ロブスタ種とは? わかりやすく解説

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ロブスタ種(ろぶすたしゅ)

英字-ROBUSTA
コーヒー品種内の1品種名です。原産地中央アフリカコンゴです。カネフォラ種の代表品種であるロブスタ種は世界で生産されるコーヒー30%近い数量占め、主にインドネシアベトナムなどのアジア諸国およびアフリカ諸国において生産されています。成長早く病害虫強く低地でも栽培できます。強い苦みコク特徴です。

ロブスタコーヒーノキ

(ロブスタ種 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/07 13:38 UTC 版)

ロブスタコーヒーノキ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: アカネ目 Rubiales
: アカネ科 Rubiaceae
: コーヒーノキ属 Coffea
: ロブスタコーヒーノキ C. canephora
学名
Coffea canephora
Pierre ex A.Froehner
シノニム

C. robusta

焙煎前のロブスタコーヒーの豆
ロブスタコーヒーノキの花

ロブスタコーヒーノキ学名: Coffea canephora)は、アカネ科に分類される被子植物で、ビクトリア湖から西アフリカ原産のコーヒーノキの1種である[1][2]コーヒー豆の品種としてはロブスタ種、あるいはカネフォラ種と呼ばれることもある[3]。主に栽培されているロブスタコーヒーノキはロブスタ、ウガンダという2種であるが[4]ブラジルエスピリトサント州ではコニロンという新種も栽培されている[5]アラビカコーヒーノキリベリカコーヒーノキとともにコーヒー3大原種の1つに数えられる[6]

特徴

成長すると樹高2メートルから9メートル程度にまで成長し、大きな傘のような形になる[7]。果実は小さく、熟すと赤色になる[7]

栽培地

高温多湿の気候にも順応するため、アラビカコーヒーノキの栽培に不向きなアフリカやアジアで栽培されている[8]海抜500メートル以下の低地でも栽培することができるが、低温には弱く[9][10]、主にブラジル・ベトナムインドネシアコートジボワールなどで生産されている[10]。アラビカコーヒーノキよりも収穫高が多い[11]。また病気や害虫にはアラビカコーヒーノキやリベリカコーヒーノキよりも強いといわれており、ロブスタ (Robusta) の語源は英語で「強健な」を意味する"robust"に由来すると言われている[9]

自生地

アラビカコーヒーノキやリベリカコーヒーノキと同じように原産地は熱帯アフリカ東部の、主にエチオピアであるといわれる[2][9]。ロブスタコーヒーノキがコーヒーノキ属に分類される植物と知られるようになったのはアラビカコーヒーノキがコーヒーノキ属と認識されてから約1世紀経過した19世紀になってのことである[12]

利用

ロブスタコーヒーノキの生産が始まったのは20世紀初めごろであると言われ[13]、現在では世界で生産されるコーヒーのうちおよそ15〜20パーセントがロブスタコーヒーである[14][15]。主要生産国のひとつであるベトナムにはもともと19世紀の終わりにフランスの入植者が持ち込んだと言われる。ブラジルやアフリカでも同じように栽培され、これらの地域ではコニロンと呼ばれるようになった[15][16]。ベトナムは21世紀初頭、ロブスタ種のコーヒー豆の生産量で世界一である[17]。さらにベトナムでは2000年代最初の約10年間でコーヒーの生産高が約7倍となりブラジルに匹敵するロブスタコーヒーの生産国となったが[10]、依然としてブラジルは世界全体のコーヒー生産量のうちの3分の1を生産している(ただしその80パーセントはアラビカコーヒー)[18]

