体の臓器や組織では、細胞がたえず血糖(血液中のブドウ糖)をとりこみ、エネルギーに換えて活動しています。そのとりこみにはインスリンが不可欠で、インスリンの作用が不足すると、血糖値が高い状態、すなわち高血糖をまねきます。
特定健診は、メタボリックシンドロームをその予備軍も含めて洗い出し、糖尿病や血管病などの生活習慣病を防ぐことを目的としていますが、空腹時血糖が100mg/dlを超えると糖尿病の発症リスクが2倍以上になることなどから、空腹時血糖100mg/dl以上またはHbA1c5.2%以上を特定保健指導の基準値としています。HbA1cには過去3~4ヵ月の血糖値の状態が反映され、5.2%が空腹時血糖100mg/dlにほぼ当てはまります。
近年、空腹時血糖が正常ないし境界域でも、食後に血糖値が上昇しやすい食後高血糖が糖尿病予備軍や動脈硬化のハイリスクとして注目されています。食後高血糖は、75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)を行えばわかります。これは10時間以上絶食した後の早朝空腹時に75gのブドウ糖を飲んで血糖値の変化を調べる検査です。
また、空腹時血糖が110mg/dl以上になると食後高血糖が推定されることから、メタボリックシンドロームの診断基準では110mg/dl以上を高血糖としています。
こう‐けっとう〔カウケツタウ〕【高血糖】
高血糖
高血糖症
(高血糖 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/10 08:54 UTC 版)
高血糖(こうけっとう、英: hyperglycemia)とは、血糖値が高い状態[1]。主に糖尿病(Diabetes mellitus)の症状であり、 英語「hyperglycemia」「High Blood Sugar[2]」やドイツ語「Hyperglykämie」などから分かるように病名ではない。
日本語における糖尿病(Diabetes mellitus)を「高血糖症」「慢性高血糖症」「高血糖症候群」のどれかに呼び替えようという意見はある[3]。高血糖とは、通常血糖値が10mmol/L(180mg/dL)以上からとされるが、15-20mmol/L(270-360mg/dL)あるいは15.2-32.6mmol/Lまで顕著な症状を示さないこともある。しかし125mg/dL以上の状態が慢性的に続くと臓器障害を生じうる。英語の hyperglycemia の語源は、ギリシア語でhyper- 過度に、-glyc- 甘い、-emia 血液の状態、である。
高血糖状態を引き起こす原因
糖尿病
空腹時においても持続する高血糖状態を慢性高血糖状態といい、これは最も一般的には糖尿病によって引き起こされる[4]。また逆に慢性高血糖状態は糖尿病の診断基準のひとつになっている。間欠性高血糖状態は前糖尿病期にみられることがある。はっきりした原因がないのに高血糖状態の急性症状が現れた場合は、進行性糖尿病、もしくは糖尿病の素因を示している可能性がある。
糖尿病における高血糖状態は、糖尿病のタイプと進行度に応じて、通常、インスリン濃度低下、および細胞レベルでのインスリン耐性によって引き起こされる。インスリン濃度低下、およびインスリン耐性により、体内のグルコースからグリコーゲン(主に肝臓に貯蔵されるデンプン様のエネルギー源)への転換が抑制され、その結果、血液中の過剰なグルコースの除去が困難、または不可能になる。糖毒性を生じない通常のグルコース濃度では、任意の時点での血液中の全グルコース量は、20~30分間体内にエネルギーを補給するのにぎりぎり十分な量であり、体内調節機能によってグルコース濃度が精密に維持されなければならない。この機能が低下しグルコースが正常値を超えると、高血糖状態が生じる。
グルコースはそのアルデヒド基の反応性の高さからタンパク質を修飾する作用(メイラード反応参照)があり、グルコースによる修飾は主に細胞外のタンパク質に対して生じる。細胞内に入ったグルコースはすぐに解糖系により代謝されてしまう。インスリンによる血糖の制御ができず生体が高濃度のグルコースにさらされるとタンパク質修飾のために糖毒性が生じ、これが長く続くと糖尿病合併症とされる微小血管障害によって生じる糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などを発症する[5]。
薬剤性
高血糖状態のリスクを増大させる薬剤には、βブロッカー、アドレナリン、サイアザイド(利尿剤)、コルチコステロイド、ナイアシン、ペンタミジン、プロテアーゼ阻害薬、L-アスパラギナーゼ[6]、一部の向精神薬[7]などがある。アンフェタミンなど覚醒剤の一時的な投与は高血糖状態を引き起こすのに対し、慢性的な使用は低血糖症を引き起こす。
