ヒンドゥー・ヨーガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/21 22:24 UTC 版)
一般にチャクラは6つあると言われる(サハスラーラをチャクラに含める場合は7つ)。背骨の基底部から数えて第1チャクラ、第2チャクラ……と呼ぶこともある。[要出典] ハタヨーガの古典『シヴァ・サンヒター(英語版)』ではチャクラはパドマ(蓮華)と呼ばれ、同書第5章ではアーダーラパドマからサハスラーラパドマまでの7つの蓮華について詳述されている。加藤有希子によると、伝統的なチャクラの色には体系的な秩序はほとんどなく、さほど重視されてこなかった可能性があり、現代のように各チャクラに虹の7色があてはめられることはない。 以下の7つのチャクラの解説は、神智学徒チャールズ・ウェブスター・レッドビータの『チャクラ』本山博訳(1975年、平河出版社)とアーサー・アヴァロンの『蛇の力』(1974年、英語版)という西洋文献を参考に、インド・仏教研究者の立川武蔵が考察したものを中心に述べる。(参考文献に西洋的解釈・神智学的解釈がどの程度入っているかは不明。)立川武蔵はヒンドゥー・ヨーガの伝統的なチャクラの図における色を紹介しているが、これは加藤有希子のチャクラの色に一貫した体系が見られないという見解とは合致しない。 第1のチャクラ ムーラーダーラ・チャクラ(mūlādhāra-cakra)と呼ばれ、脊柱の基底にあたる会陰(肛門と性器の間)にある。「ムーラ・アーダーラ」とは「根本の座」「根を支えるもの」の意である。後代のヨーガおよびタントラの宗教では、ムーラーダーラには性力(シャクティ)が宿るとされ、とぐろを巻く蛇として理解される。立川武蔵によると、ヒンドゥー・ヨーガの伝統的なチャクラの図では、赤の四花弁をもち、地の元素を表象する黄色い四角形とヨーニ(女性器)を象徴する逆三角形が描かれており、三角形の中には蛇の姿をした女神クンダリニーが眠っているとされる。クンダリニーはシバ神妃のシャクティないしドゥルガーと同一視される。修行者はクンダリニーとアートマンの合一を目指し、ヨーガの修行によってクンダリニーは脊椎中のスシュムナー管を伝って上昇し、他のチャクラを経て頭頂のサハスラーラに至ると考えられている。『シヴァ・サンヒター』で言及されているチャクラの色は金色。『蛇の力』での色は黄色。 第2のチャクラ スワーディシュターナ・チャクラ(svādhişţhāna-cakra)と呼ばれ、陰部にある。「スヴァ・アディシュターナ」は「自らの住処」を意味する。立川武蔵によると、ヒンドゥー・ヨーガの伝統的なチャクラの図では、朱の六花弁を有し、水の元素のシンボルである三日月が描かれている。『シヴァ・サンヒター』で言及されているチャクラの色は金色。『蛇の力』での色は白。 第3のチャクラ マニプーラ・チャクラ(maņipūra-cakra)と呼ばれ、腹部の臍のあたりにある。「マニプーラ」とは「宝珠の都市」という意味である。立川武蔵によると、ヒンドゥー・ヨーガの伝統的なチャクラの図では、青い10葉の花弁をもち、火の元素を表す赤い三角形がある。『シヴァ・サンヒター』で言及されているチャクラの色は黄金色。『蛇の力』での色は赤。 第4のチャクラ アナーハタ・チャクラ(anāhata-cakra)と呼ばれ、胸にある。立川武蔵によると、ヒンドゥー・ヨーガの伝統的なチャクラの図では、12葉の金色の花弁をもつ赤い蓮華として描かれ、中に六芒星がある。風の元素に関係する。「アナーハタ」とは「二物が触れ合うことなくして発せられる神秘的な音」を指す。『シヴァ・サンヒター』で言及されているチャクラの色は真紅。『蛇の力』での色は煙色。 第5のチャクラ ヴィシュッダ・チャクラ(viśuddha-cakra)と呼ばれ、喉にある。虚空(アーカーシャ)の元素と関係がある。「ヴィシュッダ・チャクラ」は「清浄なる輪」を意味する。『シヴァ・サンヒター』で言及されているチャクラの色は黄金色。『蛇の力』での色は白。 第6のチャクラ アージュニャー・チャクラ(ājñā-cakra)と呼ばれ、眉間にある。インド人はこの部位にビンディをつける。「アージュニャー」は「教令、教勅」を意味する。「意」(マナス)と関係がある。『シヴァ・サンヒター』で言及されているチャクラの色は白色。 第7のチャクラ サハスラーラ(sahasrāra)と呼ばれ、頭頂にある。sahasra は「千」、ara は「輻」〔や〕。他の6チャクラとは異なり身体次元を超越しているとも考えられ、チャクラのうちに数え入れられないこともある。 その他 アージュニャーの近傍にマナス・チャクラとソーマ・チャクラ、ムーラーダーラとスワーディシュターナの間にヨーニシュターナがあるとされるが、これらは主要なチャクラには数えられない。 20世紀のヨーガ行者ヨーゲシヴァラナンダは、主な6チャクラに加えて臍の上のスールヤ・チャクラ(太陽のチャクラ)とチャンドラ・チャクラ(月のチャクラ)を挙げ、身体には8つのチャクラがあるとしている。
※この「ヒンドゥー・ヨーガ」の解説は、「チャクラ」の解説の一部です。
「ヒンドゥー・ヨーガ」を含む「チャクラ」の記事については、「チャクラ」の概要を参照ください。
- ヒンドゥー・ヨーガのページへのリンク