国際連合安全保障理事会常任理事国
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国際連合安全保障理事会常任理事国(こくさいれんごうあんぜんほしょうりじかいじょうにんりじこく、英語: Permanent members of the United Nations Security Council、略称:常任理事国、じょうにんりじこく)は、国連安全保障理事会を構成し、恒久的な地位を持つ理事国である[1]。1945年10月に国際連合が発足し、それ以来一貫して後述の5か国が務めている。"Permanent members 5"の略でP5とも呼ばれる。
その他言語での表記
- アラビア語: عضو دائم في مجلس الأمن التابع للأمم المتحدة
- 中国語: 联合国安全理事会常任理事国
- 英語: Permanent members of the United Nations Security Council
- フランス語: Membres permanents du Conseil de sécurité des Nations Unies
- ロシア語: Постоянные члены Совета Безопасности ООН
- スペイン語: Miembros permanentes del Consejo de Seguridad de las Naciones Unidas
安保理常任理事国
1945年9月2日に終結した第二次世界大戦の戦勝国に基づき、中華人民共和国(1971年10月25日以前は中華民国)、フランス、ロシア(1991年12月25日以前はソビエト連邦)、イギリス、アメリカ合衆国の5か国が安保理常任理事国になった[2]。ただし、常任理事国の国名が明記されている国連憲章第5章第23条そのものは2025年2月現在も改正されておらず、「中華民国」「ソビエト連邦」の文言が残っている[3]。
2022年12月26日、ウクライナは1991年のソ連崩壊時に、ロシアは継承国となるために必要な手続きが踏んでいなかったとして安保理常任理事国の地位を剥奪するよう、加盟国に呼び掛ける声明を発表している[4]。
国連憲章第5章第23条では、常任理事国となる5か国を以下の順に定めている[5][注釈 1]。
国家 | 現在の代表者(国連大使) | 国家元首 | 政府の長 | 以前の代表国 |
---|---|---|---|---|
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張軍 | 習近平(国家主席) | 李強(国務院総理) | ![]() (1945年10月24日 – 1971年10月25日) |
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ニコラス・デ・リヴィエール | エマニュエル・マクロン(大統領) | フランソワ・バイル(首相) | なし |
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ワシーリー・ネベンジャ | ウラジーミル・プーチン(大統領) | ミハイル・ミシュスティン(首相) | ![]() (1945年10月24日 – 1991年12月25日) |
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バーバラ・ウッドワード | チャールズ3世(国王) | キア・スターマー(首相) | なし |
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ドロシー・シェイ(臨時代理大使) | ドナルド・トランプ(大統領) | なし |
現在の首脳
拒否権
国連憲章第27条により、安保理常任理事国は手続き事項を除く全ての事項に関する安保理議案への拒否権を持つ。安保理常任理事国のうち1か国でも反対すれば、議案は成立しない[6]。また同108条により、安保理常任理事国は国連憲章の改正に対しても拒否権を持つ[7]。
安保理常任理事国の拡大案
安保理の運営に伴う問題についての改革で、具体的には理事国の増加について様々な案が出されている。

脚注
注釈
出典
- ^ 常任理事国
- ^ 国際連合広報センター
- ^ 高橋洋一 (2022年3月18日). “国連安保理、常任理事国からロシアを外すだけでは不十分…改革に限界も G7中心の〝世界平和〟体制を”. 夕刊フジ 2022年7月14日閲覧。
- ^ “国連からロシア追放を 「常任理事国」剥奪も呼び掛け―ウクライナ”. 時事通信 (2022年12月27日). 2023年1月5日閲覧。
- ^ “Chapter V: The Security Council (Articles 23-32)”. United Nations 2023年4月15日閲覧。
- ^ 国連安保理
- ^ 国際連合憲章第18章 国連ホームページより
関連項目
国際連合安全保障理事会常任理事国
