食事や運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が深く関与して発症する疾患の総称です。以前は「成人病」と呼ばれていましたが、成人であっても生活習慣の改善により予防できることから、1996年に当時の厚生省が「生活習慣病」と改称することを提唱しました。日本人の三大死因であるがん、脳血管疾患、心疾患、および脳血管疾患や心疾患の危険因子となる動脈硬化症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などはいずれも生活習慣病です。
19世紀まで人類の健康上の課題は感染症の克服でしたが、この課題がほぼ解決した先進諸国では20世紀以降、疾病構造が大きく様変わりし、生活習慣病が主たる死亡原因となっています。
2000年には、厚生労働省により生活習慣病の1次予防に重点を置いた「健康日本21」が策定され、9分野について数値目標を定め、国民健康づくり運動が推進されています。2008年には新たに、内臓脂肪蓄積を基盤とした複合リスク病態であるメタボリックシンドロームおよびその予備群を2015年までに25%減少する目標が追加され、より強力な生活習慣病撲滅対策として特定健診・特定保健指導にその成果が求められています。
せいかつしゅうかん‐びょう〔セイクワツシフクワンビヤウ〕【生活習慣病】
生活習慣病
別名:成人病
生活習慣病
脳卒中や癌、心疾患、糖尿病、高血圧症、動脈硬化など、その発症や進行に、食生活や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関係するとされる疾病の総称。従来は、加齢に伴って増加することから「成人病」と呼ばれてきたが、発症時期が低年齢化していることや、予防のためには生活習慣が重要であるとする立場から、1997年、厚生省(当時)は新しい名称を導入した。これに伴い、疾病の早期発見・早期治療といった二次予防中心の対策から、生活習慣の見直しや支援的な環境づくりによる発症の予防といった一次予防中心の対策が重視されるようになった。
国際的には非感染性疾患(Noncommunicable Diseases;NCDs)、慢性疾患(Chronic Diseases)と呼ばれ、WHOは、全死亡のうち270万は果物と野菜の摂取不足、190万は運動不足に起因しているとして、2004年に「食事、身体活動、健康に関する世界戦略Global Strategy on Diet, Physical Activity and Health (DPAS).」を採択した。加盟国政府や国際機関、市民集団、NGO、民間セクターなどの関係者に、健康的な食事や身体活動などのライフスタイルを促進するための国家政策、計画、プログラムの実施を促進するよう呼びかけ、それらの実施・運営支援のために、データベースの整備や、モニタリング・評価の枠組み、身体活動を増やすポピュレーションベースアプローチのガイド、適切な野菜・果物の生産・消費のためのより効果的な介入、職場における非感染性疾患対策などに関する資料を提供している。先進国の問題と思われがちであるが、糖尿病による死亡の80%は、中・低所得国で起こっており、途上国にとっても深刻な問題である。(西田美佐)
参考資料;
ブリタニカ国際大百科事典
http://www.who.int/dietphysicalactivity/implementa...
生活習慣病【せいかつしゅうかんびょう】
生活習慣病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/18 06:11 UTC 版)
生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう、英: lifestyle disease、仏: maladie de comportement、独: Zivilisationskrankheit)は、糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症など、生活習慣が発症原因に深く関与していると考えられている疾患の総称である。日本では、かつて加齢によって発病すると考えられたために成人病(せいじんびょう)と呼ばれたが、1980年代から若者の発症が目立つようになり、その後の調査で生活習慣[注釈 1] が深く関与していることが判明してきた。このため、1997年頃から予防できるという認識を醸成することを目的として呼び方が変わった[1]。
注釈
出典
- ^ a b c d e f 生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申) (厚生省、1996年12月18日)
- ^ Sundström J, Risérus U, Byberg L, Zethelius B, Lithell H, Lind L. Clinical value of the metabolic syndrome for long term prediction of total and cardiovascular mortality: prospective, population based cohort study. BMJ 2006 Apr 15;332(7546):878-82. Epub 2006 Mar 1.
- ^ 作田學杏林大学神経内科学教授「健康日本21中間評価報告書(案)に対する意見」2006年9月1日
- ^ 富永祐民、「喫煙と健康」(1987/9/15) 『公衆衛生』 51巻 9号, p.650-654, doi:10.11477/mf.1401207541
- ^ a b c d e f g Kagawa, Yasuo (1978). “Impact of westernization on the nutrition of Japanese: Changes in physique, cancer, longevity and centenarians”. Preventive Medicine 7 (2): 205–217. doi:10.1016/0091-7435(78)90246-3. PMID 674107.
- ^ Position of the American Dietetic Association and Dietitians of Canada "Vegetarian diets" Journal of the American Dietetic Association Vol.103 Issue.6, June 2003, pp748-765.
- ^ a b 食生活とがん:がん情報サービス 国立がんセンター
- ^ a b c d "沖縄 長寿崩壊の危機 日本に迫る"短命化社会"". クローズアップ現代. Episode 3320. 5 March 2013. NHK。
- ^ 「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)」では肥満自体を生活習慣病の一つに含めている。
- ^ 日本人の肉食化進む「生活習慣病リスク高まる」 日本経済新聞 2012年12月6日
- ^ 白井正夫、〈「長寿沖縄」に赤信号〉 『保健婦雑誌』 (2003/3/1) 59巻 3号, doi:10.11477/mf.1662100034
- ^ ブリタニカ国際大百科事典
- ^ 日野原重明、「成人病に代わる『習慣病』という言葉の提唱と対策」『教育医療』 1978年 Vol5, No3, p.1-3, NAID 10008626976, 財団法人ライフプランニングセンター
- ^ 「生活習慣病といわれる成人病」,『厚生』 1990年 45巻 1号, NAID 50003269031
- ^ 平成18年 人口動態統計(確定数)の概況 (厚生労働省)
- ^ 第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別 死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合 (PDF) - 厚生労働省、2019年8月14日閲覧
- ^ 生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会 第1回資料 厚生労働省
- ^ 『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版』日本痛風・核酸代謝学会、2002年9月。ISBN ISBN 4-901935-02-X。
- ^ 平成17年 国民健康・栄養調査結果の概要について (厚生労働省)
- ^ 喫煙とがん:がん情報サービス 国立がんセンター
- ^ 渡邊昌『食事でがんは防げる』 光文社、2004年4月23日。ISBN 978-4334974411。198-199頁。
- ^ a b c 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書 - 厚生労働省(2014年3月28日)
- 1 生活習慣病とは
- 2 生活習慣病の概要
- 3 脚注
生活習慣病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 01:24 UTC 版)
「寒さ」の要因を別にすれば、おおむね「生活習慣病」であると言える。よって、「室温・衣服・食事」などを温かいものにして身体を暖め、適度な「運動・栄養・休息」をとり健康的な生活習慣になるよう改善することで、ある程度の予防・治癒することが可能である。
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