ナイアシンとは? わかりやすく解説

ナイアシン【niacin】

読み方:ないあしん

ニコチン酸異称

「ナイアシン」に似た言葉

ニコチン酸

分子式C6H5NO2
その他の名称ニシル、アコチン、ニアシン、ニカシド、ニカギン、ニコラル、ダスキル、ニコナシド、ニコチニプカ、Nicyl、Akotin、Daskil、Niacin、Nicacid、Nicagin、Nicolar、Niconacid、Nicotinipca、Nicotinic acid、3-Pyridinecarboxylic acidPyridine-β-carboxylic acid、Pyridine-3-carboxylic acid、ニコサン3、ニコ-スパン、エファシン、ニコデルミン、Nico-Span、アペラグリン、ニクリン、Efacin、ペロニン、ペラグリン、リニック、ニカンギン、Pelonin、Pellagrin、Linic、Nicosan 3、Nicangin、Apelagrin、Nyclin、ナイアシン、ナイクリン、Nicodermin
体系名:3-ピリジンカルボン酸塩、ピリジン-3-カルボン酸、ニコチン酸、3-ピリジンカルボン酸


ニコチンアミド

同義/類義語:ナイアシン
英訳・(英)同義/類義語:nicotinamide

水溶性ビタミンB群一つ

ナイアシン


ナイアシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/06 01:56 UTC 版)

ナイアシン
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
IUPHAR/BPS
KEGG
MeSH Niacin
PubChem CID
特性
化学式 C6H5NO2
モル質量 123.11 g mol−1
融点

236.6 °C, 510 K, 458 °F

沸点

分解

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
ニコチン酸アミド

ナイアシン (Niacin[注釈 1]) は、ニコチン酸ニコチン酸アミド(ナイアシンアミド)の総称で、ビタミンB3 とも言う。水溶性ビタミンビタミンB複合体の1つである。糖質脂質タンパク質の代謝に不可欠である。エネルギー代謝中の酸化還元酵素補酵素として重要である。循環系、消化系、神経系の働きを促進するなどの働きがある。通常の食生活では欠乏し難いものの、トウモロコシが主食の生活圏では欠乏することがあり、ペラグラ皮膚炎口内炎、神経炎や下痢などの症状を生じる。過剰症では紅潮などナイアシンフラッシュを生じる。

化学的物性はニコチン酸が詳しい。

摂取

生体内においては、ナイアシンはトリプトファンから生合成される。ヒトの場合は、さらに腸内細菌がトリプトファンからのナイアシン合成を行っている。このため、通常の食生活を送る上では欠乏症に陥ることは少ない。

トウモロコシを主食とする場合、トウモロコシのトリプトファン含量が少ないため、ナイアシンとトリプトファンがともに欠乏し、ペラグラなどの欠乏症状を呈する場合がある。また、ロイシンを非常に多く含むモロコシを主食とする場合、過剰のロイシンにより(トリプトファンをニコチン酸に変換する際に重要な役目を持った酵素である)キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼの阻害が起こり、結果として欠乏症に陥る可能性がある。また、ビタミンB6欠乏もナイアシン欠乏を促進しうる。

ナイアシンは、熱、酸、アルカリ、光いずれに対しても安定ではあるが、水溶性である。調理の際、煮汁などへの損失に注意しなければならない。

1日の目標摂取量

NE(ナイアシン当量)に換算して表記する。動物性タンパク質に1.4%,、植物タンパク質中に1.0%トリプトファンを含むとし、また、トリプトファン60 mgからナイアシン1 mgが生合成されるとし、食品中に含まれるナイアシン含量に加えてナイアシン当量を算出する。

