裁判管轄権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/13 18:47 UTC 版)
内水にある外国船舶への沿岸国による管轄権の行使には一般原則として公平性と濫用の禁止が要求される。 内水に滞在中の外国船舶(軍艦、非商業目的の政府船舶を除く)には沿岸国の裁判管轄権が及ぶ。ただし、船内の秩序維持に留まる事案であり、かつ内水の沿岸(港)などの平穏を侵害しないものについては、依然として船舶旗国の管轄権が及ぶ。もっとも沿岸国の管轄権優越が慣行であり、例えば奴隷が脱走し沿岸国に引き渡された事件では、奴隷的拘束が沿岸国で違法であるため外国船舶を捜査、船長を処罰した事例がある。また船内の秩序維持に留まると言えども殺人など重大な事案についてはやはり沿岸国の管轄権優越とする立場がある。またこの立場は、基本的に内水にあっては沿岸国が管轄権を行使しなかった場合に船舶旗国の管轄権が行使できるとする説にも矛盾しない。 これに対し、内水にある軍艦、非商業目的の政府船舶には沿岸国の裁判管轄権は及ばない。ただし、この法理は、軍艦・政府船舶から沿岸国へと上陸した人員にまで及ぶものではない(その他の属人的治外法権や、別途の国家間の条約や協定は適用されうる)。 これら内水における沿岸国の管轄権の行使は、直線基線の採用により拡張された内水の部分における無害通航権を実質的に害するものであってはならない。これに対し、通常基線より陸側の内水の部分については、群島水域に当たる場合を除き、無害通航権そのものが存在しない。
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