ロブスタコーヒーはアラビカコーヒーのような他の主要なコーヒー種よりも管理しやすく生産量も多いため、比較的低コストでの生産が可能である[19]。焙煎された豆でいれたコーヒーは濃くて独特の荒々しい香りがし、含有するピラジン有機化合物のためにアラビカコーヒーよりも苦い[20][21]。アラビカコーヒーは酸味が強すぎるという人もいるが、一般的にはロブスタコーヒーよりもアラビカコーヒーのほうが口当たりがよく高級品と考えられ、ロブスタコーヒーは低品質なブレンドコーヒーの量増しのために混ぜられたり、インスタントコーヒーの原料に用いられる[7][22][23]。しかしコーヒーにより深い「コク」と「パンチ」をブレンドするため香りの強いロブスタコーヒーが好まれることもあり[24]、品質の良いロブスタコーヒーの豆はイタリアエスプレッソのクレマ(イタリア語: crema)と言われる泡に苦みを与えるために用いられる[25][26]。ただしアラビカ種のようにストレートで飲まれることは稀である[24]。ロブスタコーヒーはアラビカコーヒーの約2倍のカフェインを含有する[27]

脚注

  1. ^ コーヒーノキ”. 社団法人宮城県薬剤師会. 2012年12月14日閲覧。
  2. ^ a b コーヒー分析”. UCC上島珈琲. 2012年12月14日閲覧。
  3. ^ コーヒーの基礎知識”. 三本コーヒー株式会社. 2012年12月14日閲覧。
  4. ^ J. Dagoon (2005). Agriculture & Fishery Technology Iv. Rex Bookstore, Inc.. p. 58. https://books.google.co.jp/books?id=MPjMkLKebBQC&pg=PA58&redir_esc=y&hl=ja 2011年7月22日閲覧。 
  5. ^ 妹尾裕彦 (2009). “コーヒー危機の原因とコーヒー収入の安定・向上策をめぐる神話と現実” (PDF). 千葉大学教育学部研究紀要 (千葉大学) 57: 224頁。. http://mitizane.ll.chiba-u.jp/metadb/up/AA11868267/13482084_57_203.pdf 2012年12月14日閲覧。. 
  6. ^ 田口護『田口護の珈琲大全』NHK出版、2003年、8-9頁。ISBN 4-14-033193-3 
  7. ^ a b c Coffea canephora” (英語). Ecocrop. 国際連合食糧農業機関. 2013年3月30日閲覧。
  8. ^ a b 日本コーヒー文化学会『コーヒーの事典』柴田書店、2001年、pp. 219-220
  9. ^ a b c コーヒー豆知識”. アサヒ飲料株式会社. 2012年12月14日閲覧。
  10. ^ a b c 東京ロブスタコーヒー”. フジフューチャーズ株式会社. 2012年12月14日閲覧。
  11. ^ Mark Nesbitt (2005). The Cultural History of Plants. Taylor & Francis. p. 177. https://books.google.co.jp/books?id=5JXBN7fqg0MC&pg=PA177&redir_esc=y&hl=ja 2011年7月22日閲覧。 
  12. ^ Mark Nesbitt (2005). The Cultural History of Plants. Taylor & Francis. p. 176. https://books.google.co.jp/books?id=5JXBN7fqg0MC&pg=PA176&redir_esc=y&hl=ja 2011年7月22日閲覧。 
  13. ^ 山内秀文. “コーヒー生豆の見方(1)”. カフェ・マニアックス. 辻調グループ. 2013年3月30日閲覧。
  14. ^ Coffee Plant: Arabica and Robusta - CoffeeResearch.org”. coffeeresearch.org (2007 [last update]). 2011年7月22日閲覧。
  15. ^ a b A. Rami Horowitz (2004). Insect pest management: field and protected crops. Springer. p. 41. https://books.google.co.jp/books?id=GYZaVvtGJ4sC&pg=PA41&redir_esc=y&hl=ja 2012年12月14日閲覧。 
  16. ^ Roseane M Santos (2009). An Unashamed Defense of Coffee. Xlibris Corporation. p. 269. https://books.google.co.jp/books?id=04SIv_mh-C4C&pg=PA269&redir_esc=y&hl=ja 2011年8月23日閲覧。 
  17. ^ ロブスタコーヒー生豆
  18. ^ EXPORTS BY EXPORTING COUNTRIES TO ALL DESTINATIONS: July 2011”. 国際コーヒー機関. 2011年9月4日閲覧。
