クリーム (食品)
(生クリーム から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/18 00:34 UTC 版)
クリーム(英語: cream)は、(1) 均質化前の生乳から乳脂肪を取り出した乳製品である。 白色や薄黄色の濃厚な液体で、原則として牛乳成分に由来する。乳等省令は「生乳、牛乳または特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、乳脂肪分を18.0%以上にしたもの」と定めている[1]。本項ではこれを扱う。(2) 広く洋菓子やパンに用いられる、とろっとした甘みのある食品全般。カスタードクリームなど[2]。
作り方
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均質化していない乳を加熱殺菌した後、放置、冷却してクリームを上層に分離させる。工業的には遠心分離機を用いて製造される。
分類
イギリスでの分類
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イギリスでは脂肪分により、18%のシングルクリーム(またはクリーム)、48%のダブルクリーム、55%のクロテッドクリームなどに分けている。バターの乳脂肪分は約80%、生クリームは約40%であるのに対し、クロテッドクリームはその中間である60%前後である。
日本での分類
生クリーム
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生乳や牛乳を分離して取り出した「乳脂肪のみ」を原料とした、「種類別:クリーム」と表示される省令上のクリームを一般に「生クリーム」として扱う。商品名で「純生」などと表記するものもある。
一般に“生クリーム”と呼ばれるのは、生乳のみを原材料とした動物性脂肪(乳脂肪)である。脂肪分18 - 30%の「ライトクリーム」は「コーヒー用」、30 - 48%の「ヘビークリーム」は「ホイップ用」に分類される。他のものが入っていると生クリームとは呼べない。生乳から乳脂肪分だけを遠心分離で取り出し、濃縮させて作られる。乳等省令で定められたクリーム(上記)を泡立てたものを生クリームと呼ぶ。
ホイップクリーム
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ホイップクリームとは、動物性脂肪に植物性脂肪を加えたもの、または植物性脂肪のみのもの。ほかの国ではホイップクリームはクリームに分類されない。
日本ではクリームを泡立てたものをホイップクリームと呼び、泡立て器やハンドミキサーなどを用いて作る。シャンティークリーム、クレームシャンティイなどとも称される。乳脂肪はバターに見られるように低温で固体だが30℃前後で溶解が始まり、融点以上になると流動性が高まり形成された泡が崩れ易くなるため、冷却しながら泡立てる。撹拌し過ぎるとバターと乳清に分離する。工業的には亜酸化窒素や二酸化炭素を添加して製造する[4]。
生クリームの代替製品として、明らかに生クリームでは無いものもホイップクリームと呼び[5]、「ホイップ用」・「フレッシュ」などの表記で販売されている。日本では植物油脂を利用した代替品が広く用いられ、アメリカでも「クールウィップ」をクラフトフーズが販売しており、泡立ての必要がなくホイップ状態が長期間持続する簡便性から広く普及している。製品中の乳脂肪分は風味を濃厚に、植物性油脂は口溶けを軽快にさせる。
- 砂糖を加え固く泡立て、ケーキのアイシング(糖衣)など、お菓子の飾りつけなどに使うことが多い。またココアなどを加えることもある。
- コーヒーにいれると、ウィンナ・コーヒーになる。
- アングロアメリカでは、「レディ・ウィップ」(Reddi-wip)というスプレー缶入りのホイップクリームが市販されている。
- クレーム・シャンティイ(Crème Chantilly)は軽く泡立てたクリームに甘みや香りをつけたもの。フランス料理のデザートに用いる。シャンティイ城に由来する。
牛乳を原料とする食品
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乳脂肪に添加物や植物性油脂などを加えたものは日本の法律では「乳又は乳製品を主要原料とする食品」となり、以下のようなものがある。
- 純乳脂肪タイプ
- 乳脂肪に乳化剤、安定剤等の「添加物」を加えたもので、純乳脂肪などの表記で販売される。
- コンパウンドタイプ
- 乳脂肪の一部を植物油脂等の「植物性脂肪」で置換したもの。「コンパウンドクリーム」とも呼ばれている。
- 植物性脂肪タイプ
- 乳脂肪が含まれず脂肪分に植物性脂肪のみを使用したもの。
使用・加工等
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クリームのまま
加工品
- アイスクリーム - 牛乳、卵黄、生クリーム、砂糖を撹拌し冷やし固めて作られるデザート。
- サワークリーム - 生クリームを乳酸発酵させたもの。
- マスカルポーネ - 生クリームを加熱し酸を添加し凝固させたイタリアのチーズ。
栄養価
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 1,812 kJ (433 kcal) |
3.1 g
|
|
45.0 g
|
|
2.0 g
|
|
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(49%)
390 µg
(1%)
110 µg
|
チアミン (B1) |
(2%)
0.02 mg |
リボフラビン (B2) |
(8%)
0.09 mg |
パントテン酸 (B5) |
(3%)
0.13 mg |
ビタミンB12 |
(8%)
0.2 µg |
ビタミンD |
(3%)
0.5 µg |
ビタミンE |
(5%)
0.8 mg |
ビタミンK |
(13%)
14 µg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(2%)
27 mg |
カリウム |
(2%)
80 mg |
カルシウム |
(6%)
60 mg |
マグネシウム |
(1%)
4 mg |
リン |
