日米行政協定とは? わかりやすく解説

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にちべい‐ぎょうせいきょうてい〔‐ギヤウセイケフテイ〕【日米行政協定】

読み方:にちべいぎょうせいきょうてい

日米安全保障条約第三条に基づき昭和27年1952)に締結され在日米軍に関する細目協定施設の提供、出入国裁判管轄権などについて詳細に規定した。同35年日米地位協定として継承


日米行政協定

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/09 18:44 UTC 版)

日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定
通称・略称 日米行政協定
署名 1952年昭和27年)2月28日
署名場所 東京
発効 1952年(昭和27年)4月28日
現況 失効
失効 1960年(昭和35年)6月23日
締約国 日本アメリカ合衆国
文献情報 昭和27年4月28日(条約第6号) 官報号外第50号
言語 日本語および英語
主な内容 在日米軍の日米間での取り扱いなど
関連条約 (旧)日米安保条約
(新)日米安保条約
日米地位協定
条文リンク - データベース「世界と日本」
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日米行政協定(にちべいぎょうせいきょうてい)、正式には日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(にほんこくとあめりかがっしゅうこくとのあいだのあんぜんほしょうじょうやくだいさんじょうにもとづくぎょうせいきょうてい、英語: Administrative Agreement under Article III of the Security Treaty between Japan and the United States of America)は、1952年日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に従い日本アメリカの間で結ばれた、在日米軍基地地位などに関する協定。1952年2月28日に東京で岡崎勝男ディーン・ラスクに署名された[1][2]国会の審議は経ていない。現行の日米地位協定が正式に後継の協定である。

協定の各条項の評釈などを行ったものを採録した、公式議事録がある[3]

概要

日本は1945年降伏文書に署名後、占領期にはいったが、1951年サンフランシスコ平和条約旧日米安全保障条約が署名されると、日本の「独立」が約束された。

旧日米安全保障条約の第三条は米軍の駐留についての協定を予定していたため、1952年の1月から東京で本格交渉が開始された[4][5]

占領期から米軍などにより接収されていた区域や施設などについて、特段の取り決めがなされない限り合意がなくてもそのまま米軍が利用できるとするいわゆる「岡崎・ラスク交換公文[6]がとりかわされた[4][7][8]

1952年の2月28日に署名。サンフランシスコ平和条約と旧日米安全保障条約と同日の1952年4月28日に発効した。

1953年9月に、第17条の規定に従い、第17条が改定[9]されている[10][11][注 1]。同時に「日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の行政協定第十七条を改正する議定書に関する合意された公式議事録」が作成された[13][注 2]

日米安保条約第6条と日米地位協定第26条、行政協定第29条などに基づき1960年6月23日失効した。

合同委員会

協定の第26条は、この協定に関する「すべての事項」を協議するための、両国の代表者から組織される「合同委員会」を設置しており、ここでは協定に関する合意が作成された。

協定の第2条第1項では「個個の施設及び区域に関する協定」について、合同委員会を通じて締結すると定める。この規定に従い、1952年7月26日、東京で開催された合同委員会で、伊関佑二郎ローリン・エル・ウイリアムズ英語版が各国代表として、各自の政府に代わって「個個の施設及び区域」を決定する協定に署名し、即日効力が生じた[15][16][17]

1960年締結の後継の協定である日米地位協定においても、第25条で同様の目的で日米合同委員会が設置されているが、これらの協定は別の協定であり、これらの合意の効力の継続性が問題となりうる。このことに関して、日本政府は地位協定が審議されていた第34回国会で「従来の合同委員会の合意書というものは一応引き継いで参りますけれども、これは新しい委員会において検討をされていくものであります」としており[18]、また2016年在日米軍日米合同委員会事務局長は、日本側に宛てたレターの中で、「行政協定の下で行われた日米合同委員会に係る全ての事項は,日米地位協定に組み込まれて(incorporated)」いると主張したことがある[19]

2021年外務省は、行政協定下での合同委員会関連文書は、「慣行により,双方の合意がなされない限り公表しないこととされている」としており[20]、委員会の議事録などについては、原則としては公開されない。

脚注

注釈

  1. ^ ほぼ同時に日米合同委員会で日本がほとんどの事件で裁判権を放棄するという口頭での非公開の声明が出された[10][11][12]
  2. ^ 日米地位協定合意議事録の第17条に関する部分と同文[14]

出典

  1. ^ 山本章子 (2019). 日米地位協定. 中央公論新社. p. 20. ISBN 9784121025432 
  2. ^ 伊奈久喜 (2014年9月27日). “日米行政協定が署名された日 講和発効まで(88) 日米外交60年の瞬間”. 日本経済新聞. https://www.nikkei.com/article/DGXLASFK14H0W_R20C14A9I10000/ 
  3. ^ 日米安全保障関係文書集. 憲法調査会事務局. (1959). pp. 37〜51. doi:10.11501/1345450 
  4. ^ a b 山本章子 (2019). 日米地位協定. 中央公論新社. pp. 17~20. ISBN 9784121025432 
  5. ^ 末浪靖司 (2017). 「日米指揮権密約」の研究 自衛隊はなぜ、海外へ派兵されるのか. 創元社. pp. 143~146. ISBN 9784422300566 
  6. ^ 日米行政協定に関する交換公文 データベース「世界と日本」
  7. ^ 松竹伸幸 (2021). <全条項分析> 日米地位協定の真実. 集英社. pp. 34~48. ISBN 9784087211559 
  8. ^ “4・28 まずは歴史を知るべきだ”. 琉球新報. (2013年3月18日). https://ryukyushimpo.jp/editorial/prentry-204107.html 
  9. ^ 日米行政協定第17条改定に関する議定書(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定第十七条を改正する議定書) - データベース「世界と日本」
  10. ^ a b 松竹伸幸 (2021). <全条項分析> 日米地位協定の真実. 集英社. pp. 168~193. ISBN 9784087211559 
  11. ^ a b 山本章子 (2019). 日米地位協定. 中央公論新社. pp. 20~24. ISBN 9784121025432 
  12. ^ “米兵裁判権の一部放棄、米側に伝達 外交文書公表で判明”. 日本経済新聞. (2011年8月26日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2600A_W1A820C1EB1000/ 
  13. ^ 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(前文〜日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の行政協定十七条を改正する議定書に関する合意された公式議事録) (外務省)
  14. ^ 合意議事録の英訳対象全文(PDF) (外務省)
  15. ^ 施設・区域の使用条件等に関する事項【概要】 (外務省)
  16. ^ 昭和27年7月26日付「官報号外第73号」 外務省告示第33号
  17. ^ 1952年7月26日付 毎日新聞 『米軍使用施設きょう署名 三月返還の住宅七六0 無期限提供三四八』
  18. ^ 第34回国会 衆議院 日米安全保障条約等特別委員会 第10号 昭和35年3月25日 113 藤山愛一郎 (国会会議録検索システム)
  19. ^ 「合意に係る日米合同委員会議事録」の不開示決定に関する件 pp.3~4 (情報公開・個人情報保護審査会答申書 平成28年度(行情)623)
  20. ^ 特定日の日米合同委員会議事録の不開示決定に関する件 p.3 (情報公開・個人情報保護審査会答申書 令和4年度(行情)490)

関連項目

外部リンク


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  • 日米行政協定という2国間協定
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