和製漢語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/26 02:55 UTC 版)
和製漢語(わせいかんご)とは、日本で日本人によってつくられた漢語。漢訳語彙の一種。中国語(古典中国語および白話)の造語法に基づきつつも、ときには日本語特有の要素(和臭)を交えてつくられた造語。古くから例があるが、特に幕末明治以降、西ヨーロッパ由来の概念を表すために翻訳借用語としてつくられた。
注釈
- ^ 「共和」は、『史記』周本紀および古本『竹書紀年』で、西周時代に王が一時的に追放された期間、諸侯・貴族の合議制による政治運営が行われた政治体制のことを指して使われている。日本の漢学者大槻磐渓と箕作省吾はこれを、同様に世襲君主がなく貴族や議員の合議制で政治を運営するという点で共通する、ヨーロッパの "respublica" の意味も含めるよう、自然な意味の拡張を行ったので、意味の拡張を日本人が行ったという意味での和製漢語である。現代では、地域時代を問わず、世襲君主のいない政治体制を指して使われる。
- ^ 例えば、金田一春彦『日本語 新版(上)』岩波書店[2]。
- ^ 「株式会社」という和製漢語は中国では広まらず、華製新漢語である「股份有限公司」が広まった(なお「株式」は華製新漢語では「股票」という)。また梁啓超は "economy" を「資生」と翻訳したが、和製漢語「経済」のほうが中国で広まった例がある。
- ^ 上海外国語大学教授
- ^ KAKEN[1]
- ^ 図書館情報学者。1970-73国立国会図書副館長ほか
- ^ 中国法制史研究者
- ^ KAKEN[2]、researchmap[3]、CiNii[4]
- ^ researchmap[5]
出典
和製漢語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 15:05 UTC 版)
近代の西欧由来の概念に代表される翻訳語彙としての和製漢語は抽象概念を表す語彙から具体的な物体などを表すものまで広範囲にわたっており、その数は枚挙にいとまがない。 個人(개인) [kɛːin] 「個人」 主權(주권) [ʨukʼwɔn] 「主権」 義務(의무) [ɯiːmu] 「義務」 鉛筆(연필) [jɔnpʰil] 「鉛筆」 電話(전화) [ʨɔːnɦwa] 「電話」 博物館(박물관) [paŋmulɡwan] 「博物館」 これらの語彙のいくらかは中国に逆輸入され中国語とも共通している。しかし、中国語で別途に語彙を作った場合は、朝鮮語と日本語では共通しているが中国語とは共通しない。 日本語・朝鮮語中国語飛行機(비행기 [piɦɛŋɡi]) 飛機 fēijī 汽車(기차 [kiʨʰa]) 火車 huǒchē 野球(야구 [jaːɡu]) 棒球 bàngqiú 会社(회사 [høːsa]) 公司 gōngsī 写真(사진 [saʥin]) 照片 zhàopiàn なお、日本において「同音の漢字による書きかえ」の規定により、一部の和製漢語の表記は変更されたが、朝鮮語では旧表記の漢字による読みが維持される。 朝鮮語日本語弘報(홍보 [hoŋbo]) 広報 刺戟(자극 [ʨaːgɯk̚]) 刺激 手帖(수첩 [suʨʰɔp̚]) 手帳 尖端(첨단 [ʨʰɔmdan]) 先端 慰藉料(위자료 [wiʥaɾjo]) 慰謝料 破毀(파훼 [pʰaːɦwe]) 破棄 洗滌(세척 [seːʨʰɔk̚]) 洗浄 近代以前の和製漢語で朝鮮語にもたらされたものは多くない。ただし、これらの語彙も日本統治時代にもたらされたものと見られる。 十八番(십팔번) [ɕip̚pʰalbɔn] 「十八番」 また、日本語の漢語と意味の異なるものもある。「八方美人(팔방미인)」[pʰalbaŋmiin] は朝鮮語ではあらゆることに才を発揮する人を指し、肯定的な意味で用いられる。
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和製漢語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:49 UTC 版)
新思想の紹介は、必然的に新たな語彙の発明を伴う。それまで無かった概念にネーミングする必要があるからである。そしてその定着の為には、その語彙を使用する共通の場とある程度の広がりが必要とされよう。『明六雑誌』はそれを提供する役割を果たした。上記“individual”に当てられた様々な訳語はその一端であるが、“individual”の場合、『明六雑誌』の訳語は定着しなかった。しかし文明開化に非常な影響力を持っていたこの雑誌に由来する新語彙・訳語は多い。それらは、いわば『明六雑誌』発の和製漢語である。あるいは、発明せずとも雑誌で使用されることで一般化した語彙もある。両者を分かつことは難しいので厳密には分類せず、『明六雑誌』に登場し、現代まで残った語彙のうち代表的なものを列挙する。 科学、農学、洋学、洋風、珪素、砒素、電磁、冤罪、検事、議会、領事、領事館、圧政、学制、原価、資金、外債、社交、社用、官権、広告、眼識、痴呆、熱心、保健、確保、確立、過食、玩具、現象、工場、申告 この他従来からあったことばや中国由来のことばを借用し、意味を転用したものもある。代表的なものとしては「国債」、「哲学」、「社会」などがある。 定着した新語彙のうちのいくつかは、その後東アジアにおとずれた日本ブームによって、隣国の中国や朝鮮にも伝播した。「社会」などは元々南宋の書『近思録』(朱子・呂祖謙共同編集)に登場する語彙であるから、装いも新たに大陸に逆輸入されたといってよい。そうした側面からすると、『明六雑誌』の影響は日本国内に留まるものではなく、周辺諸国にも及んでいたと言える。
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