その他の議題・話題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 11:14 UTC 版)
「第45回世界遺産委員会」の記事における「その他の議題・話題」の解説
新たに世界遺産センター所長に就任したラザレ・エルンドゥ・アソモ(英語版)(初のアフリカ(カメルーン)出身で黒人の所長)が、新型コロナウイルス感染症の影響が甚大だったアフリカの世界遺産について各国の支援を求める。 2019年に発生したノートルダム大聖堂の火災後の再建計画に伴う議論が同年の世界遺産委員会(「第43回世界遺産委員会#委員会に対する批評」参照)では行われず、世界遺産センターに勤務経験がある再建責任者が速やかな議論を行うべきと提言したこともあり(「第44回世界遺産委員会#順延開催決定をうけ」参照)、ようやく議論が始まる。 ISIL(イスラム国)によって破壊されたイラクのモスル(暫定リスト掲載)の再建が始まったことや、事前の準備作業として瓦礫の撤去と再利用可能な資材の選別に際してレンガに模した爆弾のブービートラップが仕掛けられていたこと、そして具体的な再建計画についてなど、ユネスコプロジェクト「Revive the Spirit of Mosul(モスルの精神の復活)」について報告する。 気候変動やそれに伴う自然災害による世界遺産の被災が顕在化していることをうけ、この数年の世界遺産委員会ではその対策協議が重大案件となっている中、昨年登録されたばかりのチリの「アリカ・イ・パリナコータ州のチンチョーロ文化(英語版)の集落と人工ミイラ製法」(チンチョーロ遺跡)において、乾燥地帯の遺跡周辺で昨年来より異常な降雨量が観測されるようになり、表土が洗い流され土中のミイラが露出し、劣化腐蝕が急速に進行していることが報告される。 気候変動と並び、人為的な環境破壊による世界遺産への影響も深刻で、ネパールのカトマンズ盆地の症例が報告される。現在カトマンズは「最も汚染された都市」ランキング最上位にあり、住民の健康被害や飛行機の離発着にも影響を及ぼしており、空気中の化学物質が世界遺産(スワヤンブナートなど)に付着することで急激な劣化を招いていることが確認されている。その原因は継続的な山火事(自然発火)煙害に加え、排気ガスや2015年に発生したネパール地震の際の集積された瓦礫が放置されていることなど、複合的なものとなっている。カトマンズ盆地は急激な都市化による開発と景観破壊が危惧され、2003年から4年間危機遺産に指定されていたが、今度は環境問題で再指定される可能性も孕んでいる(2019年にも危機遺産審査が行われ再指定は見送られた→「第43回世界遺産委員会#危機遺産」参照)。 第214回ユネスコ総会(2022年3月30日~4月13日)において、唯一どこの国にも属さずヨルダン管理物件扱いになっているエルサレムの旧市街とその城壁群のイスラエルによる所有権主張を否決し、トンネル建設計画が推し進められていることに対しユネスコが監視派遣団を送り込むことを決め、その報告が行われる。 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業の旧集成館(仙厳園)前を通過する日豊本線に2024年度を目標に磯新駅 (仮称)を開設するため、周辺景観に配慮したデザイン案などの遺産影響評価を提出する予定であった[リンク切れ]。 4月21日に世界遺産委員会の延期が決定した直後、オードレ・アズレユネスコ事務局長がベネチアへの家族旅行を催行した。事務局長といえど休暇を取る権利はあるが、その決裁にユネスコの法人カードを使用したという公私混同がスクープされた。議題が山積するユネスコの結束が求められる状況下にあって執行委員国からの批判が相次ぎ、混迷する世界遺産委員会運営のリーダーシップに疑問が呈され、今後の開催に暗雲が立ち込めている。
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