ロブスター・ニューバーグ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/03 10:14 UTC 版)

ロブスター・ニューバーグ、ロブスターのニューバーグ風(英語: lobster Newberg、lobster Newburg、lobster Newburgh)は、アメリカ料理の一種。ニューヨーク市発祥の伝統的料理のひとつである[1]。
19世紀のアメリカ合衆国で最も有名な海産物とクリームの料理とされる[2]。
概要
ロブスターをバター、クリーム、コニャック、鶏卵、香辛料とで煮込んだ料理である[3]。
ジョン・F・ケネディがアメリカ合衆国大統領に就任した日の昼食会に出された一品である[3]。
ニューヨークのレストラン「デルモニコス」ではチキン・ア・ラ・キングと並んで人気メニューの1つとなっている(2018年時点)[4]。
歴史
真偽のほどは不明であるが、以下のようなエピソードが語られている[2]。
1876年にカリブ海の果物を商っていた貿易商・ベン・ウェンバーグが、チャールズ・デルモニコに卓上鍋でロブスターとクリームを使った新しい料理を作ってみせた[2]。この料理を「デルモニコス」では「ロブスター・ア・ラ・ウェンバーグ」と名付けて提供を始めた[2]。しかしながら、ウェンバーグとデルモニコは口論の末に喧嘩別れ、失語症の発作に襲われたデルモニコは最初の音節を間違え「ウェンバーグ」ではなく「ニューバーグ」としてしまった[2]。
レシピの例
1862年から1896年まで「デルモニコス」で料理人を務めたチャールズ・ランホファーは、自著『美食家(the Epicurean)』(1894年刊行)に次のようにレシピを記している[2]。
- 1キログラムていどのロブスターを6尾、塩水で25分間茹でる。
- 茹でたロブスターが冷えたら、身体から尾を取り、身を薄切りにする。
- 薄切りにしたロブスターの身を浅い鍋に平らに入れ、熱い澄ましバターを入れる。
- 塩で風味をつけ、焦がさないように 薄切りにしたロブスターの両面を軽くあぶる。
- 生クリームをひたひたになるまで注ぎ、すばやく半量になるまで煮詰める。
- マデイラ・ワインを大さじ2杯から3杯入れる。
- 液体だけをもう1度煮る。
- 火から下ろし、卵黄と生クリームを加えてとろみをつける。
- 少量のトウガラシとバターを加え、沸騰させずに煮る。
- 野菜を盛りつけた皿にロブスターの身を乗せ、上からソースをかける。
このレシピから分かるように、小麦粉は使用されていない[2]。
日本での展開
- 古川ロッパはロブスター・ニューバーグをたびたび日本で食しており、以下のように日記に記している。
- 2025年3月に松屋が「ニューバーグソース」を松屋流にアレンジした「たっぷり海老のニューバーグソース」を期間限定販売した。ただし、「ニューバーグソース」ついては「フランス発祥のソース」としている[7][8]。
出典
- ^ 「みんなとシェアしたい人気レストラン6軒」『Harper's BAZAAR』2017年9月号、ハースト婦人画報社、2017年、27頁。
- ^ a b c d e f g マーク・カーランスキー「新しいミルク料理」『ミルク進化論 :なぜ人は、これほどミルクを愛するのか?』パンローリング、2019年。ISBN 978-4775942147。
- ^ a b 湯澤規子 (2020年8月18日). “ボストンのロブスターが肥料から高級食材になるまで”. HB ホーム社文芸図書WEBサイト. 食べる歴史地理学. ホーム社. 2025年3月21日閲覧。
- ^ 中村英雄 (2018年8月31日). “百年都市ニューヨーク 第28回 創業1837年 デルモニコス(完)”. DAILYSUN NEWYORK. 2025年3月21日閲覧。
- ^ a b 古川緑波 (2013年8月28日). “古川ロッパ昭和日記 昭和十三年”. 青空文庫. 2025年3月21日閲覧。
- ^ a b 古川緑波 (2013年10月6日). “古川ロッパ昭和日記 昭和十四年”. 青空文庫. 2025年3月21日閲覧。
- ^ 『【松屋】濃厚でコク旨なフレンチを「たっぷり海老のニューバーグソース」 新発売』(プレスリリース)松屋フーズホールディングス、2025年3月13日 。2025年3月21日閲覧。
- ^ ナカムラ (2025年3月13日). “松屋流フレンチ「たっぷり海老のニューバーグソース」エビがゴロゴロ、コク旨クリーミー! 3月18日から”. ASCII,jp]]. 2025年3月21日閲覧。
外部リンク
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