒井(2002)、85-86頁。
  13. ^ 筒井(2002)、67頁。
  14. ^ 杉原(2008)、100頁。
  15. ^ 筒井(2002)、48頁。

参考文献

関連項目

外部リンク


領海条約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/28 16:10 UTC 版)

領海」の記事における「領海条約」の解説

1958年領海及び接続水域に関する条約(領海条約)第14条第4項では、無害通航とは「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない航行定義された。しかしここでは外国船舶航行沿岸国にとって無害かどうか判断する基準は明確ではなかった。 そのため領海条約に従えば例え軍事演習諜報活動資源調査などといった、具体的にどのような行為領海において外国船舶が行うと無害ではないと判断されるかという、行為基準とした無害性の判断行為基準説)だけでなく、外国船舶軍艦かどうかといった、船種を基準とする判断(船種基準説)が採用される余地があった。

※この「領海条約」の解説は、「領海」の解説の一部です。
「領海条約」を含む「領海」の記事については、「領海」の概要を参照ください。

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