パレスチナ自治政府とは? わかりやすく解説

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パレスチナ自治政府(ぱれすちなじちせいふ)

イスラエル設けられパレスチナ人自治政府

パレスチナ自治区イスラエルの首都エルサレム東側にある。パレスチナ人19万人居住している。パレスチナ人アラブ系民族で、イスラム教教徒だ。

パレスチナには、ユダヤ教イスラム教キリスト教三つ聖地重なっている。たとえば「嘆きの壁」(ユダヤ教聖地)や「岩のドーム」(イスラム教聖地)、「イエスの生誕地」(キリスト教聖地)など、宗教的な聖地がたくさんあるので有名だ

地理的には、ガザ地区ヨルダン川西岸の約40%がパレスチナ自治区だ。ここはイスラエル主権適用されないため、自治区と言われる。ここではパレスチナ自治政府が行政権警察権行使するガザ本部があり、行政の長はアラファト議長だ。

パレスチナ自治区は、イスラエルとの合意に基づきイスラエルからエルサレム東側分割する形で成立した。ところが、いまだにパレスチナとイスラエルは、領土争い決着がついていない。

パレスチナは「西エルサレムもほしい」ということ言っている。これに対しイスラエルは、ミサイル攻撃を含む強硬鎮圧出ている。イスラエル軍パレスチナ軍は衝突繰り返し各地死者負傷者出ている。

(2000.10.14更新


パレスチナ自治政府

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 13:38 UTC 版)

パレスチナ自治政府
السلطة الوطنية الفلسطينية
地域の旗 国章
地域の標語:なし
地域の歌:革命者
公用語 アラビア語
主都 東エルサレム(名目上)
ラマッラー(事実上)[Ref_a 1]
最大の都市 ガザ
政府
大統領
(自治政府議長)
マフムード・アッバース
首相  ムハンマド・シュタイエ[Ref_a 2]
面積
総計 6,020km2164位[1]
水面積率 3.5%
人口
総計(2022年 5,354,656人(119位[1]
人口密度 889.5人/km2
GDP(MER
合計(2021年180億3680万ドル(125位[2]
1人あたり 3,664[3]ドル
GDP(PPP
合計(2021年305億1834万ドル(145位[4]
1人あたり 6,199.5[5]ドル
暫定自治
オスロ合意1993年8月20日
自治政府設立1994年
正式発足1996年
国際連合総会オブザーバーに格上げ2012年11月29日
通貨 新シェケルJOD, ILS
時間帯 UTC+2 (DST:+3)
ISO 3166-1 PS / PSE
ccTLD .ps
国際電話番号 970
  1. ^ パレスチナの基本法ではエルサレムを首都としているが、現在はエルサレムがイスラエルの占領下にあるため、ラマッラーに首都機能がある。Palestinianbasiclaw.org[リンク切れ]
  2. ^ 2024年2月26日に辞任表明し、後任が決まるまで留任する予定。出典:パレスチナ首相が辞意、「ガザの現状踏まえた政治的取り決め必要」ロイター通信(2024年2月27日)2024年3月2日閲覧。

パレスチナ自治政府(パレスチナじちせいふ、アラビア語: السلطة الوطنية الفلسطينية‎, as-Sulṭa al-Waṭanīya al-Filasṭīnīya英語: Palestinian National Authority, Palestinian Authority、公式にはパレスチナ国[6])は、ヨルダン川西岸地区の一部を統治するパレスチナ人による政府である。

1994年にパレスチナ解放機構(PLO)とイスラエルオスロ合意に基づき、独立したパレスチナ人の国家となるべく設立された。

パレスチナを構成する、互いに飛び地になっている2地区のうち、ガザ地区は2007年にイスラム原理主義組織ハマース実効支配下となった[7]。ヨルダン川西岸にはユダヤ人入植地が多数つくられたままで[8]イスラエル国防軍が活動しており、パレスチナ自治政府の権力は制約されている[9][10]。パレスチナ人民からはイスラエルと結託した腐敗組織とみなされており、支持されていない[9][10]。2023年3月の調査によれば、パレスチナ人の63%はパレスチナ自治政府は「パレスチナ人にとって障害である」と考えている[9][11]

2023年パレスチナ・イスラエル戦争発生後においても、イスラエルとの和平によるパレスチナとの2国家共存、ガザ地区統治への関与回復を掲げている[7]

歴史

パレスチナ自治政府はオスロ合意により、1994年に設立された。自治政府が安全保障と文民統制を管轄する都市区域(エリアA)、文民統制のみ行なう辺境区域(エリアB)がある。残りの地域のユダヤ入植地、ヨルダン谷、及びパレスチナ地区を結ぶバイパス道路はイスラエル管轄区域(エリアC)である[12][出典無効]