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「2014年クリミア危機での国際社会の対応」の記事における「国際連合安全保障理事会常任理事国」の解説
中国 - 外交部秦剛報道官が、中国はウクライナでの最近の過激派暴力を非難した。さらに、中国は常に内政不干渉の原則に従い、ウクライナの独立、主権、領土一体性を尊重していると述べ、国際法および国際関係を司る規範に基づき、対話を通じて解決策を見つけるよう全ての側に要請した。 3月4日、中国の習近平国家主席は、ウラジミール・プーチンロシア大統領との電話会談において、ロシアが他の当事者と協調して、地域と世界の平和と安定を守るために、この問題の政治的解決を推進することができると信じており、中国は緊張緩和に資する国際社会の提案と仲介努力を支持すると話した。 11月21日、中国外交部欧州中央アジア局部長代行の桂从友(Gui Congyou大使)は、ロシアのメディアに対し「我々は、国民投票を通じて独立に至るいかなる民族にも反対する。クリミアに関する限りは、非常に特殊な特徴がある。我々はクリミア加入の歴史をよく知っています。[中略]中国は、ウクライナ問題に関してロシアが直面している課題と脅威を十分に理解して対応し、その解決に向けたモスクワのやり方を支持する」と語った。 フランス - 外務省の広報官ロマン・ナダルは、クリミア情勢に関して懸念を表明するとともに、外務大臣ローラン・ファビウスがウクライナの統一と一体性を維持するよう繰り返し要請してきたことを改めて指摘した。 イギリス - 外務大臣ウィリアム・ヘイグは、緊張の激化とロシア議会の軍事行動許可決定について「深い懸念」を抱いていると述べた。彼はまた、「この行動はウクライナの主権、独立、領土一体性に対する重大な潜在的脅威である。我々はウクライナに対するいかなる侵略行為も非難する」と発言した。 3月2日、英国首相のデーヴィッド・キャメロンは、クリミア情勢次第で政府当局が2014年ソチパラリンピックをボイコットする計画があることを発表し、エドワード王子は「政府の助言に基づいて」同大会のためにソチへ向かう計画を取り止めた。これらの決定が英国選手団の本大会参加に影響を与えることはなかった。キャメロンはまた、「間違った偽りの民主的プロセスや歪んだ歴史的言及がいくらあろうとも、これが主権国家への侵略であり、その国の法律や国際法を全く尊重しない領土の収奪である事実を取り繕うことはできない」とも発言した。 アメリカ - 2月28日、バラク・オバマ大統領は声明を発表し、ロシアにクリミアへの介入を行わないよう警告した。この声明でオバマ大統領は「ウクライナ国内でロシア連邦が行った軍事行動の報告を深く懸念している」と述べた。同声明は、ウクライナの主権および領土一体性へのいかなる侵害も、ウクライナ、ロシア、ヨーロッパの利益につながらない深刻な不安定化をもたらすものであり、ウクライナの独立と主権、国境を尊重するとしたロシアの誓約を反故にするとともに、明白な国際法違反となるだろうと付け加えている。 3月1日、オバマ大統領はプーチン大統領と電話会談を行い、ロシアの侵略は「ウクライナの主権および領土一体性の侵害であり[中略]国際法の違反」であると伝えた。さらに、「より大きな政治的および経済的孤立」を警告し、ロシアが議長を務める第40回G8サミットに米国は参加しないと迫った。 3月2日、ジョン・ケリー国務長官は『フェイス・ザ・ネイション』でのインタビューの中で、ロシアの軍事行動を「侵攻」と呼びロシア側を非難した。彼はそれを「信じ難い侵略行為」と呼び、「21世紀にもなって、完全に捏造した口実で他国に侵攻する19世紀のやり方で振る舞うのは駄目だ」と発言した。 3月3日、米国安全保障会議の報道官カトリン・ヘイデンは、米国が2014年ソチパラリンピックに大統領使節団を派遣しないことを発表した。英国のボイコットの取り組みと同様、それは選手団の参加には影響しなかった。 3月6日、オバマ大統領は、ウクライナ情勢に加担する特定人物の財産の封鎖する大統領令13660号に署名し、ウクライナの主権侵害を実行または支援した人物に対する制裁を承認した。 3月17日、オバマ大統領は、ウクライナ情勢に加担する追加人物の財産を封鎖する大統領令13661号に署名した。これは大統領令13660号で課された制裁範囲を拡大したものであり、特定ロシア政府職員の米国内資産の凍結および米国への入国阻止を含むものとなった。 第113回アメリカ合衆国議会は、ウクライナにさまざまなレベルの融資保証、援助、および「ウクライナの安全や独立を損ない、あるいはウクライナやロシアで陰謀に関与したと大統領が判断した人物に対する」制裁を適用するいくつかの法案を検討した。これらの法案には、ウクライナの融資保証費用を拠出する法案や、ウクライナの主権、一体性、民主主義、経済的安定に対する2014年支援法およびウクライナ支援法などがある。この3法案は全て3月に提出され、検討された。 4月3日、米国エネルギー省はロシアの国営原子力会社ロスアトムに対して、いくつかの平和的な原子力共同プロジェクトの停止を通告した。 ロシアは当事国にあたるため対象外。
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