宗主国とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 政治 > 国家 > 国家 > 宗主国の意味・解説 

そうしゅ‐こく【宗主国】

読み方:そうしゅこく

従属国に対して宗主権をもつ国家

「宗主国」に似た言葉

宗主国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/17 23:33 UTC 版)

国際法において宗主国(そうしゅこく、英語: suzerain state)とは、従属国(藩属国とも)に対して宗主権を持つ国。


注釈

  1. ^ Vassal stateの訳語としての「藩属」は、Wheaton, Elements of International Law([1836]1855) の漢訳書『萬國公報』(1864年) に登場するが、対語のsuzerainについては同書には定まった対訳がなく、またJ. C. Bluntschli, Le droit international codifié ([1868]1870) の漢訳書『公法會通』(1880年) ではsuzeraintyに「上國」の訳語があてられている(岡本隆司「宗主権と国際法と翻訳」pp.100-104.『宗主権の世界史:東西アジアの近代と翻訳概念』名古屋大学出版会 2014, pp.90-108.)。20世紀に入って、日本で1906年の有賀長雄「保護国論を著したる理由」において「宗主権」の語が用いられている(岡本「日清開戦前後の日本外交と清韓宗属関係」p.231. 前掲書pp.207-231.)。
  2. ^ 宗族は殷代には既に存在しており(馮爾康. [1996]2013=2017. 『中国の宗族と祖先祭祀』【原著『中国古代的宗族与祠堂』】小林義廣 訳. 風響社. p.34)、周では体制確立のために運用されている(同書p.38)。周代までの宗族は貴族宗族が主であり、平民宗族は発展していないか、あるいは存在していない(p.40)。戦国時代に破壊されたが、漢になると再建された(p.45)。
  3. ^ 晋書』巻三十四の「鉅平侯羊祜明德通賢國之宗主」など衆望を集める人物を指す用法に近いと考えられる。『広韻』は「宗」の字義の筆頭を「衆也」とする。
  4. ^ 属国の制は漢代に初めて置かれたが、これは郡国制の漢における「(郡に)属する国」という内国の特殊行政単位であり、外国を指すものではない。『魏略』西戎傳にも属国の語は見えるが、正史における使用はその後『遼史』まで下る。
  5. ^ 代には藩鎮が設置されたが、文献上で藩属の語が現れるのは概ね乾隆後期以降である。
  6. ^ しかし世論や陸軍は強硬論への傾斜を強めつつあり、この訓令を発した阿部守太郎外務政務局長が翌年暗殺される(阿部守太郎暗殺事件)など協調外交路線の退潮に転ずる時期でもあった。霍耀林,「漢口・兗州・南京事件についての一考察」『ICCS現代中国学ジャーナル』第10巻 第1号 2017 p.47-68, ISSN 18826571, NAID 120006319768
  7. ^ 古くは「本国にとって~主権を有しない完全な属領」〈広辞苑第六版〉であった植民地が、「19世紀末以降~保護国、保護地、租借地、特殊会社領~、委任統治領などの法的形態を問わず植民地と考えられるようになった」〈中村研一「植民地」『世界大百科事典』平凡社〉ためで、「植民地」の語の意味の広がりによるもの。用例としては、たとえば「ベナンのような旧植民地国の旧宗主国に対する文化財返還要求の背景には「文化財ナショナリズム」がある」〈大室一也「取り戻した文化財、国をまとめる象徴に 旧宗主国に返還を求める旧植民地の事情」朝日新聞GLOBE+ 2020年4月8日付 https://globe.asahi.com/article/13277888〉など。
  8. ^ 用例としては、「日本の国民は「宗主国であるアメリカがこれを望んでいる」と言われると、一発で腰砕けになる」〈内田樹『サル化する世界』文藝春秋、2020年〉など。
  9. ^ 用例としては、たとえば「社会主義の祖国であり“宗主国”であるソ連邦は常に優位でなければならなかった」〈中川一徳「【インタビュー】クリスティナ・ゴダ(映画監督) 若い監督が汲み取った「ハンガリー動乱」の苦い思い」『Foresight』2007年12月号 https://www.fsight.jp/articles/print/3844 〉など。「宗主」の持つ意味のひとつ「中国古代封建制の盟主」(『国語大辞典』小学館)から、「盟主」の意でカジュアルに転用されている。

