ヨルダン川西岸とは? わかりやすく解説

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ヨルダン川西岸地区

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/28 08:54 UTC 版)

ヨルダン川西岸地区(ヨルダンがわせいがんちく、アラビア語: الضفة الغربيةaḍ-Ḍiffah l-Ġarbiyyahヘブライ語: הגדה המערביתHaGadah HaMa'aravit)、あるいは単に西岸地区は、パレスチナ国パレスチナ自治区)の行政区画である。ヨルダン川の西側、ヨルダンイスラエルの間に存在し、パレスチナ領域の一部を占めている。




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ヨルダン川西岸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 06:09 UTC 版)

パレスチナ問題」の記事における「ヨルダン川西岸」の解説

詳細は「ヨルダン川西岸地区」および「イスラエル西岸地区の分離壁」を参照 パレスチナヨルダン川西岸地区は、パレスチナ自治政府が行政権警察権共に実権を握るA地区パレスチナ自治政府が行政権イスラエル軍警察権実権を握るB地区イスラエル軍が行政権軍事共に実権を握るC地区分けられ2000年現在面積59%がC地区である。なお、イスラエルこの他に「軍事基地(Military base)」「射撃場(Firing zone)」「自然保護区(Nature Reserve)」も分類しているが、実質的にC地区一部である。また、イスラエル軍占領地ユダヤ人入植地は、これらの面積には含まれない詳細ヨルダン川西岸地区#統治者による区分参照)。 C地区イスラエル占領地であるが、イスラエル占領地であること自体認めておらず、法的に係争地であると主張している。 「イスラエル国防軍軍律#法的根拠」も参照 イスラエル支配下パレスチナ人地区では、住居はじめ建造物構築物建設イスラエル許可必要だが、イスラエル市民団体ピース・ナウによれば申請94%が却下される。特にC地区では、2008年2月現在、パレスチナ人住居は、自分土地であっても過去10年間1軒も許可されていない国際連合人道問題調整事務所(OCHA)によると、2010年 - 2014年の間に、C地区パレスチナ人住民建造許可下りた割合1.5%だった。 イスラエル軍は、「不法建築」を主たる根拠として、パレスチナ住民建築物破壊行っている。OCHAイスラエル民政局(ICA)のデータ参照したところによると、1988年から2014年にかけて、イスラエル民政局はC地区パレスチナ人建造物対する、14087件の破壊命令出した実際に被害受けた建造物は、約17000軒と推定されている。建物破壊年ごと増加傾向にあり、1995年164軒だったが、2010年には1020軒と始めて1000軒を超え2013年には1090軒を記録した2014年12月末時点で、約20%、2802件の破壊命令実行された。約1%151件は命令取り消され、11134件の未処理案件があった。また、2015年上半期には、パレスチナ人建造物245軒の破壊解体没収が行われた。20年上前命令根拠破壊実施された例もあり、命令効力事実上無期限である。破壊要した費用は、全てパレスチナ人から取り立てられるイスラエル民政局は、ユダヤ人入植地の「不法建築」も取り締まっている。それによると、1991年から2014年にかけて、6949件の破壊命令出した。約20%、1357件が実行され、約7%、486件は取り消された。約5%、368件は執行準備完了としており、約4%、295件は保留、残る4443件は未処理だった。ユダヤ人入植地は、「不法建築認定されても、取り消される確率パレスチナ人の約7倍である。またパレスチナ人異なり、たとえ破壊されても、当局から代地を含む補償支援受けられることがあるまた、イスラエル自国領・占領地入植地と、パレスチナ人居住区とを分断する壁を一方的に築いている。イスラエルは「壁(חומה, wall)」ではなくフェンス、柵(גדר, fence)」であると主張し、「反テロフェンス」と呼んでいる。壁は、イスラエル領土だけで無くイスラエル領域外の入植地を囲む形で建設進められている。第1次中東戦争停戦ラインパレスチナ側とされた領域も壁の内部取り込まれており、事実上領土拡大進めている。2004年7月9日国際司法裁判所は、イスラエルによる占領下にあるパレスチナにおける壁の建設国際法違反するという勧告的意見下したイスラエル側は現在も壁の建設続行している(エルサレム周辺地図(英語) 青地イスラエル入植地、灰地がパレスチナ人居留区、黒実線が壁、灰実線計画中の壁。全体図外部リンクからパレスチナ赤新月社による地図参照イスラエルは単に壁を作るだけではなく道路の通行規制行っている。パレスチナ自治区あるべき地域に、イスラエル人専用道路パレスチナ人立ち入り禁止)や、パレスチナ人通行制限されている道路多数存在している(地図ヨルダン渓谷沿い入植地群)。 また、イスラエル軍や、ユダヤ人入植者などのイスラエル民間人事実上治外法権であり、たとえパレスチナ自治政府警察権を握るA地区であってもイスラエル軍民の犯罪摘発することはできない状況にある。イスラエルは、ユダヤ人入植者犯罪にしばしば協力している。イスラエル人権団体・Yesh Din英語版)によると、2015年時点で、イスラエル司法は、ユダヤ人入植者被疑85%を不起訴とし、有罪となったのは1.9%であったパレスチナ人在住所有土地没収も、日常的に行われている。