発足当初の1996年の第1回総選挙英語版ではヤーセル・アラファートが88.2%の得票率で初代大統領に選出され[13]、アラファート率いる対イスラエル穏健派ファタハが立法評議会選挙で定数88議席のうち55議席という圧倒的多数の議席を確保して政権を運営していたが、縁故採用汚職が相次いだことで徐々に支持を失い、特にアラファート死後の2006年に実施した2回目の総選挙では強硬派のハマースが第1党となった。アラファートの後継者として大統領に就任したファタハ議長のマフムード・アッバースとハマースの内閣は度々対立し、2006年にガザ地区でファタハとハマースの武装組織が衝突し、ハマースはガザ地区を武力制圧した。アッバースはハマースのイスマーイール・ハニーヤを首相職から解任したが、ハニーヤは拒否し、ハマース率いるガザ地区とファタハ率いるヨルダン川西岸地区は2007年以降分裂状態となっていた。

2014年に分裂状態が解消され同年6月2日暫定統一政府が発足した(首相は西岸側のラーミー・ハムダッラーが続投)。イスラエルを含む多くの国家が西岸地区の自治政府を承認した一方、イランシリアスーダンはガザ地区の自治政府を承認した。

2012年11月29日には国連総会においてパレスチナ解放機構を「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げする決議案が賛成多数で承認され、国連では「国家」の扱いを受けることとなった[14]。それを契機とし、2013年1月3日、マフムード・アッバース大統領はパレスチナ自治政府の公式文書においてパレスチナ国という名称を用いるよう命令した[6]

政治

元首は大統領で任期4年、パレスチナ人による直接選挙で選出される。

立法機関はパレスチナ立法評議会である。定数132名で任期は4年、大選挙区制を採用している。

行政機関は、首相率いる内閣が組織する。任免権は大統領にある。

2014年6月2日、ラミ・ハムダラを首相とする暫定統一内閣が発足[15] 。ファタハ、ハマース双方が認める内閣が成立したのは、ハマースがガザ地区を制圧した2007年以来となる[15]

主な政党

など

地方行政区分

経済

ヨルダン川西岸地区の中核都市ラマッラー

2010年8月31日国際連合貿易開発会議 (UNCTAD) は、パレスチナ支援に関する年次報告書を公表した。同報告書によると、パレスチナ占領地のGDP は2009年に6.8%成長した。しかし、一人当たりのGDPは2000年に比べ30%低下している。また、失業率は前年比1.6ポイント減少しているものの依然30.1%の高水準である。食料安全保障の問題について同報告書は、パレスチナ経済にとって、イスラエルのガザ地区への軍事攻撃(2008年末から2009年初めにかけて)と西岸地区への経済封鎖が大きな足かせとなって、大きな影響を与えていると指摘している。また、民間部門の回復が特に遅れていることも指摘している。その原因がイスラエルの占領地内での移動や越境規制にあることも強調している。

パレスチナの貿易赤字は2008年のGDP比57%から2009年には59%に増加している。この中で対イスラエル貿易赤字が全体の貿易赤字の65%で、比率が大変大きい[16]

中央銀行の代わりとしてパレスチナ通貨局が置かれている。権能が非常に制限されており、「最後の貸し手」となれず、公定歩合の自主権がなく、また為替相場に介入できない。パレスチナの銀行はイスラエルの手形交換所に直接アクセスできず、イスラエルの銀行が代行している。パレスチナの銀行は、代行してもらうために巨額をイスラエルの銀行へ預金している。

