領海における無害通航権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/16 17:39 UTC 版)
「中華人民共和国領海及び接続水域法」の記事における「領海における無害通航権」の解説
国連海洋法条約は「第3節 領海における無害通航」の中の「A すべての船舶に適用される規則」において無害通航権の関連規則を定め、その後に「B 商船及び商業目的のために運航する政府船舶に適用される規則」、「C 軍艦及び非商業的目的のために運航するその他の政府船舶に適用される規則」が続く。その条文構造から、軍艦についても無害通航権が認められるとの解釈を、日本をはじめ先進国はとっている。沿岸国は外国の軍艦に対して航行や衛生などに関する法令の遵守を要求できるが、同条約第30条~第32条に照らせば、軍艦がこれに従わないときは退去を求め得るだけで、いかなる場合も軍艦又は非商業的目的のために運航するその他の政府船舶に対し強制措置をとることは許されない。 一方、当法律第6条は1項で「外国の非軍用船舶は、法令により中華人民共和国領海を無害通過する権利を有する」と規定し商船等の無害通航権を承認する一方で、2項で「外国の軍用船舶は、中華人民共和国の領海に入る場合には、中華人民共和国政府の許可を経なければならない」と規定し外国軍艦の中国領海の通航について事前許可制度を採用している。日本の坂元氏は「(省略)領空は自由でないものの、領海には軍艦を含む外国船舶の無害通航権が認められており、国際法上の解釈として問題がある」と指摘している。 潜水艦等の領海内の航行については、国連海洋法条約第20条をそのまま中国領海法第7条に規定し、潜水艦等の中国領海の通航につき浮上航行を義務付けている。 外国の原子力船及び核物質又はその他の本質的に危険若しくは有害な物質を運搬する船舶については、中国領海法第8条2項で国連海洋法条約第23条の規定と同様の規定を置き、当該船舶が中華人民共和国の領海を通過する場合には、関係証明書を携帯し、かつ特別予防措置を講じる義務を定めている。
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