同一人物
★1.まったく無関係な別人であるはずの二人が、実は同一人物だったことがわかる。
『盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』(鶴屋南北) 笹野屋三五郎は、父の古主である塩冶浪士・不破数右衛門に御用金百両を調達するため、薩摩源五兵衛をだまして彼から百両をまきあげる。ところが薩摩源五兵衛とは、不破数右衛門が世をしのぶための変名であり、2人は同一人物であった→〔金〕1a。
『雪中梅』(末広鉄膓) 富永お春には親の決めた許婚があったが、その許婚は5年前から行方不明であり、お春は写真でしか許婚の顔を知らない。お春は政治青年・国野基(くにのもとい)と相思の仲になり、2人は、「3~4年経てなお許婚が不明のままであれば、夫婦になろう」と約束する。ところが、お春の許婚だったのは他ならぬ国野基のことであり、国野基は一時変名を用い、お春も叔母の姓を用いたことがあったために、互いにそれと気づかなかったのだった。
『マイナス・ゼロ』(広瀬正) 昭和20年(1945)。中学2年の浜田俊夫は、隣家の娘、3歳年長で女学校5年の伊沢啓子を、「女優小田切美子にそっくりの美人だ」と思う。それは当然で、実は伊沢啓子は小田切美子の娘であり、しかも2人は母娘でありながらも同一人物なのだった→〔ウロボロス〕5。
*一ノ関教授とその助手坂根第一は同一人物だった→〔円環構造〕6aの『ネオ・ファウスト』(手塚治虫)。
『有明けの別れ』 左大臣が太政大臣に昇進し、彼の孫が若くして新たに左大臣となる。若い左大臣は亡父右大将をなつかしみ、亡父の妹(=叔母)である女院に右大将の面影を見出して、恋慕する。しかし左大臣の真の父は別におり、右大将は養父にすぎなかった。しかも、叔母女院と亡父右大将は同一人物であったが、左大臣はそのことを知らなかった→〔一人二役〕1b。
★3.記憶喪失の夫が、かつての妻と現在の妻が同一人物であることに気づく。
『心の旅路』(ルロイ) チャールズは事故で頭を打ったため、妻ポーラを忘れ、行方知れずになった(*→〔記憶〕2b)。ポーラは夫を捜し、新聞の写真で、大実業家となったチャールズを見る。彼女は「マーガレット」と名乗り、チャールズの会社に就職し彼の秘書となって、献身的に働く。やがてチャールズはマーガレットに結婚を申し込むが、彼女がかつてのポーラであるとは気づかない。数年後、チャールズは何かに導かれるようにして、ポーラと暮らした田舎家を訪れ、記憶がよみがえる。チャールズの心の中で、マーガレットとポーラがようやく一つに統合される。
『ブラック・ジャック』(手塚治虫)「刻印」 「暗黒街の皇太子」と呼ばれる間久部は、自らの指紋を消すため、指先をすべて他人の指とつけかえる手術を、旧友のブラック・ジャックに依頼する。手術後、間久部の手下が口封じにブラック・ジャックを殺そうとし、重傷を負わせる。後、間久部は逮捕されるが、「自分は別人だ」と主張する。そこへブラック・ジャックから「手術の時、間久部の指の骨にB・Jのサインをマジックで書いておいた」との連絡が入る。
同一人物説
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