住民

脚注

  1. ^ a b Main Statistical Indicators in the West Bank and Gaza Strip”. パレスチナ中央統計局英語版. 2020年10月25日閲覧。
  2. ^ GDP (current US$) - West Bank and Gaza”. 世界銀行. 2022年10月25日閲覧。
  3. ^ GDP per capita (current US$) - West Bank and Gaza”. 世界銀行. 2022年10月25日閲覧。
  4. ^ GDP, PPP (current international $) - West Bank and Gaza”. 世界銀行. 2022年10月25日閲覧。
  5. ^ GDP per capita, PPP (current international $) - West Bank and Gaza”. 世界銀行. 2022年10月25日閲覧。
  6. ^ a b “Palestinian Authority rebrands itself 'State of Palestine' after U.N. vote”. CNN.com. CNN. (2013年1月8日). https://edition.cnn.com/2013/01/07/world/meast/palestinian-name-change/index.html 2019年1月30日閲覧。 
  7. ^ a b パレスチナ自治政府・アッバス議長単独会見:ガザ統治へ新政府構想 和平実現「国際会議を」朝日新聞』朝刊2024年2月22日1面・2面・11面(2024年3月2日閲覧)
  8. ^ 米政府、ヨルダン川西岸の過激派入植者に制裁 ビザ発給禁止BBC(2023年12月6日)2024年3月2日閲覧
  9. ^ a b c What is the Palestinian Authority and what is its relationship with Israel?”. Al Jazeera (2023年10月11日). 2023年10月23日閲覧。
  10. ^ a b Are We Witnessing the End of the Palestinian Authority?”. BESA Center (2023年5月23日). 2023年10月23日閲覧。
  11. ^ Public Opinion Poll No (87)”. Palestinian Center for Policy and Survey Research (2023年3月8日). 2023年10月23日閲覧。
  12. ^ Wikipedia英語版
  13. ^ Central Elections Commission (CEC), Results of first General election, 1996. Here available Archived 2018-02-02 at the Wayback Machine.
  14. ^ 中山真 (2012年11月30日). “国連、パレスチナ「国家」格上げ決議 米など反発”. 日経ビジネス. http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM3001P_Q2A131C1MM0000/ 2014年5月6日閲覧。 
  15. ^ a b “パレスチナに統一内閣発足”. 産経新聞. (2014年6月3日). https://web.archive.org/web/20140603154818/http://sankei.jp.msn.com/world/news/140603/mds14060308510003-n1.htm 2014年6月17日閲覧。 
  16. ^ 「パレスチナ経済復興 国連報告」『しんぶん赤旗』2010年9月1日

関連項目

外部リンク


パレスチナ自治政府

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 04:45 UTC 版)

ガザ地区」の記事における「パレスチナ自治政府」の解説

詳細は「パレスチナ自治政府」を参照 1993年中東和平オスロ合意」に続く1994年のガザ・エリコ暫定自治合意カイロ協定)によって、ヨルダン川西岸地区一部と共にパレスチナ自治政府の統治下に置かれた。治安パレスチナ政府治安部隊および市民警察軍によって維持されているが、現在も航空管制沿岸航行イスラエル保持している。1998年ガザ国際空港開港したが、2001年イスラエルにより破壊された。 また、自治政府発足後も、入植者保護為にイスラエル軍駐留し、しばしば空爆行っていた。2004年には、アリエル・シャロン首相アドバイザー、アルノン・サフェル (Arnon Soffer) は「一発ミサイルには十発のミサイルをもって応じる。女性や子どもも死ぬだろう。女性たちが夫にもうカッサムロケット弾)を使わないように懇願するだろう。ガザ閉じこめられ250万人は、イスラム原理主義者に影響され恐ろしい戦争になる。もし我々が生き残りたいならば、彼らを一日中毎日殺し殺し殺し続けなければならない」と発言している。 2005年8月までにイスラエル全てのユダヤ人入植地撤去9月には全陸軍部隊ガザ地区から撤退させた(ガザ地区撤退計画)。しかし、直後イスラーム過激派ハマース選挙勝利してパレスチナ政府与党の座に就くと、イスラエル態度硬化した2006年6月末にはハマース武装勢力拉致されイスラエル兵士ギルアド・シャリート)1名を救出するため、戦車隊を含む陸軍侵攻したガザ侵攻 (2006年))。その後ハマースによるイスラエル向けた攻撃イスラエルによる攻撃断続的に続いている。 また、検問所イスラエルエジプト管理下にあり、ガザ地区事実上イスラエル封鎖されている。ガザ地区住民は、原則としてこの地区から自由に外に出ることはできない。が、ハマース等のイスラーム過激派による武器密輸が行われ、対イスラエル対す攻撃拠点となっている。それに対応するためにイスラエル軍による空爆その後続き2008年12月大規模な空爆を伴う地上侵攻開始され多数死傷者出ている(ガザ紛争 (2008年-2009年))。

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パレスチナ自治政府

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第2次インティファーダ」の記事における「パレスチナ自治政府」の解説

国際連合中東和平担当特別調整官(英語版)の推計によればパレスチナ経済損失は、年間のGDP45億ドルに対して2002年第1四半期11ドルとされる

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パレスチナ自治政府

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 04:42 UTC 版)

世界遺産の一覧 (アジア)」の記事における「パレスチナ自治政府」の解説

詳細は「パレスチナの世界遺産」を参照 画像登録名登録年分類登録基準ID備考 イエス生誕の地ベツレヘム聖誕教会巡礼路 2012年 文化 (4), (6) 1433 緊急案件危機遺産2012年 - 2019年)。 パレスチナ:オリーブワインの地 - エルサレム南部バティール文化的景観 2014年 文化文化的景観(4), (5) 1492 緊急案件危機遺産2014年 -)。 ヘブロンアル=ハリール旧市街 2017年 文化 (2), (4), (6) 1565 緊急案件危機遺産2017年 -)。

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