ウクライナ問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 11:14 UTC 版)
「第45回世界遺産委員会」の記事における「ウクライナ問題」の解説
EUはロシアがウクライナの文化遺産などを破壊した場合、国際刑事裁判所に関するローマ規程の①宗教・教育・芸術目的・歴史的建造物に捧げられた建物に対する攻撃を意図的に向ける、②民間所有物、つまり軍事目的ではない物に対する攻撃を意図的に向ける、③そのような攻撃が民間所有物に損害を与えることを承知の上で意図的に攻撃を開始することは、予想される具体的かつ直接的な全体的な軍事的利点に関連して明らかに過度である、④軍事的必要性によって正当化されておらず、違法かつ不法にのみ実行された財産の大規模な破壊および流用に抵触するとし、直ちに戦争犯罪として国際刑事裁判所に提訴すべきで、その窓口(原告)になることをユネスコに求めており協議する。 文化遺産の諮問機関である国際記念物遺跡会議(ICOMOS)などが、ウクライナの文化遺産(暫定リスト掲載物件含む)が破壊されその後の修復で真正性(英語版)が失われたとしても引き続き世界遺産(暫定リストは候補のまま)であり続けられるよう確約を予め決めておくようユネスコに求めており協議する。このことは近年重視されるようになってきた場所の精神(英語版)を伝える宗教施設や民俗学的要素がある文化的空間としての世界遺産(候補地含む)では必ずしも真正性を厳格に求めなくても構わないのではないかとする最新の考え方も反映している。真正性が失われている可能性があることを問わない決議は、ISIL(イスラム国)により破壊されたイラクのモスルに対し、新築復興を含めた前提で将来的に世界遺産に登録することを確約した前例がある(下記「その他の議題・話題」および「第42回世界遺産委員会#その他の議題」参照)。 国際連合人権理事会の第49回定例会が2022年4月1日に終了し、その中で戦時下ウクライナにおける人権の扱いと文化的権利(英語版)および文化遺産の保護に関する決議が採択されたことをうけ、世界遺産委員会でも文化遺産の保護・回復・保存のアプローチを検討する。なお、人権理事会における2021~23年の東ヨーロッパブロックの理事国は奇しくもウクライナとロシアであり、ウクライナに関連する案件に関してロシアは悉く反対したが、4月7日に開催した国際連合総会においてロシアの人権理事会資格停止(追放)処分が下された。 戦時下のウクライナを訪ね文化財の被災状況を確認してきた文化遺産保護のNGO組織Walk of Truthによる現況報告が行われる。 ウクライナ文化情報省(英語版)が、被災した文化財の状況(位置と写真およびコメント)を一般参加者が落とし込めるインタラクティブマップ「map of culture losses(喪失文化地図)」を公開し(現時点では英語とウクライナ語のみ)、ユネスコでも公式に扱うことができるか検討する。
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