急性疾患との併発
脳卒中や心筋梗塞のような急性疾患を発症する患者は、糖尿病と診断されていなくても、高い比率で高血糖症状態を進行させていることがある。この場合の高血糖状態は良性ではないこと、また、急性疾患に併発する高血糖状態は、脳卒中や心筋梗塞後の死のリスクの高さと関連することが、ヒトおよび動物を使った試験で示唆されている[8]。
糖尿病がなく、血漿グルコース値が120 mg/dLを超えているときは、敗血症が疑われる。
生理的反応
高血糖症状態は感染時や炎症時に自然に起きる。身体にストレスがかかると、内因性のカテコールアミンが放出され、他の要因ともあいまって、血中グルコース濃度を上昇させるように働く。上昇の程度は個人によって、また炎症反応の種類によって異なる。よって初めて高血糖状態を示した患者に先在する疾患がある場合は、糖尿病の診断には慎重でなければならない。空腹時血漿グルコース値、任意時血漿グルコース値、食後2時間血漿グルコース値の測定など詳細な検査が必要とされる。
検査値と定義
グルコース値は以下のいずれかの単位に従って測定する。
- 1デシリットルあたりのミリグラム数(mg/dL)。アメリカ、日本、フランス、エジプト、コロンビアなどで用いられる。
- 1リットルあたりのミリモル数(mmol/L)。1デシリットルあたりのミリグラム数(mg/dL)を18で割っても得られる。式は、
高血糖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:54 UTC 版)
久山町研究 1998年に福岡県久山町で行われた「久山町研究」 では、「糖尿病は悪性腫瘍死の発生のリスクを有意に増大させ、高血糖の程度を示すヘモグロビンA1cの高値の者ほど胃がんの発生率が高かった」という研究結果が得られた。この一町村の調査報告の中では糖尿病及び高血糖は悪性腫瘍の重要な危険因子である可能性を指摘している。糖尿病と診断されたことのある人は、そうでない人に比べて、がんを患いやすくなる確率20-30%ほど上がり、男性では肝がん、腎臓がん、膵がん、結腸がん、胃がん、女性では胃がん、肝がん、卵巣がんでこの傾向が強いことがコホート研究で示唆された。C-ペプチドは、インスリン生成の際、インスリンの前駆体であるプロインスリンから切り放された部分を指すが、男性では、C-ペプチド値が高いと大腸癌リスクが高くなる。C-ペプチドは男性の結腸癌と関連がある。 1988年以降、久山町では、九州大学をはじめとする複数の大学の研究者たちが、炭水化物が多く、脂肪は少なく、摂取カロリーも低めの食事を住民に食べさせ続けたところ、糖尿病だけでなく、アルツハイマー型認知症を患う住民が増えた。前述のとおり、糖尿病は癌を患うリスクをさらに上昇させる。 血糖コントロール悪化から入院した糖尿病患者の6.85%に新規に悪性腫瘍が指摘され、高い罹患率を認めたことから、急激な血糖コントロールの悪化を認めた際には、悪性腫瘍の鑑別が必要となる。 ストレス:ストレスを長期にわたって受け続けると、血流の低下、免疫力の低下につながり、がんになる確率が上がる。 WHOと国際がん研究機関(IARC)による「生活習慣とがんの関連」についての報告がある。 生活習慣とがんの関連(WHO/IARC)関連の強さリスクを下げるもの(部位)リスクを上げるもの(部位)確実身体活動(結腸) たばこ(口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、肺、膵臓、肝臓、腎臓、尿路、膀胱、子宮頸部、骨髄性白血病) 他人のたばこの煙(肺)過体重と肥満(食道<腺がん>、結腸、直腸、乳房<閉経後>、子宮体部、腎臓) 飲酒(口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓、乳房)、アフラトキシン(肝臓)、中国式塩蔵魚(zh:鹹魚)(鼻咽頭) 可能性大野菜・果物(口腔、食道、胃、結腸、直腸)身体活動(乳房) 貯蔵肉(結腸、直腸)塩蔵品および食塩(胃) 熱い飲食物(口腔、咽頭、食道) 可能性ありデータ不十分食物繊維、大豆、魚、ω-3脂肪酸、カロテノイド、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、カルシウム、亜鉛、セレン、非栄養性植物機能成分(例:アリウム化合物、フラボノイド、イソフラボン、リグナン) 動物性脂肪 複素環式アミン 多環芳香族炭化水素 ニトロソ化合物
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