治安部隊
治安部隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/19 17:11 UTC 版)
月面都市による傀儡政権、地球政府に所属する傭兵部隊。入隊条件は17歳以上であることのみで、人種、経歴その他一切不問。変名(アライアス)制度まであり、本名を名乗らなくとも良い。それまで身を置いていた社会にいられなくなった者が、最後にたどり着く場所と言われており、地球出身者はおろか、月面都市や火星都市から流れてきた者もいる。8年の任期を勤め上げれば、莫大な報奨金と、月面都市の市民権が与えられる。それ故、レジスタンスからは、「我が身可愛さで故郷を裏切った俗物」として軽蔑されている。 レジーナ・キャッスル 本作の主人公。女性ながら、治安部隊の曹長を務める凄腕の傭兵。23歳。 月面都市の出身だが、妾腹であったため、正妻によって母ともども地球へ追放される。その際、レジスタンス組織に身を寄せるが、母が裏切って組織の情報を月面都市軍に流したため、母は惨殺され、何も知らなかった彼女自身も瀕死になるほどの暴行を受ける。その後、自分を引き取ろうという父の手を振り払って、治安部隊に入隊した。 各地の戦場を転々とし、現在はコタキナバル基地に勤務。治安部隊で既に7年も戦ってきたベテランであり、性別のハンデをまるで感じさせない凄まじい戦闘力を持つ。殊にナイフ格闘術に長け、コタキナバル基地では男女含めて最強。軍人としては有能だが、きつい物腰と豊富な経験から、将校からは「最も扱いづらい下士官」と呼ばれている。 顔立ちは整っているが、職業柄、外見にも言動にも女性らしさは皆無。読者からも「表紙絵を見たとき美少年だと思った」と言われ、とある経緯でドレスを着た時も「女装」呼ばわりされた。 自分だけの力で生きる強さを求めているが、本来は繊細な心の持ち主であり、様々な局面で自分の精神的な弱さを吐露する。しかし、普段は下士官という立場もあり、厳しい態度で他者に接するため、その内面の脆さを知る人間は限られている。 ラファエルに対して、当初は出来の悪い弟のように思っていたが、やがて愛情を抱くようになり、彼と一緒にいるために火星まで追いかけていく情熱を見せるまでになる。 治安部隊においては、父親の名前である「クリストファー」という変名を名乗っている。これは、軍隊に身を置くにあたって、女性的な要素を少しでも排除するためと、憎悪する相手の名を名乗ることで自分を鼓舞するため。 ラファエル もう一人の主人公。キャッスルの部隊に配属された新兵。年齢は16歳だが、歳をごまかして治安部隊に入隊した。 脱走未遂、命令違反の常習犯で、軍人としては問題外。だが、子供っぽく開けっぴろげな性格で、コタキナバル基地の誰からも好かれ、からかいと親しみを込めて「坊や」と呼ばれる。戦いの中で、キャッスルの強さと優しさに触れ、彼女に惹かれていく。お菓子とバナナが大好物で、爬虫類が大の苦手。 訓練生時代からずば抜けた身体能力を持っていたが、ストーリーが進むにつれて、明らかに異常と呼べるレベルにまで達し、それに伴って彼の出生の秘密が明かされていく。 親や生まれ故郷については彼自身も知らず、マルセイユのスラムで育った孤児だった。「ラファエル」という名前は、そのスラムを支配していたストリートギャングのボスを倒した事で襲名したもの。本名はアロイス・アフォルター。火星都市の国家元首ユージィン・アフォルターの息子であり、遺伝子操作を受けた強化人間「ユーベルメンシュ」だった。強化人間の中でも最強の肉体を持ち、短命・精神薄弱・半身の存在の必要性などの弱点を全て克服した、唯一の「完成されたユーベルメンシュ」だった。しかし、その肉体を乗っ取ろうとするユージィンの企みに気づいたサリエルにより、地球へテレポート。それまでの記憶を全て封印され、普通の人間として生活していた。 サリエル 本名はユリウス・アフォルター。ラファエルの双子の兄か弟。ラファエルとは体が結合し、体内器官の多くを共有する形で生まれてきた。