恩恵とは? わかりやすく解説

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恩恵

読み方:おんけい

「恩恵」とは、他者外部環境などからもたらされる恵み利益、好ましい影響など意味する表現である。「恩恵を受ける」「恩恵に与る」「恩恵に浴する」「恩恵を享受する」といった言い回し用いられることが多い。「恩恵」は漢語由来二字熟語であり(中国語では「恩惠」と表記される)、日本語では「恩」とも「恵み」とも言い換えられる。物質的な金銭的な精神的なあらゆる種類の好ましい事柄が「恩恵」と表現できる

「恩恵」には、「外部から一方的にもたらされる(それを得るための努力積極的な行動を必ずしも要しないメリット」というニュアンスや、「恵みもたらしてくれる根源感謝する」ようなニュアンスがが多分に含まれる

「恩恵」の発音・読み方

「恩恵」の読み方は「おんけい」である。

「恩恵」の誤読や誤用に注意

「恩恵」は「おん-え」とは読まない

また、「恩恵に授かる」という言い方はしない、これは「恩恵に与る(あずか-る)」の空覚え思われるが、誤用である。

「恩恵を授かる」とは表現できなくもないが、一般的な言い方ではない。

「恩恵を被る」は一応は正し表現であるが、「被る」はネガティブ影響を受けるニュアンス伴いがちな文脈用いられることの多い言葉であり、人によっては微妙な違和感を抱く可能性がある。

「恩恵」の語源・由来

「恩恵」は漢語一般的な語彙である。特に出典あるよう言葉故事成語の類)ではない。

「恩」も「恵」も、ともに「恵み」や「いつくしみ」を意味する字である。類義語同義語並べて熟語にした(二字熟語にはよくある構成言葉である。

「恩恵」の類語

「恩恵」の類語としては、まずは「恵み」が挙げられる意味合い使い所微妙に異なるが「恩寵」「温情」「便益」「メリット」あるいは「おこぼれ」なども類似表現として挙げられる

恩寵」は特に神や主君といった「いわゆる絶対的上位者」から与えられる恵み慈悲を指す意味で用いられる語である。

温情」は他者情け寛大な心、親切心などを指す意味で用いられる語である。

便益」や「メリット」は、都合良く利益があることがらを指す意味で用いられる語である。

おこぼれお零れ)」は、他者が余らせた・残した自分にとって旨味のあるもの、という意味で用いられる語である。

おん‐けい【恩恵】

読み方:おんけい

恵みいつくしみ。「—を施す」「自然の—に浴する

キリスト教で、神の恩寵(おんちょう)。


恩恵

作者ウラジーミル・ナボコフ

収載図書ナボコフ短篇全集 1
出版社作品社
刊行年月2000.12


(恩恵 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/13 21:25 UTC 版)

(おん)とは、他の人から与えられた恵み、いつくしみのこと[1]

概説

恩は、すでに後漢時代の許慎の『説文解字』において、「恵(めぐみ)」という意味だと解説されていた。

日本でも『日本書紀』や『古語拾遺』などでも「恩」は「めぐみ」「みうつくしみ」「みいつくしみ」などの読み方がされていた。

ところで「めぐみ」という言葉の語源は、「菜の花が芽ぐむ」などと表現する時の「芽ぐむ」という言葉を名詞の形にしたものとされている。木や草が芽ぐむのは、冬の間は眠っていた草木の生命力が春の陽気によってはぐくまれて目覚めることによる。つまり、他の者に命を与えたり命の成長を助けることが「めぐみ」を与えることであり、恩をほどこすことなのだということなのである。その逆の立場が、めぐみを受けること、恩を受けることである、と理解される。

恩というのは、狭い意味では、人からさずかる恵みを指しているが、広義には、神仏あるいはこの世界全ての存在からさずかる恵みも指している。

仏教では、自分が受けている恵みに気づき、それに感謝することを重視している(後述)。キリスト教でも、神から届けられている恵みを感じることが重視されている(後述)。自分にめぐみが届いているのだと繰り返し意識することは、幸福感をもたらすことであり、様々な宗教で重視されている。

