言語純化運動と借用語論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/20 09:35 UTC 版)
借用語に関する議論は、常に同時代の政治動向にも影響され、それ自体が政治色を帯びる。政治的変動によって既存の上層言語が力を失ったり交代したりすると、その上層言語からの借用語を固有語に置き換えようとする文化運動が起こることがある。これを言語純化運動という。トルコ共和国成立後のトルコ語において、イスラム教色一掃のためにアラビア語及びペルシア語語彙を排除する固有語復活運動が発動されたのが典型的な例である。第二次世界大戦終結後に独立した漢字文化圏の周辺諸国では漢語の影響を排除するための純化運動が並行的に発動されている。 こうした言語純化運動の成功度については、論者の主観と基準の置き方(何をもって「成功」と見なすか)によって、肯定、否定さまざまな評価が下されており、一定していない。実際成功度を客観的に測定することは困難である。ただし、複数の例を比較することで成功度の差を相対的に評価することは可能である。たとえば漢語排除に関しては、北朝鮮の朝鮮語及び北ベトナムのベトナム語では一定の置き換えが定着した一方、韓国では置き換えの定着度は相対的に低い(朝鮮語の国語純化)。日本では国学者やローマ字化・カナ化論者によって唱えられたが、ほとんど行われなかった。敵性語追放運動でも漢語は問題視されていない。戦後においてもカタカナ語の多用が問題視され、一部の単語について漢語、和製漢語への置き換えが行われることがある。
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