ラファエルを生かすために切り捨てられ、命を落としたが、精神だけがラファエルに同調し、生き続けていた。ユーベルメンシュの中でも最強の超能力を持ち、まさにラファエルとは対となる存在。「ヘル」の血統の呪われた宿命からラファエルを解放するため、研究所を破壊し、彼を地球までテレポートさせた。以降はラファエルの意識内に潜伏し、彼を見守り続けていた。 性格もラファエルとは対照的に、冷酷で傲慢。同種である他のユーベルメンシュすら、自分にとっては普通の人間と変わらないとして見下している。しかし、大人びた態度や尊大な物言いに反して、行動パターンは癇癪持ちの子供のそれ。非常に短気かつ直情的で、簡単に挑発に乗る。ユーベルメンシュの多分に漏れず、半身であるラファエルを最優先に考えて行動する。ラファエルのためであれば、他の人間を切り捨てることも厭わないが、その短絡思考がかえってラファエルを追いつめる結果になることも多い。 なお、サリエルとは邪眼を司る天使の名前。半身が癒しの大天使ラファエルを名乗るのに合わせて、自ら堕天使を名乗っている。 アレクサンドル・エイゼン キャッスルの戦友。190センチの長身に、プラチナブロンドの髪、紫色の瞳を持つ美丈夫。29歳で、階級は軍曹。 キャッスルと同期で入隊してから、ずっと同じ部隊に配属され、共に戦ってきた相棒。頭脳明晰で身体能力にも優れ、さらに狙撃の腕は超一流。だが、性格はきわめていい加減な遊び人で、基地内の女性兵士の九割は彼と関係を持っているという。自身の美貌に絶対の自信を持っており、「自分より顔のいい男などいない」と豪語する。また、銃器マニアでもあり、自分のポケットマネーで市販の狙撃銃を購入し、女性の名前をつけて手入れするという奇癖を持つ。有能ではあるが、規律や上司を屁とも思わない態度から、キャッスルと共に「最も扱いづらい下士官」と呼ばれる。かなりのヘビースモーカーであり、独特の味わいを持つロシア煙草を愛煙する。 ある戦場でキャッスルを庇い、左足を吹き飛ばされた。そのため、現在は義足になっている(この時代の義足は、生身とほとんど変わらない高性能なもの)。 狙撃手の資格を持ちながら、なぜ普通の部隊に所属しているのか、なぜ必ずキャッスルと同じ部隊に配属されたのか、下士官の安月給でなぜ高価な義足を買えたのかなど、謎が多い。実はキャッスルと同じ部隊に配属されたのは、彼女の父親の差し金であり、エイゼンはその依頼で彼女を守っていただけだった。 月面都市の出身で、士官学校のエリートだった。しかし卒業を目前にして、若い将校たちのクーデターに巻き込まれ、親友であったサウル・オブライエン(キャッスルの異母兄)を失う。自暴自棄になって地球へ降り、フリーの殺し屋をやっていたが、クリストファー・オブライエン(キャッスルの父)に見つかり、彼女の護衛を依頼された。そのことを知られた後も、なおキャッスルから強い信頼を寄せられ、最後まで絶妙な距離を保ちつつ彼女を支え続けた。 何事にも執着しない質だが、ひとたび何かに夢中になると、最後にはそれを自分の手で滅茶苦茶に壊したくなるという性格破綻者。親友のサウルを見殺しにしたのもその性質によるものだが、その事に対し、後悔とも満足ともつかぬ感情を引きずり続けている。 アキラ・シドー 本名は志堂明。横浜出身の日本人。キャッスルの部隊に衛生兵として配属された新兵。 医者の母親の手伝いをしてきたため、一介の衛生兵とは思えないほど高度な医療知識を持つ。戦火の中、母親を安楽死させ、そのせいでたった一人残った肉親である妹にも憎まれ、捨て鉢になって治安部隊に入隊した。 上記の理由から、この世の全てに絶望的になっていたが、ラファエルやキャッスルの人柄に触れ、次第に人間らしい感情を取り戻す。特にラファエルとは親友と呼べる関係になっていた。 空手の達人で、軍人としてはなかなか有能。キャッスルの部隊の中でも、最もよく褒められる。当初、問題児扱いされていた理由は、基地内のケンカで手加減ができず、うっかり相手を殺してしまったため。