恩送り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/10/13 13:30 UTC 版)
|
|
この記事には複数の問題があります。
|
概要
「恩送」という言葉は江戸時代の文献ですでに使用されているが、その意味は「おんがえし(恩返)」と同一だとされる[3]。
しかし、井上ひさしは「恩送り」が、誰かから受けた恩を、自分は別の人に送る。そしてその送られた人がさらに別の人に渡す。そうして「恩」が世の中をぐるぐる回ってゆくことを指しているとした[1]。この意味での「恩送り」は、親切をしてくれた当人へ親切を返そうにも適切な方法が無い場合に第三者へと恩を「送る」。恩を返す相手が限定されず、比較的短い期間で善意を具体化することができる。
こうした用例での「恩送り」も江戸時代から存在していた[1]。事実、『菅原伝授手習鑑』には次のような記述がある。
また、「恩送り」と意味が相当程度に重なる別の表現が古くから日本人にはしっかり定着している。「情けは人の為ならず」というものである。「情けは人の為ならず」とは「情け(=親切)は、いずれは巡り巡って(他でもない)自分に良いことが返ってくる[5](だから、ひとに親切にしておいた方が良い)」という意味の表現である。「恩送り」や「情けは人のためならず」といったモラル・常識は、各地の人間社会が古くから持っている良識のひとつ。
類似した考え方は、日本以外の国々、様々な国・共同体にも見られる[6]。英語ではA kindness is never lost(親切は決して失われないので実行しよう)という表現がある。近年、英語圏では「恩送り」に相当する概念が、Pay it forward(ペイ・イット・フォーワード)の表現で再認識されるようになった。
- Pay it forward or paying it forward refers to repaying the good deeds one has received by doing good things for other unrelated people.
小説『ペイ・フォワード 可能の王国』が書かれ、この本のアイディアをもとにペイ・イット・フォーワード財団が設立された。この財団は学校の生徒、親、教師に、このPay it forwardの考え方を広める活動をしている。
日本でも近年「恩送り」という考え方に言及している本はいくつもある[7]。
出来事
齋藤飛鳥卒業コンサート内で齋藤飛鳥がメッセージの1つとして利用した。2026年放送のアナザースカイ 齋藤飛鳥MC就任SP回では「ゆいまーる」が同じような意味として紹介されている。
注釈
- 1 2 3 井上ひさし『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』
- ↑ 『恩送り』 - コトバンク
- ↑ “精選版 日本国語大辞典「恩送」の解説”. コトバンク. 2021年9月2日閲覧。
- ↑ 寺子屋の段[リンク切れ]
- ↑ 『広辞苑』第2版1656頁
- ↑ en:Pay it forwardにも、古くからの言及に関する説明あり。
- ↑ 例えば、次のような本。
- 中村文昭著『非常識力。でっかいことを考える、カッコいい大人になれ! 』(PHP研究所、2007)
- 志賀内泰弘著『毎日が楽しくなる17の物語:ようこそ「心の三ツ星レストラン」へ』2009、等々等々。
『(恩師などから)受けた恩を返すなんて、とてもできることじゃない。でも受けた恩をまた別の人に送り伝えてゆくことはできるんだ。そのことを「恩送り」というんだ (...)受けた恩に比べたら、自分は何分の一も返せないのに恩返ししようなどとはおこがましいかもしれない。だが、恩送りなら、小さなことから少しずつ、できることをやればよいし、それしかできないだろう』
関連項目
- ペイ・フォワード 可能の王国
- お互いさまの街ふくしま - 恩送りの考え方を元に、生活困窮者をさりげなく救済する事業
- カフェ・ソスペーゾ
- チャリティー
- 贈与 (経済人類学)
- 互酬
- 六次の隔たり
- ソーシャル・ビジネス
- 社会的責任
関連書
- ひまわり『恩送り』日本文学館、2011 ISBN 4776531127
外部リンク
- 恩送りのページへのリンク