国際がん研究機関(IARC;International Agency for Research on Cancer)は、1965年に世界保健機関(WHO)総会で、発がんのメカニズム、疫学、予防などを研究する組織として設立されることが決まりました。発展途上国により多くみられる感染症などと異なり、がんが健康問題となるのは衛生状態が比較的良好な先進諸国であることから、WHOとは別の独立した組織としてフランスの主導で、ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカ合衆国によって設立されました。その後、オーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、インド、日本、ノルウェー、オランダ、韓国、スペイン、スウェーデン、スイスが参加しています。ヒトに対する発がん性が認められる化学物質、混合物、環境について評価・分類して報告書としてまとめ、その結果を発がんリスク一覧(Lists of IARC Evaluations)として公表しています。
こくさい‐がんけんきゅうきかん〔‐ガンケンキウキクワン〕【国際癌研究機関】
読み方:こくさいがんけんきゅうきかん
国際がん研究機関
国際がん研究機関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/17 03:29 UTC 版)
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各国語表記
International Agency for Research on Cancer(英語) |
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IARC本部 (フランス・リヨン)
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概要 | 国際連合 世界保健機関 専門機関 |
略称 | IARC |
本部 | フランス・リヨン |
公式サイト | www |
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国際がん研究機関(こくさいがんけんきゅうきかん、英: International Agency for Research on Cancer、略称:IARC)は、世界保健機関 (WHO) の外部組織。
活動目的
発がんメカニズムの解明や原因の特定による発がん頻度の抑制、という目的を果たすべく、化学物質、放射線やウイルスなどの人に対する発がんの強さを評価、公表している。このほかヒトの各臓器に発生する腫瘍を組織学的に分類し記載した「WHO分類シリーズ」(The WHO Classification of Tumours series, いわゆる “Blue Books”)を出版している。現在第4版の編集が進行中である。
歴史
1965年、WHO総会で、発がんのメカニズム、疫学、予防等の研究する組織として設立が決められた。
感染症等と異なり、がんが健康問題となるのは衛生状態の改善された先進諸国であることから、フランスの主導で西ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカ合衆国によって、WHOとは予算、運営面で独立した組織として1965年にフランス、リヨンに設立された。その後オーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、インド、日本、ノルウェー、オランダ、韓国、スペイン、スウェーデン及びスイスが参加している。
国際がん研究機関による評価
IARCの発がん性分類は、当該物質などの発がん性に関する科学的証拠の確からしさを分類したものであり、発がん性の強さを評価したものではない。つまり、IARCの発がん性分類は、発がんのリスク評価ではなく、ハザードの同定となる。分類にあたっては、(1)疫学調査など人での発がん性データと(2)実験動物での発がん性試験などの証拠 (3)その他関連情報の 3点を評価し、それぞれの証拠の確からしさにより人への発がん性を総合評価する。発がんの総評価(分類)方法は、IARCの「序言 Preamble [1]」に記載されている。
IARCによる人に対する発ガン分類
- グループ1:発がん性がある
- グループ2A:恐らく発がん性がある
- グループ2B:発がん性の恐れがある
- グループ3:発がん性を分類できない
2019年1月までは以下の分類があったが、諮問グループによる検討の結果、廃止された[1]。
- グループ4:恐らく発がん性はない
在籍した人物
脚注
- ^ “国際がん研究機関(IARC)がモノグラフ前文改定についての諮問グループによる報告書を発表”. 電磁界情報センター. 2023年6月28日閲覧。
関連項目
- 報告書の発行機関
- イギリス放射線防護局(NRPB)
- 環境省(1995年)
- 通産省
- アメリカ物理学会(APS)
- アメリカ科学アカデミー(NAS)
- アメリカ環境健康科学研究所(NIEHS)
- RAPID計画 電磁波の影響を査定する共同調査事業(1992年–1998年)
外部リンク
- International Agency for Research on Cancer (英語) 国際がん研究機関-IARC 公式サイト
- Lists of IARC Evaluations[リンク切れ] (英語) IARC評価リスト
- 国際がん研究機関(IARC)の発ガン性評価方法(日本語) 関西電力〈電磁波についてメニュー〉
国際がん研究機関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 22:42 UTC 版)
「電磁波#影響」も参照 国際がん研究機関 (IARC) は「IARC発がん性リスク一覧」で「低周波磁場 (Magnetic fields (extremely low-frequency)」をグループ2Bに分類している。ただし、国際がん研究機関は「電磁波過敏症」について直接言及している訳ではない。また、「低周波電場 (Electric fields (extremely low-frequency)」をグループ3に分類している。 「低周波磁場」「低周波電場」と、いわゆる電磁波過敏症の文脈において語られる電磁波は異なる。Extremely low-frequency"(超低周波)とあり、商用交流電源周波数の電力線を念頭に置いている。 また、発がん性リスク一覧は当該物質や要因に対し予防原則として厳格に評価して「リスクグループに応じたリスクが有るか無いか」で判断した一覧表であり、当該物質や要因との接触強度(質・量)と有意的発がん性との関係その他の医原的な研究要素を何ら提供しない。また暴露に対する発がん性だけで判断しており、要因のもたらす効用や、生体毒性については、何ら判断していない。 IARC発がん性リスク一覧(抜粋)リスクグループ意味要因の例備考グループ1 ヒトに対して発癌性である(ヒトでの十分な証拠) 石綿、キスによって感染するウイルス (EVB) 、経口避妊薬の常用、太陽光曝露、アルコール飲料・タバコ・ビンロウ、加工肉、煤煙、非精製鉱油、塩蔵魚、木工粉塵、家具工場、受動性喫煙、日焼けマシーン グループ2A ヒトに対して恐らく (probably) 発癌性である(ヒトでの限られた証拠、実験動物での十分な証拠) アクリルアミド、赤肉、シリコンカーバイド、紫外線、クレオソート油、ディーゼルエンジン排気ガス、熱い飲料(65℃以上)、美理容業、日焼けランプ、交代制勤務 グループ2B ヒトに対して発癌性であるかも (possibly) 知れない(ヒトでの限られた証拠、実験動物での十分より少ない証拠) コーヒー酸、カーボンブラック(トナー)、サイカシン、パラジクロロベンゼンやナフタレン(防虫剤)、鉛、低周波磁場、ホルモン補充療法、オキサゼパム、フェノバルビタール(睡眠薬)、二酸化チタン(顔料)、カラギーナン(添加物)、ガソリンエンジン排気ガス、漬物、大工・ドライクリーニング・印刷・服飾製造業 グループ3 ヒトに対する発癌性については分類できない(ヒトでの不適切な証拠、実験動物での限られた証拠) ABS樹脂、パラアミノ安息香酸(日焼け止め)、天然のカラギーナン、水道水、石炭粉塵、低周波電場、静電場・静磁場、蛍光灯、フッ化物添加水道水、塩酸、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、イソプロパノール(消毒薬)、マラチオン(農薬)、水銀、オルトフェニルフェノール(ポストハーベスト)、PE・PMMA・PP・PS・PTFE・PVC、プラゼパム、PCNB(農薬)、岩綿、サッカリン、SO2、ビタミンK、ゼオライト、アスファルト・コールタール、コーヒー、原油、軽油、重油、ジェット燃料、マテ茶、精製鉱油、溶媒、インキ、茶、ヘアカラー、ガラス・皮革・ペンキ製造・製材・製紙業
※この「国際がん研究機関」の解説は、「電磁波過敏症」の解説の一部です。
「国際がん研究機関」を含む「電磁波過敏症」の記事については、「電磁波過敏症」の概要を参照ください。
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