本来なら銃殺刑になるところだったが、正当防衛が認められたため、営巣入りになっていた。 アブドゥル 口ひげがトレードマークのキャッスルの部下。階級は伍長。キャッスル・エイゼンと共に「最も扱いづらい下士官」の一人に数えられているものの、実は二人と一緒に行動することが多いために誤解されているだけで、彼自身は至極まっとうな軍人である。 荒くれ揃いの治安部隊にあって、珍しいほど善良で温厚な性格。「第二分隊のお母さん」と呼ばれるほど面倒見が良く、甘党仲間のラファエルによくお菓子をおごってやっていた。治安部隊に入ったのも、旅の途中で親しくなった人物に騙されて入隊させられただけだった。 ひげを生やしていることから、ラファエルからは「おっさん」と呼ばれるが、実はキャッスルと同年齢。その上異常なほどの童顔で、キャッスルの見立てでは、十五、六歳といっても通用するほど。口ひげを生やしたのはその童顔をごまかすため。 軍人ながらロマンチックなところがあり、他人の恋愛沙汰に敏感。キャッスルがエイゼンとラファエルのどちらとくっつくかを楽しみに見守っており、シドーのグッドリーに対する想いにも気がついている。 ジューン・グッドリー コタキナバル基地の司令官、スクリバ大佐の副官。階級は少尉で、キャッスルより一つ年下。 エイゼンも認める才色兼備の美女であったが、コタキナバル基地が陥落した際、大佐と共にレジスタンスに捕らえられ、瀕死になるほどの性暴行を受ける。キャッスルたちに救出され、負傷除隊して実家に帰ろうとしていたが、軍を脱走したシドーたちにつきあい、アビジャンで共に潜伏生活を送る。 地球出身の父と、月出身の母を持つ。父親は治安部隊を経て月に移住した人間だったが、地球出身者に月面都市住民の偏見は根強く、ずっと苦労させられていた。そんな父の姿を見て育ったため、グッドリー自身も地球の人間にシンパシーを感じていた。士官大学を出て治安部隊勤務を志望したのも、「地球と月の架け橋になりたい」と願ったからである。 性暴行を受けたことで男性恐怖症になっていたが、シドーの献身的な介護と、彼女自身の強い克己心で徐々に克服する。
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治安部隊
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地球政府軍(つまりは月面都市軍)に所属する傭兵部隊。キャッスルたち主人公はここで戦っている。入隊資格は、十七歳以上であることのみ。八年の任期を満了すれば、莫大な報酬と、月面都市の市民権が与えられる。兵士は地球住民から募集し、将校は月面都市の士官学校出身者が占める。基盤は強力だが、地理に暗く、ゲリラ戦法を取るレジスタンス相手には苦戦している。また、兵士は使い捨ての消耗品扱いされているため、武器もあまり良いものは与えられていない(レジスタンスよりは強力だが)。
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治安部隊
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「アフガニスタン・イスラム首長国の政府」の記事における「治安部隊」の解説
アフガニスタン・イスラム首長国の内外の安全保障は、それぞれ内務省と国防省が担う。現在の国防大臣は、ラフバリ・シューラ内の軍事委員会の長でムハンマド・オマルの息子のムハンマド・ヤクーブで、内務大臣はハッカーニ・ネットワークのトップ、シラジュディン・ハッカーニである。 現在、イスラム首長国軍は8つの軍団に細分化されており、そのほとんどがアフガニスタン国軍の以前の軍団に取って代わっている。2021年11月、国防相代理のムハンマド・ヤクーブは、新しい名前と軍団の名前を発表した。
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