すいりょく‐はつでん【水力発電】
水力発電 (すいりょくはつでん)
水力発電 (すいりょくはつでん)
水の位置エネルギーを利用して電気を生み出す発電方式。河川の水を高い所から低い所まで導き、その流れ落ちる勢いにより水車を回して電気を起こします。水の量が多いほど、また流れ落ちる高さ(“落差”)が大きいほど、発電量は大きくなります。水力発電は、再生可能・純国産・クリーンな電源といわれ、日本の全発電量の約1割が水力発電によっています。水力発電は、いくつかの観点から分類されています。 ■水の利用方式からの分類 ・貯水池式 河川を流れる水の量は、季節的に大きく変化します。このため、水量が豊富で電力の消費量が比較的少ない春先や秋口などに河川水をダムなどの大きな貯水池に貯め、電力が多く消費される夏季や冬季にこれを使用する年間運用の発電方式を貯水池式といいます。 ・調整池式 夜間や週末の電力消費の少ない時には発電を控えて河川水を池に貯め込み、消費量の増加に合わせて水量を調整しながら発電する方式を調整池式といいます。 ・流れ込み式 河川を流れる水を貯めることなく、そのまま発電に使用する方式を流れ込み式といいます。 ・揚水式 1日の電力消費量は時間帯により大きく異なり、ピーク時には最も少ない時の約2倍にも達します。揚水式は、ピーク時に発電する方式です。通常地下に造られる発電所とその上部、下部に位置する2つの貯水池(上池・下池)から構成されます。昼間のピーク時には上池に貯められた水を下池に落として発電を行い、下池に貯まった水は電力消費の少ない夜間に上池にくみ揚げられ、再び昼間の発電に備えます。揚水発電所には、発電に利用する水をすべて揚水によって得る純揚水式と、発電に使用する水を揚水のほかに河川の自然流入を利用する混合揚水式とがあります。 ■構造による分類 ・ダム式 ダムにより河川をせき止めて池を造り、ダム直下の発電所との落差を利用して発電する方式です。この方式は、水利用としては、貯水池式や調整池式であることが一般的です。 ・水路式 川の上流に低い堰を造って水を取り入れ、長い水路により落差が得られるところまで水を導き発電する方式です。この方式は、水利用としては流れ込み式であることが一般的です。 ・ダム水路式 ダム式と水路式を組み合わせた発電方式です。この方式は、水利用としては貯水池式、調整池式又は揚水式であることが一般的です。 |
水力発電
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/15 03:07 UTC 版)
水力発電(すいりょくはつでん、英語: hydroelectricity)とは、水の持つ位置エネルギーを利用して、落水や流水により水力で羽根車を回し、それによる動力で発電機を回して電気エネルギーを得る(発電を行う)方式のことである[1]。略称は「水発(すいはつ)」「水力(すいりょく)」。
注釈
- ^ 後述する水力ドットコム他のサイトで三居沢が記録がある最古と記述されているが、薩摩島津家が1882年に磯庭園発電所の運用を開始したとの参考記述がある。
出典
- ^ 大辞泉「水力発電」
- ^ a b 広辞苑第六版「水力発電」
- ^ 川上博『小型水力発電実践記: 手作り発電を楽しむ』パワー社、2006、ISBN 4827722870
- ^ 井上 博成; KEELEY Alexander 竜太 (2018). “日本における小水力発電の普及に係る障壁と課題 ―事業主体の視点から―”. 日本エネルギー学会誌 (日本エネルギー学会) 97. doi:10.3775/jie.97.245 2022年6月27日閲覧。.
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- ^ “Hydroelectric power - energy from falling water”. Clara.net. 2013年4月16日閲覧。
- ^ “History of Hydropower”. U.S. Department of Energy. 2013年4月16日閲覧。
- ^ 水力ドットコム [1]
- ^ 水力ドットコム 「日本の水力発電の歴史. 明治21年~明治30年」
- ^ 技術教育教材サイト 「蹴上発電所」
- ^ 京都市情報館 「水力発電事業発祥地」
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- ^ 「緊急停電 家庭は明日から 大口工場きょう実施」『朝日新聞』昭和26年1月9日
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- ^ “日本の水力エネルギー量”. 経済産業省 資源エネルギー庁. 2021年9月13日閲覧。
- ^ “再生可能エネルギー・エッセンシャルズ:水力発電(日本語版)”. OECD/IEA, 9 rue de la Fédération, 75739 Paris Cedex 15, France.. 2021年9月13日閲覧。
- ^ a b “日本の水力エネルギー量・出力別包蔵水力(一般水力)”. 経済産業省 資源エネルギー庁. 2021年9月12日閲覧。
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- ^ 向井一馬「大規模電力貯蔵 揚水発電:揚水発電 電力貯蔵の現状と将来―2」『電気学会誌』第123巻第5号、電気学会、2003年、272-274頁、doi:10.1541/ieejjournal.123.272、ISSN 1340-5551、NAID 130000755328。
- ^ 清水徹朗「小水力発電の現状と普及の課題 (再生可能エネルギー推進の課題)」『農林金融』第65巻第10号、農林中央金庫 ; [1948]-、2012年10月、634-652頁、ISSN 1342-5749、NAID 40019456088。
「水力発電」の例文・使い方・用例・文例
- 水力発電所
- 水力発電ダム.
- 水力発電所は、より多くの電気を発生させる必要がある
- 水力発電
- 水力発電タービンの1タイプ
- 水力発電という発電方式
- 揚水式発電という水力発電
- 余水路という,水力発電所における,余分の水を流すための水路
- 水力資源という,水力発電に利用される水
- 水力タービンという,主に水力発電で使われる水車
- 水力発電所のサージタンクというタンク
- 潮流発電は一種の水力発電である。
- ブータンは水力発電による豊富な電力を利用し,電気自動車を活用することで温室効果ガスを排出しない国「ゼロエミッション国家」になる目標の達成をめざす。
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