  • 成人男子 14-17 mgNE
  • 成人女性 12-13 mgNE
  • 許容上限摂取量を30 mgNEとする。

さらに、摂取エネルギー1000 kcalに対し4.8 mgNEを加える。

ナイアシンを豊富に含む食品

カツオサバブリイワシレバー鶏ささみマグロシラス干したらこ類、コーヒー

サプリメント

主として以下の成分がナイアシンサプリメントとして販売されている。

医薬品

欠乏症

  • ペラグラ
  • 口舌炎
  • 下痢などの胃腸障害
  • 皮膚炎
  • 神経症状

多彩ではあるが致命的でない症状を示すのが特徴的。

過剰症

  • ナイアシン - 1日100 mg以上の摂取で皮膚が赤くなり(皮膚紅潮)ヒリヒリしたり、痒みが出る(掻痒感)が数時間で治まる。 国内外問わず、これを「ナイアシンフラッシュ」と呼ぶ。独特の感覚を引き起こすため、これを求めて故意にナイアシンを過剰摂取する者も多い。
  • ナイアシン徐放剤 - 1日2000 mg以上で肝障害の可能性がある
  • ナイアシンアミド - 1日3000 mg以上の摂取で肝障害の可能性がある

注意事項

  • 高用量では血糖値を上昇させる恐れがあり糖尿病では注意が必要。
  • 高用量では尿酸値を上昇させる恐れがあり痛風では注意が必要。

生合成

トリプトファンのナイアシンへの変換は、動物の場合肝臓にて行われる。

NADサイクル
Trp: トリプトファン
QA: キノリン酸
Na: ニコチン酸
NaMN: ニコチン酸モノヌクレオチド
NaAD: ニコチン酸アデニンジヌクレオチド
NAD: ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
NADP: ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
NR: ニコチンアミドリボシド
NMN: ニコチンアミドモノヌクレオチド
Nam: ニコチンアミド
ADP-ribose: ADPリボース

ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)経路

トリプトファンは生体内において、トリプトファン-2,3-ジオキシゲナーゼ (EC 1.13.11.11)、アリルホルムアミダーゼ(EC 3.5.1.9)、キヌレニン-3-モノオキシゲナーゼ (EC 1.14.13.9)、キヌレニナーゼ (EC 3.7.1.3)、3-ヒドロキシアントラニル酸-3,4-ジオキシゲナーゼ (EC 1.13.11.6)および非酵素的反応によりキノリン酸(QA)に変換される。

EC 1.13.11.11 L-tryptophan + O2 = L-formylkynurenine
EC 3.5.1.9 N-formyl-L-kynurenine + H2O = formate + L-kynurenine
EC 1.14.13.9 L-kynurenine + NADPH + H+ + O2 = 3-hydroxy-L-kynurenine + NADP+ + H2O
EC 3.7.1.3 3-hydroxy-L-kynurenine + H2O = 3-hydroxy-anthranilate + L-alanine
EC 1.13.11.6 3-hydroxy-anthranilate + O2 = 2-amino-3-carboxymuconate semialdehyde
非酵素的反応 2-amino-3-carboxymuconate semialdehyde = pyridine-2,3-dicarboxylate(quinolinate;QA)

キノリン酸(QA)はキノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼの作用によりNADサイクルに導入される。

EC 2.4.2.19 pyridine-2,3-dicarboxylate(quinolinate;QA) + 5-phospho-a-D-ribose 1-diphosphate(PRPP) = nicotinate D-ribonucleotide(nicotinate mono-nucleotide;NaMN) + diphosphate + CO2

なお、これらはキヌレニン経路の一部を構成している。

キヌレニン経路

NADサイクル

生体内においてニコチン酸モノヌクレオチド(NaMN)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミド(NAm)、ニコチン酸(NA)は相互に変換される。これらの変換はニコチン酸ヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ (EC 2.7.7.18)、NAD+シンテターゼ (EC 6.3.5.1)、NAD+ヌクレオシダーゼ (EC 3.2.2.5)、ニコチンアミダーゼ (EC 3.5.1.19)、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ (EC 2.4.2.11)により形成される回路上で行われる。

