固有語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 04:07 UTC 版)
固有語(こゆうご)とは、借用語(外来語)でない当該言語に固有の語または語彙を指す。日本語では和語(大和言葉)がこれに該当する。日本語の文例では、「わたくしは学校にいく」のうち、借用語は名詞の「学校」だけで、他の「わたくし」(代名詞)「いく」(動詞)「は」「に」(助詞)はいずれも固有語である和語である。
注釈
- ^ 例えば「英語やドイツ語の学術用語の多くは古典ギリシア語、ラテン語、フランス語などに由来しており、固有語によるものは多くない」という認定は、英語やドイツ語という個別言語の語彙内部が「固有語」と「借用語」とに分かれているという理解と、古典ギリシア語、ラテン語、フランス語が英語やドイツ語の「上層言語」に位置するという言語間関係についての理解の双方から成り立つ。
- ^ 語源の遡及は文献(ないし厳密な内的再構)の限界以上には不可能であるから、客観主義的アプローチによって「固有語」と認定された語がほんとうに「固有」なのかは、厳密には不可知である、と説くのが主観主義的アプローチの観点である。
- ^ ロマンス語に属するスペイン語はギリシア語以外にもアラビア語が上層語となっている。
- ^ もっともこれらの古典語も全く借用語を受け入れず、完全に固有語のみで高級語彙をまかなっているということはない。ラテン語はその初期にエトルリア語の影響を受け、古典語としての地位を確立するまでに古典ギリシア語やアラビア語から多くの借用語を取り入れており、特定言語からの大規模な借用を確認できないのはアラビア語(フスハー)ぐらいである。客観主義をつきつめても、主観主義から断定しても、「借用語の存在しない言語はない」ことになる。
- ^ アラビア語を上層とするペルシア語、ギリシア語を上層とするラテン語など。
- ^ 中国語は漢字だけで書かれるため、古い時代の借用語が識別しにくい。現代ヘブライ語は成立の経緯が極めて人工的であり、借用語の移入は意識的に抑制された。
- ^ 日本語と似た開音節構造をもち多音節形態素が多いマレーシア語、インドネシア語、フィンランド語は漢字を初めから使用していないが、音訳借用と翻訳借用をあわせた語彙の拡張(当然「冗長」である)によって、公用語として十分機能する言語に成長している。明治期の日本でも、清水卯三郎は『ものわりのはしご』を実際に訳した(1874年)のであり、和語による造語は(言語内的には)可能だったのであるが、それが漢文的教養を思考の枠組みとしていた当時の知識人層に受け入れられなかったから普及しなかったのである。
- ^ このうち朝鮮語における言語純化運動は、中国語のみならず植民地時代に流入した日本語からの影響の排除をもう一つの目標に据えている。むしろこの点が重視される傾向もある
出典
- ^ 井上ひさし『私家版 日本語文法』(新潮文庫、1984年)。ISBN 4101168148 大野晋「国語改革の歴史(戦前)」丸谷才一編『国語改革を批判する』(中公文庫、1999年)ISBN 4122035058 所収。
- ^ 酒井直樹『死産される日本語・日本人』(新曜社、1996年)。 ISBN 4788505568
- ^ 子安宣邦『漢字論 不可避の他者』(岩波書店、2003年)。 ISBN 4000224328
固有語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 09:44 UTC 版)
「東ティモール」のテトゥン語表記"Timór Lorosa'e"は「日出づるティモール」、つまり「東のティモール」という意味であるが、loroは「太陽」、sa'eは「昇る」という固有語である。また、「言葉」のテトゥン語はliafuanだが、これもlia(声)・fuan(果実)という固有語である。このように、固有語は基本的な語彙に存在する。
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