ブラーフマナ
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ブラーフマナ(サンスクリット: ब्राह्मण brāhmaṇa)は、ヴェーダのシュルティ(天啓文書)のうちの一つ。サンスクリットの古語であるヴェーダ語で書かれ、ブラーフマナ時代(およそ紀元前900年 - 紀元前500年の間)にそれぞれ成立したとみられる文書群である。祭儀書、梵書とも表現される。
ブラーフマナ とは、ブラフマンの派生形容詞、転じて名詞で「ブラフマンに属する(もの)」を意味する。
概要
ヴェーダのサンヒターが韻文で書かれているのに対して、ブラーフマナは散文で書かれ、ヴェーダの供犠に関する知識と、祭儀の意義を解説している[1]:53。
分類
4つのヴェーダ聖典はそれぞれ関連するブラーフマナを持ち、さらに学派(シャーカー)ごとにブラーフマナを持つことがある[1]:189。
- リグ・ヴェーダには2つのブラーフマナがある。
- アイタレーヤ・ブラーフマナ (Aitareya-Brāhmaṇa, AB) - 40章から構成される。
- カウシータキ・ブラーフマナ (Kauṣītaki-Brāḥmaṇa, KS) - 30章から構成される。
- サーマ・ヴェーダ
- パンチャヴィンシャ・ブラーフマナ (Pañcaviṃśa-Brāhmaṇa, PB) - 25巻から構成される。
- シャドヴィンシャ・ブラーフマナ (Ṣadviṃśa-Brāhmaṇa, SadvB) - パンチャヴィンシャ・ブラーフマナに対する追加第26巻。
- ジャイミニーヤ・ブラーフマナ (Jaiminīya-Brāhmaṇa, JB) - もっとも古いブラーフマナとされる。
- 黒ヤジュル・ヴェーダ: サンヒター(ヴェーダ本文)の中にブラーフマナ相当部分が附属している。ただし、タイッティリーヤ派はサンヒター中のブラーフマナに対する追加としてタイッティリーヤ・ブラーフマナ (Taittirīya-Brāhmaṇa, TB) を加えた。
- 白ヤジュル・ヴェーダ: ブラーフマナ文献中でもっとも重要とされるシャタパタ・ブラーフマナ(Śatapatha-Brāhmaṇa, 100章から構成される)がこの聖典に属する[1]:192-194。
- マーディヤンディナ派のシャタパタ・ブラーフマナ (ShB)
- カーンヴァ派のシャタパタ・ブラーフマナ (ShBK)
アタルヴァ・ヴェーダに関しても一応ゴーパタ・ブラーフマナ (Gopatha-Brāhmaṇa) という「ブラーフマナ」と名のついた文献はあるが、内容的にはブラーフマナではなく、新しい時代の文献である[1]:189-190。
脚注・出典
- ^ a b c d Winternitz, Moriz (1927). A History of Indian Literature. 1. translated by S. Ketkar. University of Calcutta
関連項目
ブラーフマナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 13:50 UTC 版)
『シャタパタ・ブラーフマナ(英語版)』にはヴィシュヌ派の護持する汎神論的アイデアを見つけることができる。ヴィシュヌ派では最高神であるヴィシュヌは経験的に知覚できる宇宙に遍く宿っているとされる。『シャタパタ・ブラーフマナ』にてプルシャ・ナーラーヤナ(ヴィシュヌ)は以下のように語る。「全ての世界に私自身を置いた。私自身に全ての世界を置いた」。さらにこの『シャタパタ・ブラーフマナ』はヴィシュヌとすべての知識(すなわちヴェーダ)を等価であるとする。すなわち宇宙の全ての本質を不滅であるとし、全てのヴェーダと宇宙の原則を不滅であるとし、ヴィシュヌであるこの不滅の物は全てであると主張する。 ヴィシュヌは全ての物と生物に染みわたっていると描写されている。これをジオラ・ショーハム(英語版)は、ヴィシュヌは、本質的な原則として、超越的な自己として常に全ての物と生物の中に存在しつづけている、と表現する。ブラーフマナを含むヴェーダの聖典はヴィシュヌを称賛しながらも、ヴィシュヌの下に他の神々を従属させない。ヴェーダが提示するのは包括的、多元的な単一神教である。時には明確に、「偉大な神々も卑小な神々も、若い神々も年老いた神々も」という呼びかけが行われることもあるが、これは神々の神聖な力をわかりやすく表現するための試みであり、いずれかの神がいずれかの神に従属しているという表現は見つけられない。一方でヴェーダの賛歌の中から、全ての神々がそれぞれ至高であり、それぞれ絶対的であるという表現を見つけることはたやすい。
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