ヒンドゥー教
「ヒンドゥー教」の基本的な意味
「ヒンドゥー教」とはインドやネパールの民族宗教の一つで、インド国内では信者が10億人以上、日本などの他の国を合わせて約11億人の信者を抱える宗教である。キリスト教とイスラム教に続き、世界で3番目に信者が多い宗教としても知られているのだ。解脱や輪廻転生を信じ、菜食主義や河川崇拝、聖牛崇拝などの考え方を特徴としている。「ヒンドゥー教」の語源・由来
紀元前のインダス文明の時代ではインダス川のことを「シンドゥー」と呼んでいた。さらにその一帯に住んでいた人々であるインド人やパキスタン人、アフガニスタン人も川の名前から取ってシンドゥーと言っていた。その後「シンドゥー」という言葉は「ヒンドゥー」と変化していき、ヒンドゥー達が信仰する宗教のことをヒンドゥー教と言うようになったのである。「ヒンドゥー教」と「仏教」の違い
ヒンドゥー教と仏教の違いの一つは、カースト制度への考え方だ。ヒンドゥー教ではカースト制度を取り入れているが、仏教ではカースト制度を否定している。ヒンドゥー教も仏教もどちらも輪廻転生の考え方は一緒だ。だが仏教では輪廻から解脱することが出来れば悟りの世界に入ることができ、輪廻転生をしなくてもカースト制度を超えた夢のような世界に行き着くことは出来るとしている。一方で、ヒンドゥー教は生きている間にカースト制度を変えることは出来ず、来世では上位のカーストに行くことは可能と教えているのだ。生きている間にカーストを抜け出すことは不可能でも、来世では天界に行くことが出来ると考えているのが一番の違いである。信仰対象である神様への考え方にも違いがある。ヒンドゥー教は多神教で、仏教では釈迦の教えに従う。特にヒンドゥー教は信者自身が信じている神様を最高神として崇めることが多く、信者によって信じる対象が違ってくるのだ。人気があると言われているのがシヴァとヴィシュヌであり、シヴァは破壊神でありながら豊穣や生殖を司る、ヴィシュヌは世界を維持する温和な神である。
「ヒンドゥー教」の特徴
ヒンドゥー教の教えの根本には輪廻転生がある。現世での良い行いをすれば、来世ではより良い暮らしが出来るという考え方に基づいた教えをしている。現世ではダルマ、アルタ、カーマを求めることを目標としている。ダルマは法、アルタは富、カーマは愛だ。最終的には輪廻からの脱出をすることが、人生最高の目標としている。ヒンドゥー教の特徴には、細かな生活ルールが設けられていることが挙げられる。ヒンドゥー教の信者が多いインドやネパールではヒンドゥー教自体が生活の土台もなっていて、このルールに則って生活をしているのだ。そのルールの中で細かい戒律があるのが、食事マナーである。食べてはならない食材はもちろんのこと、誰と一緒に食べるのか、何を使って食べるのか詳細に決められているのだ。食べてはならない食材の一つには、牛がある。牛はヒンドゥー教では神聖な生き物で、殺したり食べてはいけない決まりとなっている。なぜなら神様の一人であるシヴァが牛に乗っているからだ。牛は神様のための乗り物ということで、食べてはいけない食材となっている。牛肉そのものを食べてはいけないことはもちろんのこと、出汁を使った料理なども禁じられている。また牛だけでなく生き物全般は先祖の生まれ変わりの可能性があるため、基本的には食べない。これらのルールを守っている人はベジタリアンになる傾向がある。
食材以外に食事に関する禁止事項も細かく定められている。身分が違う人とは食事を一緒にしない、右手で食事をするなどがある。人が口をつけたものは穢れがあるため食べない、誰が作ったのか分からないものは基本的には食べないなどだ。
「ヒンドゥー教」の聖典
聖典はヴェーダと二大叙事詩が代表的なもので、最も権威があると位置付けられているのがヴェーダだ。紀元前12世紀頃から作られたもので、アーリヤ人の自然崇拝の伝承を集約したものである。「ヒンドゥー教」の聖地
ヒンドゥー教の聖地はバナーラスやカイラース、カニャークマリがある。特にバナーラスはヒンドゥー教最高の聖地として知られ、毎年インド国内から100万人以上の信者が集まる。「ヒンドゥー教」の使い方・例文
・ヒンドゥー教の教えを学ぶ。・ヒンドゥー教では左手が不浄の手とされている。
・バラモン教とインドの文化が融合したのがヒンドゥー教だ。
・ヒンドゥー教の聖地を訪れる。
ヒンドゥー‐きょう〔‐ケウ〕【ヒンドゥー教】
読み方:ひんどぅーきょう
ヒンドゥー教
ヒンドゥー教(バラモン教)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 09:29 UTC 版)