出典

  1. ^ ヨーロッパ封建制における封主(suzerain)と封臣(vassal)の関係については、「レーエン」「封臣」「封建領主」等を参照。
  2. ^ 岡本隆司「導論:世界史と宗主権」p.11.『宗主権の世界史:東西アジアの近代と翻訳概念』(名古屋大学出版会, 2014年)pp.1-19.
  3. ^ 黛秋津「オスマン帝国における附庸国と「宗主権」の出現:ワラキアとモルドヴァを例として」p.44. 岡本隆司(編)『宗主権の世界史:東西アジアの近代と翻訳概念』(名古屋大学出版会,2014年)p.22-48.
  4. ^ 豊田哲也「国際法における保護関係(protectorate)概念の形成と展開」p.36. 『ノモス』43号(2018年)、pp.17-38.
  5. ^ 松田幹夫「宗主国・従属国」『世界大百科事典』平凡社。
  6. ^ 豊田哲也「国際法における保護関係(protectorate)概念の形成と展開」p.18, p.36. 『ノモス』43号(2018年)、pp.17-38.
  7. ^ 佐分晴夫「従属国」『日本大百科全書』小学館。
  8. ^ 万国公法#華夷秩序
  9. ^ 「宗主:(2)宗廟的神主」〈重編国語辞典〉、「宗主:(3)宗廟の位牌」〈日本国語大辞典精選版〉。「宗とは、本來廟を意昧したものて、轉じて祖廟の祭祀を主宰する本家と、その統括のもとて祖廟に集まる同祖者(分家)の集團を意味する」〈山根三芳. 1970. 「張子禮説考」p.75. 日本中国学会報 Vol.22. pp.72-92.〉
  10. ^ 堀敏一「均田制の成立(下)」(『東洋史研究』24(2). pp.177-193. 1965.)p.179にて、『北史』巻三十三(李霊)の用例が紹介されている。
  11. ^ 「杜氏云東周雖微然猶為天下宗主」、毛奇齢『春秋毛氏傳』巻六。
  12. ^ 「是故……然歴數百年宗主天下」、『宋文選』巻四。
  13. ^ 「夫人君者斯民之宗主」、『奉天討蒙元檄文』。
  14. ^ 「嗚呼周道之衰……然猶歴數百年宗主天下」、『大學衍義補』巻二。
  15. ^ 「王為諸侯宗主」、『詩故』巻八。
  16. ^ 「欽惟大皇帝陛下福德聖人綱常宗主」、『安南國王貢表』。清朝ではなく乾隆帝個人を宗主と呼んでいる。
  17. ^ 漢典中国語版』、2020年7月13日閲覧。
  18. ^ 万国公法#翻訳の経緯洋務運動#外交万国公法#中華思想の変容(世界観の変容)万国公法#東アジア国際秩序の再編
  19. ^ 岡本隆司「屬國と保護のあいだ―一八八〇年代初頭、ヴェトナムをめぐる清佛交渉」『東洋史研究』第66巻第3号、2007、1-31頁の引くところによる。
  20. ^ 張啓雄「東西國際秩序原理的差異─「宗藩體系」對「殖民體系」─」『中央研究院近代史研究所集刊』第79期、民国102(2013)、79-81頁。
  21. ^ 中見立夫, 「一九一三年の露中宣言 -中華民国の成立とモンゴル問題- : 変動期における東アジアと日本-その史的考察-」 『国際政治』1980巻66号、1980、109-127頁, doi:10.11375/kokusaiseiji1957.66_109
  22. ^ 「支那に關する外交政策の綱領」『日本外交文書デジタルアーカイブ』大正2年第2冊 / データベース「世界と日本」、戦前日本政治外交文書、当該項。)


「宗主国」の続きの解説一覧

宗主国

出典:『Wiktionary』 (2021/08/13 04:50 UTC 版)

名詞

(そうしゅこく)

  1. 従属国して宗主権を持つ国。

関連語

翻訳


「宗主国」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



宗主国と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「宗主国」の関連用語

宗主国のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



宗主国のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの宗主国 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの宗主国 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS