ベトナム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/11 16:50 UTC 版)
交通
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道路
鉄道
空港
科学技術
ベトナムの科学技術に対する国家支出は、2010年時点でGDPの約0.45%に達している。
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国民
ベトナム社会主義共和国憲法第5条に「ベトナム社会主義共和国はベトナムの地に共に生活する各民族の統一国家である」と、多民族国家であることを規定している。ベトナム政府が公認しているだけでも54の民族がいる。ベトナム国民は、身分証明書を一定年齢以上に達すると発給され、身分証明証には民族籍を記入する欄が設けられている[114]。
人口
ベトナムの総人口は、2022年現在で9,832万人となっている。1988年以降「2人っ子政策」をとってきたが、2017年を以って廃止された[115]。
民族構成
公式に認められている民族が54あり、そのうちキン族(ベトナム族)が最も多く、全人口の85%から90%を占める。キン族の言語であるベトナム語はムオン族・セダン族などと同じオーストロアジア語族(モン・クメール語派)語族に属する。ムオン族はホアンビン省、タインホア省の山間部に住み、ベトナム語のゲアン方言などとの近似性が指摘されている[116]。
その他に少数民族としてホア族(華人)、タイ系のタイー族・ターイ族・ヌン族、クメール族(クメール・クロム)、ムオン族、モン族(ミャオ族)、ザオ族などがある。少数民族のうち、ホア族とクメール族以外の大半は山地に住む。
言語
言語はベトナム語(越南語)が公用語である。その他にも華語(主に広東語、閩南語、北京語)、クメール語なども使われており、フランス領インドシナ時代の影響から、少数のエリート層や高齢者の間ではフランス語が理解できる人もいる。また、ソビエト連邦など共産主義国とのつながりがあったため、ロシア語を理解できる人もいる。ただし、最近の若年者の教育は英語教育が一般的になり、町の看板などを見渡してもベトナム語以外では、欧米人観光客向け(観光客相手に生活していく上でも、英語ができないと生活が成り立たないため)に英語が目立つのが、現在の状況である。
文字
詳細については、各項目を参照のこと。
- チュ・クオック・グー(𡨸國語)
- 声調をもつベトナム語を表記するために発明された声調入りアルファベット(ラテン文字)であり、現在唯一の公用文字。17世紀にフランス人のイエズス会宣教師、アレクサンドル・ドゥ・ロードが、カトリック教会布教の為に発明した文字。19世紀末以降のフランス植民地時代に普及し、1945年の独立時に正式に公用文字となった。現在、ベトナム語はもっぱら、この文字により表記される。
- チュハン(𡨸漢)
- ベトナムにおける漢字。上記のチュ・クオック・グーが公用文字となるまで、ベトナム語を表記する公用文字はなく、書き言葉としてはもっぱら漢文(古中国語)が用いられた。チュ・クオック・グーの普及により使用頻度が減少したが、ベトナム語の中には漢字語の影響が強く残っている。北ベトナムでは1950年の暫定教育改革により漢文教育を廃止し、1954年には漢字の公的な使用を全廃、南ベトナムでは1975年の崩壊まで中等教育での漢文科が存続していた。2014年現在では、僧侶か日本語や中国語の学習者しか読めなくなっている。
- 漢字の音と意味による形成
- 訓読み
- 当て字
など、複数の造字法があり複雑で、一時期を除いて公用文字に採用されることはなかったが、民族意識の高まりを背景に民間では有識者層を中心に普及し、18世紀から19世紀には多くのチュノム文学が生まれた。20世紀になると、漢字の画数が複雑過ぎる事で、初等教育に支障を来す事や、チュ・クオック・グーの普及により、急速に衰退の道を辿った。
人名
主要民族であるキン族を中心に、人名の多くは、漢字文化圏に属しており、人名も漢字一字(まれに二字)の漢姓と、一字か二字(まれに三字)の名からなる構造は中国と共通している。婚姻の際には基本的に夫婦別姓となる。しかし各字の機能は漢名とは異なっており、名のうち一字目は「間の名」(tên đệm、ミドルネーム)と呼ばれ、末字の名と一体化しておらず、また中国の輩行字、朝鮮の行列字のような世代の区別に使われることもない。目上や目下に対しても、呼びかけに使われるのは末字の名のみであり、間の名は含まれず、また姓を呼びかけに使うことはほとんどない。
名付けに使われる語は必ずしも漢字由来のものに限らず、庶民の間では固有語による名付けがかなり存在している。また少数民族の名前には、上記の説明にあてはまらない固有のシステムを持つものがある。
宗教
宗教は仏教(大乗仏教)が大半を占めている。その他にも道教、カトリック教会がある。中部(旧チャンパ王国の領域)ではイスラム教やヒンドゥー教、南部にはホアハオ教や、混淆宗教としてのカオダイ教が教勢を保っている。公的に認められた宗教は、仏教、カトリック、プロテスタント、イスラム教、カオダイ教、ホアハオ教の六つである。このうち後ろの二つは、ベトナム独自の宗教である[117]。
カトリック教会は、バチカン市国と国交を樹立しておらず、プロテスタントに関しては、アメリカ合衆国の宣教団体からの布教が強かった経緯もあり、旧南ベトナム地域および、ベトナム戦争中に南側についたバフナル族、ジャライ族、エデ族、コホ族などの山岳民族の間での信仰が中心である。
それぞれの公認教団の信徒数は、2008年の資料で仏教1,000万人、カトリック550万人、カオダイ教240万人、ホアハオ教160万人、プロテスタント100万人、イスラム教6万5千人となっている[118]。公認教団の一例としてはベトナム仏教僧伽がある。
憲法では、信教の自由を人民に保障しているが、同時に信仰に制限があることも法律に明記している。過去には2001年、2004年に、ベトナム政府に土地を奪われた山岳民族による暴動が元で、プロテスタントの弾圧が起きた。また、政府非公認教団である「統一ベトナム仏教教会」が弾圧に抗議して1992年に騒擾事件を起こす事件も発生している。2014年現在でも、非公認プロテスタント教団の活動は第三級行政区レベル(坊、社、市鎮)に留められており、より上位の行政区では活動ができないなどの各種制限が存在する[118]。
また、ベトナム共産党員はホー・チ・ミン元国家主席のみを信仰する傾向がある。無論ホー・チ・ミン信仰は「宗教ではない」が、それに匹敵する影響力を有する(ホー・チ・ミン自身は、自らが個人崇拝の対象になることを、徹底的に嫌っていた程であった)。
教育
成人識字率は、95%(2018年、米CIAによる)[119]。学校で勉強する必修の第一外国語は英語が一般的である。英語以外にはロシア語、フランス語、中国語、日本語、韓国語、ドイツ語がある[120]。
- 初等教育
- 6歳から始まり、小学校5年間、義務教育、学費は原則無料。
- 中等教育
- 基礎中学校(前期中等教育、日本での中学校に相当)4年間、普通中学校(後期中等教育、日本での高等学校に相当)3年間。
- 5-4-3制で、この期間を普通教育と呼ぶ。
- 高等教育
- ベトナムの大学には国家大学(首相直轄校)、国立大学(地方総合大学、専門大学:教育訓練省、厚生省、文科情報省、人民委員会などの所轄)、民立大学がある。
- 3年制の短期大学と4-6年制の大学がある。
教育行政
教育行政は、中央に教育訓練省、地方の省レベル[注 12]に教育訓練局、県レベルに教育課がある。学校段階別の管轄関係は基本的には次のようになっている。高等教育は教育訓練省、普通中学は教育訓練局、基礎中学・小学校・幼稚園・保育園は教育課。これら教育行政機関の職員は「教育管理幹部」と呼ばれ、教育経験者。教員の資格要件は、幼児教育と初等教育で中等師範学校卒、前期中等は師範短期大学卒、後期中等教育は大学卒となっている[121]。
保健
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衛生環境
ベトナムには豊富な地表水と地下水資源が存在するが衛生設備が整っていない状態が今も続く為、乾季には局地的な水不足が発生する問題点を抱えている。
医療
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治安
ベトナムは近年の経済発展による貧富の格差拡大や地方貧困層の都市部への流入などに伴い、治安状況が悪化して行く傾向が見受けられる。現在、殺人や強盗などの凶悪犯罪の発生は少ないものの、外国人住居への忍び込み、繁華街周辺でのひったくり、スリや置き引きなどの窃盗事件が発生しており、特に日本人旅行者は空港や市場、路上、ホテル、レストランなどで旅券や現金などの貴重品の盗難被害に遭うケースが頻繁に報告されている実状がある為、身の安全の確保の為にも不要な散策などは安易に行わない姿勢が求められる。
また同国治安当局は、これまで国内にテロ組織や反政府組織は存在しないとしていたが、国外においては2016年に在外反政府組織「ベトタン」をテロ組織として扱うとの報道がなされており、当局がベトナム人海外移住者(越僑)を主体とする反政府活動家の活動に対して警戒を強めている現状がある。