恵みを受けることは「受恩」と言うことがあり、自分がめぐみを受けていることを自覚することは「知恩」と言う。また、めぐみに報いることを「報恩」と言う。

恵みを受けているにもかかわらず、自分が受けている恵みに気付かないこと、恵みに感謝しないこと、恵みに報いようとしないことなどを「恩知らず」と言う[2]

仏教での概念

古代インドの原始仏教においては、他者によって自分のためになされたことを知り、それに感謝することが重要な社会倫理である、と説かれていた。この説明で用いられる古代インドの表現「krta(なされたる)」、「upakara(援助・利益)」は、中国で「恩」と翻訳されることになった。

この原始仏教の社会倫理の概念はやがて「四恩」の概念へと発展した。

『正法念処経』(しょうぼうねんじょきょう)では、母親、父親、如来説法してくださる法師からの恩、の四恩のことが説かれた。

『大乗本生心地観経』(だいじょうほんしょうしんじかんぎょう)では、父母、衆生国王三宝の四恩のことが説かれた。

中国では儒教が浸透しており、そこでは、親の恩、親の恩に報いる「」の倫理が重視されていた。よって、親の恩と孝を説く『父母恩重難報経』を中国人は重視した。

仏教では、自分がめぐみを受けていることに気づくこと、自覚することを「知恩」と言い、これを重視する。寺の名称などにもしばしば用いられている。

仏教では上記のように恩は肯定的に捉えられている。

ただし、古代インドの言葉で「trsna(渇愛)」や「priya(親の情愛)」も漢語で「恩」と訳されることがあり、そちらのほうは、仏教の修行の妨げになるものと理解されている。

キリスト教での概念

キリスト教において扱われている恩の概念で何より重視されているのは神の恩である。これは、無条件に人間を救おうとする神の無償の働きかけのことをいう。

ギリシャ語でἀπολυτρώσεως(アポリュトローシス)、λυτρόω(リュトロオー)と表現する。日本語においては「贖い」と訳され、あるいは「キリストの磔刑」とも表現されている。

神の愛は、人間の愛とは異なっていて、相手の性質を条件とはせず、むしろ罪深い人間に対してまず賜物を与えて、人間の側の自由な応答を待つとする。よって恩寵は、新約聖書では「義認」という訳語になっていることがある。

アウグスチヌスは、恩寵論を展開した。13世紀には、トマス・アクィナスが恩寵論を精緻に探究し、恩寵が、人間の自由意志の能力に働きかけ(現行的恩寵)、それによって人間存在そのものを高揚させ成聖することを語った。

東方ギリシャ教父の思想では、創造および人間・宇宙の営為一切が恩寵的なエネルゲイアの影響のもとにあると理解されている。

マルティン・ルターは、恩寵の前に赤裸に存在する人間のあり方の重要性を説いた。

脚注

  1. ^ 出典:大辞林
  2. ^ デジタル大辞泉「恩知らず」

参考文献

  • 「Yahoo百科事典」[1]
  • 仏教思想研究会編『仏教思想4 恩』平楽寺書店、1979
  • 平凡社『世界大百科事典』

関連項目

仏教関連
キリスト教関連
作品

恩恵(ギフト)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 01:23 UTC 版)

問題児たちが異世界から来るそうですよ?」の記事における「恩恵(ギフト)」の解説

様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられ特異な力。様々な形変幻し、生命宿ることでその“恩恵”となる力を発揮するのである

※この「恩恵(ギフト)」の解説は、「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」の解説の一部です。
「恩恵(ギフト)」を含む「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」の記事については、「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」の概要を参照ください。

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恩恵

出典:『Wiktionary』 (2021/08/14 05:23 UTC 版)

名詞

おんけい

  1. めぐみ利益
  2. 好ましい結果影響

類義語

対義語


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