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カラタチバナ

(百両 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/30 00:02 UTC 版)

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カラタチバナ
福島県浜通り地方 2017年11月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Agiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
: ツツジ目 Ericales
: サクラソウ科 Primulaceae
亜科 : ヤブコウジ亜科 Myrsinoideae
: ヤブコウジ属 Ardisia
: カラタチバナ A crispa
学名
Ardisia crispa (Thunb.) A.DC.[1]
シノニム
和名
カラタチバナ(唐橘)[5]

カラタチバナ(唐橘、学名: Ardisia crispa)は、サクラソウ科ヤブコウジ属常緑小低木[6]

葉は常緑で冬に赤い果実をつけ美しいので、鉢植えなど栽培もされる。同属のマンリョウ(万両)に対して、別名、百両(ヒャクリョウ)ともいう[5]

従来の新エングラー体系クロンキスト体系では、ヤブコウジ科の種としていた[1]

特徴

樹高は20-100cmになる。は直立して円柱形、単純であまり分枝しない。樹皮は茶褐色で、若いときに粒状の褐色の微毛が生える。は互生し、葉身は狭卵形で、長さ8-20cm、幅1.5-4cmになり、約8対の側脈があり、先端は次第にとがって鈍頭になり、基部は鋭形、縁には不明瞭で低い波状の鋸歯があって鋸歯間に腺点がある。葉は葉質が厚く、表面は鮮緑色、無毛で光沢があり、裏面も無毛であるがときに多少細かい鱗片毛がある。葉柄は長さ8-10mmになる[5][6][7]

花期は7月頃。花序は散形状になり、葉腋または葉間にある早落性の鱗片葉の腋につき、花序柄の長さは4-7cmで斜上し、10個ほどのを下向きにつける。花冠は白色、浅い皿状で深く5裂し、花冠裂片は長さ約5mmの卵形で、外面は無毛で腺点があり、花柄の長さは約10mmになり、微毛が生える。は深く5裂し、萼裂片は狭長楕円形で長さ約2mmになり、多少の腺点がある。雄蕊は5個あり花冠裂片よりやや長く、葯は狭卵形になる。雌蕊は1個で花冠よりやや長く、子房はほぼ球形で無毛。果実は液果様の核果で径6-7mmの球形となり、11月頃に赤色に熟し翌年の4月頃まで残る。中に1個の大型の種子が入る[5][6][7]

分布と生育環境

日本では、本州(福島県以西[6]・新潟県以西[5])、四国、九州、琉球に分布し、常緑樹林の林内に生育する。国外では中国大陸台湾に分布する[5][6]

利用

いずれも常緑小低木で、冬に赤い実をつけるマンリョウ(万両)、センリョウ(千両、センリョウ科)、本種(百両)、ヤブコウジ(十両)とともに、正月縁起物とされる[8]鉢植えにされ、庭木にも利用される。果実が白色または黄色に熟す園芸品種もある[5]

江戸時代の寛政年間に、葉に斑が入ったものの栽培が流行し、高値で取り引きされた。江戸時代後期や明治時代にも流行したことがある。その後は大きな流行は見られない。現代は新潟県、島根県を中心に栽培されている[8]

ギャラリー

下位分類

和名、学名はYistによる。

  • シロミタチバナ Ardisia crispa (Thunb.) A.DC. f. leucocarpa (Nakai) H.Ohashi - 果実が白く熟す品種[6]
  • キミタチバナ Ardisia crispa (Thunb.) A.DC. f. xanthocarpa (Nakai) H.Ohashi - 果実が黄色く熟す品種[6]
  • ヤクシマタチバナ Ardisia crispa (Thunb.) A.DC. var. caducipila (Nakai) Ohwi - 若いときに葉柄および葉の裏面に小刺毛のある変種で、本州(和歌山県)と九州(屋久島)に分布する[6]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b カラタチバナ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ カラタチバナ(シノニム) 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ カラタチバナ(シノニム) 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ カラタチバナ(シノニム) 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  5. ^ a b c d e f g 『樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)山溪ハンディ図鑑5』p.177
  6. ^ a b c d e f g h 『改訂新版 日本の野生植物 4』p.190
  7. ^ a b 『新牧野日本植物圖鑑』p.552, p.1323
  8. ^ a b カラタチバナ”. みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2021年1月3日閲覧。

参考文献

  • 茂木透、石井英美他『樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)山溪ハンディ図鑑5』、2001年、山と溪谷社
  • 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 4』、2017年、平凡社

関連項目

外部リンク


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