警察権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 10:02 UTC 版)
警察権は社会や公共の秩序を維持するために国民に対し命令や強制を加える公権力のことである。国家における警察権とは一般にはドイツにおいて18世紀および19世紀前半にあらわれた権力形態を指し、非立憲的かつ前産業的な国家形態のうち、その行政部分を取り上げてとくに警察国家と呼ばれる。警察国家は法治国家の対語として用いられ、内容的に不確定な「警察権(ius politiae)」に基礎をおいた行政執行が、合目的性には従うものの格別法的な形式や法的原則に服していなかったことに特徴がある。国家を統治するための高権と人民との間には事実的な権力関係が存在し、司法や行政の名目上の区別にもかかわらず法学上の根拠をもたないため行政法や行政法学ではなく、法学上の分野としては成立しえない「警察学」により統治される。19世紀の中葉にはドイツ社会や政治理念、憲法構造の革命により警察は行政法に、警察学は行政法学にとって換わられた。警察権の行使については警察公共の原則、警察責任の原則、警察比例の原則、警察消極の原則の4原則があるとされる。 警察公共の原則 警察権は公共の秩序と安寧を維持するという消極目的のためのみに発動することができる。私生活不可侵、私住所不可侵、民事不介入を原則とする。 警察責任の原則 警察権は警察違反の状態にあるとき、警察責任を有する者に対してのみ発動することができる。 警察比例の原則 警察権の発動は、除去すべき障害に対比して社会通念上相当であるということができる範囲でのみ発動することができる。 警察消極の原則 警察権は、公共の秩序と安寧の維持、これらに対する障害の未然防止および既然の鎮圧といった消極的な目的のみ発動されるのであり、その限界を踰越した積極的作用は違法である。
※この「警察権」の解説は、「警察」の解説の一部です。
「警察権」を含む「警察」の記事については、「警察」の概要を参照ください。
「警察権」の例文・使い方・用例・文例
- 警察権のページへのリンク