  19. ^ Miyanari, Walter (2008). Aloha Coffee Island. Savant Books & Publications. p. 7. https://books.google.co.uk/books?id=84mcxGe5WtsC&pg=PA7&hl=en#v=onepage&q&f=false 2011年12月13日閲覧。 
  20. ^ Andrew J. Taylor, Robert Linforth (2010). Food Flavour Technology. John Wiley and Sons. p. 68. https://books.google.co.uk/books?id=2_WbE3gaDH0C&pg=PT83&dq=robusta++earthy+flavour&hl=en&ei=ncjnTuG0LsGp8APRmriZCg&sa=X&oi=book_result&ct=result#v=onepage&q=robusta%20%20earthy%20flavour&f=false 2011年12月13日閲覧。 
  21. ^ Wintgens, Jean Nicolas (2009). Coffee: Growing, Processing, Sustainable Production: A Guidebook for Growers. Wiley-VCH. p. 799. https://books.google.co.uk/books?id=Lxbz7TG5wwAC&pg=PA799#v=onepage&q&f=false 2011年12月13日閲覧。 
  22. ^ Miyanari, Walter (2008). Aloha Coffee Island. Savant Books & Publications. p. 6. https://books.google.co.uk/books?id=84mcxGe5WtsC&pg=PA6&hl=en#v=onepage&q&f=false 2011年12月13日閲覧。 
  23. ^ The West Indies year book 1938. Thomas Skinner & Co.. (1938). https://books.google.co.uk/books?id=Y0wLAAAAIAAJ&q=robusta+is+usually+limited+to+use+as+a+filler+in+lower-grade+coffee+blends&dq=robusta+is+usually+limited+to+use+as+a+filler+in+lower-grade+coffee+blends&hl=en&ei=w77nTqvSB8L58QOgvvX6CQ&sa=X&oi=book_result&ct=result 2011年12月13日閲覧。 
  24. ^ a b 香月麻里 (2001年3月掲載、2012年3月改稿). “ロブスタ~コーヒー界のタフガイ”. UCC上島珈琲. 2012年12月14日閲覧。
  25. ^ Reynolds, Richard (2006年2月1日). “Robusta's Rehab”. CoffeeGeek. Coffee Geek. 2010年1月5日閲覧。
  26. ^ Robertson, Carol (2010年). “The Little Book of Coffee Law”. American Bar Association. p. 52. 2011年12月13日閲覧。
  27. ^ Spiller, Gene A. (1998). Caffeine. CRC Press. p. 99. https://books.google.co.uk/books?id=Rgs_rVOceZwC&pg=PA99&hl=en#v=onepage&q&f=false 2011年12月13日閲覧。 

関連項目

外部リンク


ロブスタ種

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 07:56 UTC 版)

コーヒーノキ」の記事における「ロブスタ種」の解説

ロブスタ種 (C. canephora var. robusta、ロブスタコーヒーノキ) はコンゴ原産カネフォーラ種 (C. canephora Pierr ex Froeh) の変種で、染色体数221895年発見され強靭意味するRobustから命名されC. robusta L.Lindenというシノニムを持つ。ベルギー研究され結果当時流行していたサビ病に強い性質受けてジャワ島栽培され広まった栽培品種はあるが豆の流通市場で特に区別されない病虫害強く高温多湿気候にも適応するうえ成長速く収量で、生産量の2割から3割を占める。主な栽培地東南アジアアフリカ一部で、特に生産量2位ベトナム栽培伸びている。主にインスタントコーヒー用、あるいは廉価なレギュラーコーヒー増量用として用いられるアラビカ種よりも品質劣りカフェインクロロゲン酸類の含量高く焦げたのような香味苦み渋み強く酸味がない。旧植民地宗主国の関係からヨーロッパ(特にフランス)での消費が多い。フレンチローストイタリアンローストなど深煎りしてミルク合わせる飲み方普及した背景と見られる

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