なお、政府の土地収用をめぐって国内の至る所で争議が頻発しており、2020年1月にはハノイ市近郊において警察官3名が死亡する大規模な騒擾事件が発生するなど、政府に対する抗議活動が行われている[122]。
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法執行機関
人民公安局が治安維持を担っている。この機関は公安省の指揮下にある。
人権
ボイ・ダイと呼ばれる、都市部を生活圏とするホームレスへ対する人権侵害が問題視されている。
人権問題
ヒューマン・ライツ・ウォッチによると言論、精神、出版、団結、宗教といった基本的人権が制限されている。人権活動家やブロガーは、嫌がらせ、脅迫、暴力、投獄に直面している[123]。
アムネスティ・インターナショナルは、Facebook、Googleがサービスを提供しているが、政府の検閲に協力しているとしている[124]。
LGBTの権利
主に南部では、タイやカンボジアと同様に、トランスジェンダー文化の伝統があるが、主に儒教の影響から同性結婚は長らく認められず、2002年に国営メディアでは同性愛を売春や賭博、違法薬物などと並ぶ「社会悪」であるとの認識を表明し、同性愛の規制や同性愛カップルの逮捕を行える法整備を確約した[125]。しかし世論の高まりとともに、2009年に初の女性への性別変更と改名が認められる判例が生まれた。2013年には同性愛の禁止と罰金制度が法律から削除され[126]、また同性カップルの同居に対して、正式な結婚には劣るが、ある程度の権利が認められた。しかし後にこの権利条項は削除されている[127][128]。2014年10月時点、同性愛は禁止こそされてはいないが、法律婚など法的な権利が認められているわけでもない。
注釈
- ^ ただし現在のディエンビエン省・ライチャウ省にはタイ族のムアン型国家「シップソンチュータイ」があり、これは第一次インドシナ戦争の終結まで残った
- ^ 「一党独裁支配の国であり、選挙は政治において重要な役割を果たしてはいない。国会議員選挙が5月に行われたが、候補者たちは、党の翼賛団体「ベトナム祖国戦線」の入念なチェックを受けている。当選した500人のうち、非共産党員の議員はわずか42人だった」[43]
- ^ 108年6月底在臺合法居留外僑人數76.4萬人 - 國情統計通報
- ^ 1944年末ごろ、アメリカの航空将校ショウ中尉は飛行機事故のためカオバン付近の山地へパラシュートで降下したが、これを知ったフランス軍が数百名の部隊を派遣して、日本軍とともにその地域を包囲し、飛行機と操縦士の捜索を始めた。しかしその包囲が完成する寸前にショウ少尉はベトミンにより救出され、ベトミン三個小隊の護衛とともに国境のベトミン基地まで脱出、そこからホー・チミンに付き添われながら昆明のアメリカ空軍司令部にたどりついたという[59]。
- ^ ホー・チ・ミンによる独立演説「1940年の秋に、ファシスト日本が連合国との戦いにおいて新しい基地を確立する為にインドシナ半島の領域を荒らした時、フランスの帝国主義者は彼らに膝を曲げてひざまずいて、我々の国を彼らに手渡した。このように、その日付から、我々の身内は、フランス人と日本人の二重の軛に服従した。」
- ^ 日教組分裂(1991年3月6日)以前の都教組委員長。
- ^ 現 民主党及び社民党
- ^ 国際交流基金日本語教育機関調査
- ^ 発起人は中野英之。
- ^ 熱帯の北限ラインはハティン省あたりを通っている
- ^ Coordinates obtained from Google Earth. Google Earth makes use of the WGS84 geodetic reference system.
- ^ 地方行政は通常3段階に分かれている。60余りある省レベルの下に県レベル、その下に社レベルがある[121]。
- ^ タインニエン、トゥオイチェーともに、言葉の意味合いとしては同じ「青年、Youth」であるが、タインニエンは漢語、トゥオイチェーは固有語であるため、ここでは前者を漢語の「青年」後者を和語の「若者」と訳した。
- ^ 。教師の給与は極めて低く、教職は貧しいが人々から尊敬される職業の代表である。
出典
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- ^ 『現代ベトナムを知るための60章』, p. 212-213, 西野範子・西村昌也「文化遺産と美術品」.
- ^ シーゲーム、ベトナム勢が国技ボビナムなどで金メダル - [サッカーニュース]、VIETNAM-FOOTBALL - ベトナムフットボールダイジェスト、閲覧2017年9月18日
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