イスラエルの行政法は、今日でもオスマン帝国イギリス委任統治領パレスチナ時代法律多く残っており、イスラエルはこれらの法律利用している(ヨルダン川西岸では、さらにヨルダン占領当時法律が加わる)。たとえば、第三次中東戦争での占領後1967年7月31日イスラエル国防軍命令59布告し、「敵国」、すなわち従来ヨルダン・エジプトが国有地としていた土地全て自国国有地宣言した。しかし私有地没収については1979年イスラエル最高裁違法判決出たため、新たな法的根拠用意する必要があった。そこでイスラエル軍は、命令59改正しイスラエル国有地宣言した土地に対しては、私有地であることを証明する手続きが必要であるようにした。占領地には、未登記パレスチナ人が生活の用に供している土地少なくなく、イスラエル軍全てこれを国有地宣言したまた、異議申立通常の裁判所では無くイスラエル軍運営の「異議申立委員会」でしか行ないようにした。これにより、イスラエル軍はさらに多くパレスチナ人追放した。さらに、イスラム法端を発する、「3年間未耕作土地スルタン収公する」規定国家収公読み替えパレスチナ人耕作妨害することによって、私有地についても多く土地国有地として没収した。 しかしそれでも、イスラエル裁判所パレスチナ人私有認められ私設の(イスラエル政府承認していない)ユダヤ人入植地に対して違法判決が出ることはあった。2017年2月6日クネセト私設入植地さかのぼって公認しパレスチナ人私有地強制収用(ただし、補償金支払われる)を可能にする法案可決した同法は、占領地におけるパレスチナ人いかなる土地没収合法化する内容だったが、2020年6月9日イスラエル最高裁同法基本法違反事実上違憲)とする判断下したため、廃止された。 これらのパレスチナ人から没収した土地は、ユダヤ人入植地として、本来のイスラエル領内の1/3程度価格販売されている。 OCHAは、イスラエル軍パレスチナ人住民対す振る舞いを、占領地被保護者追放禁じた1949年ジュネーヴ諸条約第4条約第49条に違反していると指摘している。他方イスラエルは、1907年ハーグ陸戦条約第43条に基づくイスラエル義務一致しており、1995年の、PLOとの暫定合意にも合致していると主張している。 OCHA報告 によると、2019年第1四半期1~3月)に、ヨルダン川西岸地区イスラエル軍によって、136パレスチナ人による建造物破壊された。イスラエル軍破壊したのは、42%が住宅38%が住宅関連施設、7%が水道衛生施設だった。これにより、218人が事実上追放され、約25000人が影響受けた。もっとも深刻な被害は、2月17日行われた水道管破壊で、ベイトフリック、ベイトダジャンいずれもB地区)のあわせて約18000人が影響受けたまた、ヘブロン南部のマッサファー・ヤッタ地区イスラエルは「射撃場」に指定し住民立ち退き要求)では、2018年10月oPt人道基金寄付灌漑整備されたが、2019年2月イスラエル軍によって破壊された。また、A地区B地区においても、住宅2軒がイスラエル軍によって破壊され、8人が避難した2020年9月OCHA報告によると、イスラエル軍によるパレスチナ人所有建造物破壊は、2017年は月平均35件、2018年38であったが、2019年52件と増加した2020年は、新型コロナウイルス感染症流行初期1-2月は、月平均45件に減少したが、3-8月は65件と、2017年から4年間で最も多くなった。また、2020年3月から8月の間だけで、442人のパレスチナ人が家を失った。特に、8月205人が家を失ったが、これは過去4年間で最多であった7月21日破壊されヘブロン建造物には、新型コロナウイルスPCR検査予定地が含まれていた。OCHAは、2018年布告され命令1797によって建造物迅速な破壊可能になり、所有者異議申立の手続き取れなくなっていることを懸念している。 OCHAによると、2009年から2020年までの12年間に、パレスチナ人所有建造物7236棟が破壊され、10920人が家を失い避難民となった同一人物複数回の被害もあるため、人数延べ)。2020年中に破壊され建造物は836棟、避難民は984人に上り、これは2016年に次ぐ多さである。 水利権についても、同様にイスラエルによる占有進められている。イスラエル軍は、1967年にヨルダン川西岸、ガザ地区ゴラン高原東エルサレムシナイ半島占領すると、同年8月15日命令92で、イスラエル軍水利権全権を握ると布告した同年11月19日命令158水道施設許認可布告し拒否に際して理由を示す必要はいとしたまた、無許可全ての施設資源は、有罪判決待たず没収できる布告した1968年11月29日命令291では、1967年以前イスラエル占領以前)の地権水利権契約全て無効布告したオスロ合意では、ヨルダン川西岸におけるパレスチナ人水利権公認されたが、地下水の1/4に留まりヨルダン川については水利権認められなかった。オスロ合意では、パレスチナへの将来水利権拡大含めた最終的な地位協定予定されていたが、実施されていない2009年時点でも、イスラエルが8割の水利権握っている。 OCHAによると、C地区パレスチナ人住民27万人のうち、95000人は、WHOの推奨する1日消費量である100リットルの、半分以下のしか利用できていないまた、パレスチナ・トゥーバース県の推計によると、県内イスラエル人入植者は、パレスチナ人の8倍の割り当てられているという。

※この「ヨルダン川西岸」の解説は、「パレスチナ問題」の解説の一部です。
「ヨルダン川西岸」を含む「パレスチナ問題」の記事については、「パレスチナ問題」の概要を参照ください。

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