(7%)
50 mg |
鉄分 |
(1%)
0.1 mg |
亜鉛 |
(2%)
0.2 mg |
銅 |
(1%)
0.02 mg |
セレン |
(3%)
2 µg |
他の成分 | |
水分 | 49.5 g |
コレステロール | 120 mg |
ビオチン(B7) | 1.2 µg |
有機酸 | 0.1 g |
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[7]。
|
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|
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%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
項目 | 分量(g) |
---|---|
脂肪 | 37 |
飽和脂肪酸 | 23.032 |
6:0(カプロン酸) | 0.71 |
8:0(カプリル酸) | 0.413 |
10:0(カプリン酸) | 0.928 |
12:0(ラウリン酸) | 1.039 |
14:0(ミリスチン酸) | 3.721 |
16:0(パルミチン酸) | 9.732 |
18:0(ステアリン酸) | 4.484 |
一価不飽和脂肪酸 | 10.686 |
16:1(パルミトレイン酸) | 0.829 |
18:1(オレイン酸) | 9.308 |
多価不飽和脂肪酸 | 1.374 |
18:2(リノール酸) | 0.836 |
18:3(α-リノレン酸) | 0.538 |
脚注
- ^ “乳等省令における規定(抜粋)”. 厚生労働省. pp. 1-2,4,7. 2024年5月5日閲覧。 “第二条(略)13 この省令において「クリーム」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したものをいう。(略)別表二 乳等の成分規格並びに製造、調理及び保存の方法の基準(略)(三) 乳製品の成分規格並びに製造及び保存の方法の基準(1) クリーム 1 成分規格 乳脂肪分 一八・〇%以上(後略)”
- ^ 和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典. “クリームとは? 意味や使い方”. コトバンク. 2024年5月1日閲覧。
- ^ 「【これでスッキリ!】クックパッドのよくある「略語」をまとめて解説!」『クックパッドニュース』2017年7月1日。2025年7月18日閲覧。
- ^ “亜酸化窒素の食品健康影響評価に関する審査結果についての御意見・情報の募集結果について” (pdf). 内閣府食品安全委員会. 2015年1月8日閲覧。
- ^ よくあるご質問: ホイップクリームについて。生クリームとの違いは? | 株式会社モンテール。
- ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
- ^ 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
- ^ USDA National Nutrient Database
関連項目
- クリームの代用食品
外部リンク
- 『クリーム(←食品)』 - コトバンク
- 『生クリーム』 - コトバンク
- クリーム類にはどのような種類がありますか?|乳と乳製品のQ&A - 日本乳業協会Webサイトより
- 食料自給率のお話:その10…牛乳乳製品と卵の自給率 - 農林水産省Webサイトより
- クリーム(食品)に関係する学術論文 - 何れも『J-STAGE』より《論文本体へのリンク有(無料公開)》
- 高濃度クリームの製造法とその性質《1992年》 - 『日本食品工業学会誌』(日本食品科学工学会)から
- 『ミルクサイエンス』(日本酪農科学会)から
- クリームの製品特性《1999年》
- β-カロテン低減飼料給与乳から得られたクリームの品質特性《2017年》
- クリームの品質特性《2018年》
生クリーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 07:20 UTC 版)
生乳や牛乳を分離して取り出した「乳脂肪のみ」を原料とした、「種類別:クリーム」と表示される省令上のクリームを一般に「生クリーム」として扱う。商品名で「純生」などと表記するものもある。 一般に“生クリーム”と呼ばれるのは、生乳のみを原材料とした動物性脂肪(乳脂肪)である。脂肪分18 - 30%の「ライトクリーム」は「コーヒー用」、30 - 48%の「ヘビークリーム」は「ホイップ用」に分類される。他のものが入っていると生クリームとは呼べない。生乳から乳脂肪分だけを遠心分離で取り出し、濃縮させて作られる。乳等省令で定められたクリーム(上記)を泡立てたものを生クリームと呼ぶ。 生クリームとしてコーヒーや紅茶などに加えて飲まれる。この用途では、他にエバミルクなどが用いられる。
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「生クリーム」の例文・使い方・用例・文例
- 当社は47%の生クリームを使います
- 生クリームに高脂肪47%のクリームを使用しました
- 勿論、生クリームには砂糖を加えない
- 彼がはけで生クリームを全体に塗る
- 生クリームを泡立てる。
- 生クリームをカスタードクリームに変更できます
- 生クリームの色をしているさま
- 果物と生クリームで満たされたメレンゲベースかカップから成るデザート
- 泡立てた生クリーム
- 乳脂肪が25%以下の生クリーム
- 生クリームや果物を使った洋菓子
- ミニチュア模型を作るには,絞り袋から生クリームのような粘土をプラスチック製の土台に絞り出し,その上に模型の果物を飾る。
- 「生クリーム」や「果物」を含む基本の材料がセットで販売されている。
- それらの装飾は生クリームではなくメレンゲから作られています。
- 牛乳,生クリーム,ヨーグルトを加えると,チョコレートディップはよりいっそうおいしくなる。
生クリームと同じ種類の言葉
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