インド哲学 - インド発祥の宗教 ヒンドゥー教 基本教義 アートマンとブラフマン 梵我一如 輪廻(サンサーラ) 業 プルシャールタカーマ ダルマ アルタ(英語版) モークシャ 神々 ブラフマー シヴァ(パールヴァティー) ヴィシュヌ(クリシュナ) アスラ ヴァルナ ヴィローチャナ マハーバリ ヴリトラ ラーヴァナ インドラ ナーガ ナーガラージャ ジャガンナート 聖典 【シュルティ(天啓)】ヴェーダ リグ・ヴェーダ ヤジュル・ヴェーダ サーマ・ヴェーダ アタルヴァ・ヴェーダアーラニヤカ ウパニシャッド 副ヴェーダ ガンダルヴァ・ヴェーダ ダヌル・ヴェーダ(英語版) スターパティア・ヴェーダ アーユルヴェーダ 【スムリティ(聖伝)】 ヴェーダーンガ プラーナ文献 マハーバーラタ (バガヴァッド・ギーター) ラーマーヤナ 六派哲学の諸経典 法典・律法経 マヌ法典 ヤージュニャヴァルキヤ法典 学派 ヴェーダーンタ学派 ミーマーンサー学派 ヨーガ学派 サーンキヤ学派 ニヤーヤ学派 ヴァイシェーシカ学派 宗派 ヴィシュヌ派 シヴァ派 シャクティ派 スマールタ派 人物 アンギラス カナーダ パーニニ パタンジャリ ウッダーラカ・アールニ ヴィヤーサ ヤージュニャヴァルキヤ シャンカラ カビール ラーマーヌジャ オーロビンド・ゴーシュ マハリシ・マヘーシュ・ヨーギー マハトマ・ガンディー シュリーラ・プラブパーダラーマクリシュナ ラマナ・マハルシ ラーダークリシュナン ヴィヴェーカーナンダ シャンカール 修行・礼拝 ヨーガ バジャン(英語版) 苦行・護摩 ヤジニャ(英語版) バクティ(英語版) 関連用語 ブラーフマナ ムルティ(英語版) サンヒター、グル インド神話、カースト ヒンドゥー暦 ヴァルナ ジャーティ 不可触民 サティー ヒンドゥトヴァ アーシュラマ ヒンドゥー至上主義 一覧 寺院の一覧、遺跡の一覧ヒンドゥー教の祭の一覧(英語版) ヒンドゥー教徒の国別人口(英語版) ヒンドゥー教用語の一覧(英語版) ポータル 表 話 編 歴 ヒンドゥー教は非常に雑多な宗教であるが、そこにはヴェーダの時代から続く悟りの探求の長い歴史がある。 仏教に対峙するヴェーダの宗教系で使われる悟りは意識の状態で、人が到達することの出来る最高の状態とされる。サンスクリットのニルヴァーナ(涅槃)に相当する。光明または大悟と呼ばれることもある。悟りを得る時に強烈な光に包まれる場合があることから、光明と呼ばれる。 インドではヴェーダの時代から、「悟りを得るための科学」というものが求められた。それらは特に哲学的な表現でウパニシャッドなどに記述されている。古代の時代の悟りを得た存在は特にリシと呼ばれている。 ニルヴァーナには3つの段階が存在するといわれ、マハパリ・ニルヴァーナが最高のものとされる。悟りと呼ぶ場合はこのどれも指すようである。どの段階のニルヴァーナに到達しても、その意識状態は失われることはないとされる。また、マハパリ・ニルヴァーナは肉体を持ったまま得るのは難しいとされ、悟りを得た存在が肉体を離れる場合にマハパリ・ニルヴァーナに入ると言われる。 悟りを得た存在が肉体を離れるときには、「死んだ」とは言われず、「肉体を離れる」、「入滅する」、「涅槃に入る」などと言われる。 悟りという場合、ニルヴァーナの世界をかいま見る神秘体験を指す場合がある。この場合はニルヴァーナには含まれないとされ、偽のニルヴァーナと呼ばれる。偽のニルヴァーナであっても、人生が変わる体験となるので、偽のニルヴァーナを含めて、ニルヴァーナには4つあるとする場合もある。 現在でも、ゴータマ・ブッダの時代と同じように山野で修行を行う行者が多い。どんな時代にでも多くの場所に沢山の数の悟りを得た(と自称している)存在に事欠かない。 通常、悟りを得たとする存在もヒンドゥー教、またはその前段階のバラモン教の伝統の内にとどまっていた。しかし、特にゴータマ・ブッダの時代はバラモン教が司祭の血統であるブラフミン(バラモン)を特別な存在と主張した時で、それに反対してバラモン教の範囲から飛び出している。同時代にはジャイナ教のマハーヴィーラも悟りを得た存在としており、やはり階級制であるカーストに反対してこれを認めず、バラモン教から独立している。
※この「ヒンドゥー教(バラモン教)」の解説は、「悟り」の解説の一部です。
「ヒンドゥー教(バラモン教)」を含む「悟り」の記事については、「悟り」の概要を参照ください。
「ヒンドゥー教」の例文・使い方・用例・文例
- イスラム教徒は牛肉を食べるがヒンドゥー教徒は牛肉を食べない。
- ヒンドゥー教徒は牛をとても大事にする
- ヒンドゥー教徒の寡婦の行為で、亡くなった夫を火葬する薪の上で、自らの意志で焼身自殺すること
- ヒンドゥー教の宗教的舞踊の儀式的な手の動かし方
- ヒンドゥー教の男性が着る長い腰布
- 裸行、禁欲、瞑想を行う、ヒンドゥー教の哲学者の一派の主義
- ヒンドゥー教の三大神の1つであるシヴァ神の崇拝
- ヒンドゥー教の三大神の1つであるヴィシュヌの崇拝
- 紀元前2000年以前までさかのぼるヒンドゥー教の詩から成るヴェーダ
- ヒンドゥー教のシヴァの男根の象徴
- 後期ヒンドゥー教の三神格
- 正統派ヒンドゥー教の宗教的・社会的制度
- シヴァ神を崇めるヒンドゥー教の分派
- シャクティを崇拝するヒンドゥー教の分派
- ヴィシュヌ神を崇拝するヒンドゥー教の分派
- 紀元前6世紀に、ヒンドゥー教に対する反乱として創設された宗派
- ヒンドゥー教と異教信仰の要素が混ざり合った仏教内の運動
- ヒンドゥー教の四大カーストの最下層:労働者階級
- 女性を人目につかないようにしておくヒンドゥー教徒やイスラム教徒の制度
- ヒンドゥー教勢力が強いインド北部の地域
- ヒンドゥー教のページへのリンク