パルミトレイン酸とは? わかりやすく解説

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パルミトレイン酸

分子式C16H30O2
その他の名称パルミトレイン酸、Palmitoleic acid(Z)-9-Hexadecenoic acidパルミトオレイン酸、ゾオマリン酸、Zoomaric acid、オレオパルミチン酸、Oleopalmitic acid16:1n-7、16:1(n-7)、(9Z)-9-Hexadecenoic acid16:1ω7、16:1ω7c
体系名:(9Z)-9-ヘキサデセン酸、(Z)-9-ヘキサデセン


パルミトレイン酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/25 02:17 UTC 版)

パルミトレイン酸
略称 16:1(n-7)
識別情報
CAS登録番号 373-49-9 
PubChem 445638
ChemSpider 393216
KEGG C08362
特性
化学式 C16H30O2
モル質量 254.408
密度 0.894 g/cm3
融点

-0.1 °C

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

パルミトレイン酸(: Palmitoleic acid、数値表現 16:1(n-7)または16:1Δ9)は、ヒトの脂肪組織グリセリドに含まれるCH3(CH2)5CH=CH(CH2)7COOHの化学式を持つ不飽和脂肪酸である。あらゆる組織に存在するが、特に肝臓で濃度が高い。デルタ-9不飽和化酵素の働きによってパルミチン酸から生合成される。炎症を抑えることでインスリンの感受性を上げ、またインスリンを分泌する膵臓β細胞の破壊を阻害することが示されている[1]。パルミトレイン酸は、16:1Δ9という記号で略称される。

供給源

様々な動物油、植物油、魚介油に含まれ、経口摂取される。マカダミア油シーバックソーン油は、それぞれ17%[2]、40%[3]という高濃度を含む。

生理的効果

肝臓への脂肪の沈着、インスリンの作用、パルミチン酸塩や脂肪酸の合成等に影響している可能性が指摘され、ホルモン様の効果を持つ「リポカイン」という新しい用語が提案された[4]

そのような効果の1つにインスリン感受性の改善があり、パルミトレイン酸は、炎症原遺伝子の発現を抑制し、肝臓脂質の代謝を促進することでインスリンの感受性を高め、糖尿病を発症したマウス高血糖及び高トリグリセリド血症を低減する効果を示した[5]

別の研究では、パルミトレイン酸は体重に影響を与える信号分子として働くことが示された[6]。この発見は、パルミトレイン酸や食物から摂取されるその他の脂肪酸が脂肪酸酸化酵素によって用いられるという以前の観測結果とも合致する[7]。その結果、パルミトレイン酸の含量の多い油を作ることで肥満に対処することができる可能性がある[8]

出典

  1. ^ Chronic administration of palmitoleic acid reduces insulin resistance and hepatic lipid accumulation in KK-Ay Mice with genetic type 2 diabetes
  2. ^ Nuts, macadamia nuts, raw”. 2012年12月13日閲覧。
  3. ^ Li, Thomas S. C.; Thomas H. J. Beveridge (2003). Sea Buckthorn (Hippophae rhamnoides L.) : Production and Utilization. Ottawa, Ontario: NRC Research Press. pp. 54-55. ISBN 0-660-19007-9. http://www.ovid.com/site/catalog/Book/2738.jsp?top=2&mid=3&bottom=7&subsection=11 
  4. ^ Identification of a Lipokine, a Lipid Hormone Linking Adipose Tissue to Systemic Metabolism, Department of Genetics and Complex Diseases, Harvard School of Public Health
  5. ^ Chronic administration of palmitoleic acid reduces insulin resistance and hepatic lipid accumulation in KK-Ay Mice with genetic type 2 diabetes, Central Research Laboratory, Tokyo Innovation Center, Nippon Suisan Kaisha
  6. ^ Zelkowitz R (2008年9月19日). “Fat molecule fights weight gain”. 2012年12月13日閲覧。
  7. ^ Power, G.W., Cake, M.H. & Newsholme E.A. (1997) The influence of diet on the activity of carnitine palmitoyltransferase 1 toward a range of acyl CoA esters. Lipids 32: 31-37
  8. ^ "Fat and Slimy" 7.30 Report, Australian Broadcasting Commission November 1995

パルミトレイン酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 06:10 UTC 版)

不飽和脂肪酸」の記事における「パルミトレイン酸」の解説

パルミトレイン酸(パルミトレインさん、palmitoleic acid)は、タラ肝油イワシ油、ニシン油に含まれる炭素16のcis-9-モノ不飽和脂肪酸である。C15H29CO2H、IUPAC組織名 (Z)-hexadec-9-enoic acid, n-7数値表現 16:1分子量254.41、融点5比重0.894。CAS登録番号 373-49-9。

※この「パルミトレイン酸」の解説は、「不飽和脂肪酸」の解説の一部です。
「パルミトレイン酸」を含む「不飽和脂肪酸」の記事については、「不飽和脂肪酸」の概要を参照ください。

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