EC 2.7.7.18 ATP + nicotinate D-ribonucleotide(NaMN) = diphosphate + deamido-NAD+(NaAD)
EC 6.3.5.1 ATP + deamido-NAD+(NaAD) + L-glutamine + H2O = AMP + diphosphate + NAD+ + L-glutamate
EC 3.2.2.5 NAD+ + H2O = ADP-ribose + nicotinamide(NAm)
EC 3.5.1.19 nicotinamide(NAm) + H2O = nicotinate(NA) + NH3
EC 2.4.2.11 nicotinate(NA) + 5-phospho-a-D-ribose 1-diphosphate = nicotinate D-ribonucleotide(NaMN) + diphosphate

その他

ナイアシン (Niacin) はニコチン酸ビタミン (NIcotinic ACid vitamIN) の略称であるが、この名称は元のニコチン酸という言葉が有害物質であるニコチンと混同されるのを避けるために付けられた。

結核菌 (Mycobacterium tuberculosis) は他の抗酸菌と比較して多量のナイアシンを産生する性質があり、この性質を利用した結核菌とその他の抗酸菌を判別する試験をナイアシン試験と呼ぶ。

脚注

注釈

  1. ^ NIcotinic ACid vitamIN (ニコチン酸ビタミン) の略称。
  2. ^ 代表的な物にInositol hexanicotinateがある。米国では"No Flush Niacin"または"Flush Free Niacin"として販売されている。

出典

  1. ^ Damian D, et al. ビタミンB3による非メラノーマ皮膚がん(NMSC)の再発予防効果を検討した臨床第Ⅲ相試験(Australian ONTRAC).第51回米国臨床腫瘍学会(ASCO)発表

外部リンク



ナイアシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/24 00:21 UTC 版)

ナルコノン」の記事における「ナイアシン」の解説

ナルコノンによればビタミンミネラルサプリメントは、栄養欠乏対処発汗によって失われた栄養素を補うために必要である。そのプログラムにおける重要な要素としてナイアシンの使用があり、多価不飽和脂肪酸を含む遊離脂肪酸流動高めいくつかの毒素化合物排泄速度高めるとハバード考えていた。適度な睡眠と共になって、この養生法長期間蓄積されている毒素流動させ排出するナルコノンによって考えられている。 ナルコノンの「ドラッグ・ボム」は1日あたり4000mgの用量のナイアシンを含む。高用量のナイアシンを服用する危険性は、医療専門家ナルコノンプログラム患者に対して危険であると評価した理由1つである;このナルコノンプログラムは、フランスケベックを含むいくつかの管轄区域禁止されている。 なぜならナルコノン教義は、そのプログラム受けた患者が(おそらく)「発汗して出ている」薬物誘発され身体症状を示すということ決定しており、またナルコノン従業員には、医療資格や一般的な正当な薬物更生英語版)の資格がないため、―ナイアシンの過剰摂取あるいは他が原因となる―重篤医学的症状が、ナルコノン従業員によってデトックスの望ましい効果であると誤解される危険性存在するベンゾジアゼピン系のような薬物中止後遅延して生じ離脱症状発作せん妄、また幻覚薬物流動による効果されたりサウナによる熱中症電解質不均衡英語版)を乱用され薬物効果の再体験であると誤解される危険性がある。

※この「ナイアシン」の解説は、「ナルコノン」の解説の一部です。
「ナイアシン」を含む「ナルコノン」の記事については、「ナルコノン」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ナイアシン」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「ナイアシン」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ナイアシン」の関連用語

ナイアシンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ナイアシンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
独立行政法人科学技術振興機構独立行政法人科学技術振興機構
All Rights Reserved, Copyright © Japan Science and Technology Agency
JabionJabion
Copyright (C) 2025 NII,NIG,TUS. All Rights Reserved.
Supplement Kuchikomi RankingSupplement Kuchikomi Ranking
(C)2025 All Rights Reserved. 健康食品のあり方を考える日本サプリメント評議会の運営です。
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのナイアシン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのナルコノン (改訂履歴)、オーガズム後疾患 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS