健康上の課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 23:09 UTC 版)
肥満防止策について アメリカ合衆国飲料協会(ABA)では、青少年の肥満防止策の一環として2008年から段階的に、コーラを始めとした砂糖分の多い清涼飲料の小・中学校内での販売を自主規制する方針である。またアメリカ合衆国では、マクドナルドやペプシコなど11の大企業が、12歳以下の子供にジャンクフードの広告を止めることで合意している。この「合意」とは、米国の大手食品メーカー11社が、12歳未満の子供への適切な栄養規格を満たさない広告の出稿停止に同意したものだが、これはジャンクフード全般を対象としたものであり、コーラ飲料製品を特定して批判したものではない。 また、この件で学校内販売を自粛する飲料は炭酸飲料だけでなく冷やした紅茶、牛乳等の伝統的飲料も含まれ、さらに、低カロリー清涼飲料、果汁100パーセントのジュース、低脂肪乳も供給量が制限される。逆に、ダイエット系炭酸飲料は導入が進められるため、コーラ等の炭酸飲料が狙い撃ち的にかつ無条件で否定されているわけでも販売供給が禁じられているわけでもない。 コーラは骨折率を5倍にする? 「炭酸飲料は少女の骨折率を3倍にし、特にコーラは5倍にした」というレポートが纏められている。これは化学的、生理学的実験ではなく、いわゆる「十代の妊娠」を防ぐプロジェクトの中で、都市部の女子高校生460人を対象にアンケートを用いて行なわれた、「医師から骨折と診断された経験があるかどうか」の調査結果に基づくものである。使われた質問紙は、ダイエットコーラ、砂糖入りコーラ、コーラ以外のダイエット型炭酸飲料、コーラ以外の砂糖入り炭酸飲料に分けて、その愛飲習慣の有無、度合いを問うている。 しかし、「ダイエット」飲料の定義は特に厳密に定めずに質問が行なわれている。また、表示されたアンケート結果は、そういったコーラや炭酸飲料の含有糖分の量、有無を区別せず、全体として骨粗鬆症を含む幾つかの「炭酸飲料消費の影響に関して大きな心配があります」と述べているのみである。「炭酸」自体の影響には言及していない。無炭酸飲料との比較は全くしていない。 アメリカ国立骨粗鬆症財団は、2500人を30年追跡調査した結果、通常のコーラに加えノンカフェインコーラやダイエットコーラを毎日飲んでいる場合にも骨密度の低下が見られたため、飲料に含まれるリン酸がカルシウムの吸収を妨げるだけでなく血液を酸性化することで骨からカルシウムを流出させていることが原因ではないかとしている。コーラを飲む習慣がある人の骨密度が低いことが観察され、ノンカフェインのコーラでも同じような傾向が見られたため、コーラに含まれるリン酸やグルコースがカルシウムの吸収を阻害して骨からカルシウムを流出させる原因ではないかと考えられている。 なお、タッカーによるこの研究は主に年配女性や妊婦に関してのものであり、喫煙、飲酒をしなくても常習的コーラ摂取が骨密度低下に関与しているのではないかという相関関係を論じた物である。骨自体はリン酸カルシウムが主な成分でリン酸も骨の成形には必要不可欠であるが、血中リン酸濃度が上がると、血液中のカルシウム量を一定に保とうとするため、骨からカルシウムを取り出してしまうというものである。ノンシュガー、ノンカフェインコーラの骨密度低下も認められるとしながらも、それらはより弱いものであり、また、男性、もしくは男女問わぬ場合のコーラと骨密度低下の関連性は認められなかったとしている。 また、女性5に対して男性6相当の量の炭酸飲料(うち5分の4がコーラ。ノンシュガーか否かは問わず)を飲み、女性より多くコーラを飲んでいると考えられるにもかかわらず、女性の骨密度の方がより低かったとしている。さらに、女性が必要摂取量のカルシウムを摂っていない、コーラに含まれるのリン酸(骨密度低下の原因とタッカーがにらむ)の量など取るに足らないものだ(コーラに含まれるリン酸の量は牛乳よりも遥かに少ない)、という指摘を受けて、タッカーがさらに確度の高い研究が必要だと述べたとも記されている。 微量のエタノールが含有 2012年6月、フランスの国立消費研究所(INC) は、雑誌『6000万人の消費者』の依頼により、コカ・コーラ、コカ・ライト、ゼロ、ペプシ・コーラ、ペプシ・マックスを含むコーラ飲料に、1リットル当たり10ミリグラム(0.001%)のエタノールが含まれている分析結果を公表した。 なお、日本の酒税法において、酒類に分類されないソフトドリンクとはアルコール度数が1%未満、フランスでは1.2%未満の飲料のことであり、ppmオーダーの微量のエタノールがコーラに含まれることが、即ち健康上の問題や特別な事象というわけではない。さらに上記の発表では、含まれるアルコール量については「しかし、非常に低用量の」と断り書きがあり、その数値は「約0.001%/L」である。上の引用記事におけるペプシの広報担当者のコメントに寄れば、この微量に検出されるエタノールはコーラ自体の材料に含まれているのではなく、原料として用いられている成分の一部にエタノールの痕跡(残留)の可能性があると認めている。これは、香料などの溶媒として一般的に使われているエタノールの残留等が考えられる。 さらに当引用記事は、コーラに含まれ得る痕跡的量のエタノールが、戒律により飲酒が厳しく制限されるイスラム文化のハラールにとってどのように受け止められるかを主に問題としているもので、「健康上の問題」として取り上げているのではない。なお、日本で生産される柑橘果汁入り飲料には平均0.09%のエタノールが含まれる。
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