ブラーフマナとは? わかりやすく解説

ブラーフマナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/26 21:50 UTC 版)

ブラーフマナサンスクリット: ब्राह्मण brāhmaṇa)は、ヴェーダシュルティ(天啓文書)のうちの一つ。サンスクリットの古語であるヴェーダ語で書かれ、ブラーフマナ時代(およそ紀元前900年 - 紀元前500年の間)にそれぞれ成立したとみられる文書群である。祭儀書梵書とも表現される。

ブラーフマナ とは、ブラフマンの派生形容詞、転じて名詞で「ブラフマンに属する(もの)」を意味する。

概要

ヴェーダのサンヒターが韻文で書かれているのに対して、ブラーフマナは散文で書かれ、ヴェーダの供犠に関する知識と、祭儀の意義を解説している[1]:53

分類

4つのヴェーダ聖典はそれぞれ関連するブラーフマナを持ち、さらに学派(シャーカー)ごとにブラーフマナを持つことがある[1]:189

  • リグ・ヴェーダには2つのブラーフマナがある。
    • アイタレーヤ・ブラーフマナ英語版 (Aitareya-Brāhmaṇa, AB) - 40章から構成される。
    • カウシータキ・ブラーフマナ (Kauṣītaki-Brāḥmaṇa, KS) - 30章から構成される。
  • サーマ・ヴェーダ
    • パンチャヴィンシャ・ブラーフマナ (Pañcaviṃśa-Brāhmaṇa, PB) - 25巻から構成される。
    • シャドヴィンシャ・ブラーフマナ (Ṣadviṃśa-Brāhmaṇa, SadvB) - パンチャヴィンシャ・ブラーフマナに対する追加第26巻。
    • ジャイミニーヤ・ブラーフマナ (Jaiminīya-Brāhmaṇa, JB) - もっとも古いブラーフマナとされる。
  • ヤジュル・ヴェーダ: サンヒター(ヴェーダ本文)の中にブラーフマナ相当部分が附属している。ただし、タイッティリーヤ派はサンヒター中のブラーフマナに対する追加としてタイッティリーヤ・ブラーフマナ (Taittirīya-Brāhmaṇa, TB) を加えた。
  • 白ヤジュル・ヴェーダ: ブラーフマナ文献中でもっとも重要とされるシャタパタ・ブラーフマナŚatapatha-Brāhmaṇa, 100章から構成される)がこの聖典に属する[1]:192-194
    • マーディヤンディナ派のシャタパタ・ブラーフマナ (ShB)
    • カーンヴァ派のシャタパタ・ブラーフマナ (ShBK)

アタルヴァ・ヴェーダに関しても一応ゴーパタ・ブラーフマナ (Gopatha-Brāhmaṇa) という「ブラーフマナ」と名のついた文献はあるが、内容的にはブラーフマナではなく、新しい時代の文献である[1]:189-190

脚注・出典

関連項目


ブラーフマナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 13:50 UTC 版)

ヴィシュヌ」の記事における「ブラーフマナ」の解説

シャタパタ・ブラーフマナ英語版)』にはヴィシュヌ派護持する汎神論的アイデアを見つけることができる。ヴィシュヌ派では最高神であるヴィシュヌ経験的に知覚できる宇宙遍く宿っているとされる。『シャタパタ・ブラーフマナ』にてプルシャ・ナーラーヤナ(ヴィシュヌ)は以下のように語る。「全ての世界に私自身置いた。私自身全ての世界置いた」。さらにこの『シャタパタ・ブラーフマナ』はヴィシュヌすべての知識(すなわちヴェーダ)を等価であるとする。すなわち宇宙全ての本質不滅であるとし、全てのヴェーダ宇宙原則不滅であるとし、ヴィシュヌであるこの不滅の物は全てであると主張するヴィシュヌ全ての物と生物染みわたっていると描写されている。これをジオラ・ショーハム(英語版)は、ヴィシュヌは、本質的な原則として超越的な自己として常に全ての物と生物中に存在しつづけている、と表現する。ブラーフマナを含むヴェーダ聖典ヴィシュヌ称賛しながらも、ヴィシュヌの下に他の神々従属させないヴェーダ提示するのは包括的多元的な単一神教である。時には明確に、「偉大な神々卑小な神々も、若い神々年老いた神々も」という呼びかけが行われることもあるが、これは神々神聖な力をわかりやすく表現するための試みであり、いずれかの神がいずれかの神に従属しているという表現は見つけられない一方でヴェーダ賛歌の中から、全ての神々それぞれ至高であり、それぞれ絶対的であるという表現を見つけることはたやすい

※この「ブラーフマナ」の解説は、「ヴィシュヌ」の解説の一部です。
「ブラーフマナ」を含む「ヴィシュヌ」の記事については、「ヴィシュヌ」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ブラーフマナ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「ブラーフマナ」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ブラーフマナ」の関連用語

ブラーフマナのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ブラーフマナのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのブラーフマナ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのヴィシュヌ (改訂履歴)、バラタ (皇帝) (改訂履歴)、バラドヴァージャ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS