ひ‐げき【悲劇】
悲劇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 06:08 UTC 版)
悲劇(ひげき、英: tragedy)とは、古代ギリシアに成立し(ギリシア悲劇)、ルネサンス以降のヨーロッパにおいて継承・発展した演劇形式である。またその演劇の脚本・戯曲のことも悲劇と言う場合がある。多くは主人公となる人物の行為が破滅的結果に帰着する筋を持つ。転じて、同種の筋を持つ他地域の演劇や現実の出来事を指しても用いられる。なお、まれに悲劇のうちには「機械仕掛けの神」(デウス・エクス・マキナ)によって事件が解決される筋をもつものもある。
概要
悲劇には単なるハッピーエンドに終わらない劇という以外、悲劇の厳密な定義はない。また同じ戯曲・演劇でも、時代・社会状況や、読む者・演じる者・観る者の主観によって、それが悲劇となるかそうではなくなるかが大きく異なってくる。19世紀ロシアの劇作家チェーホフは、自身の戯曲『桜の園』を喜劇であると言った。同戯曲は、凡庸な貴族が土地を失っていく様が筋の中心となっている。それを演出した同時代の演出家スタニスラフスキーは、近代化の波に飲まれていく旧来の人間の姿を同戯曲中に見いだし、悲劇として扱った。そして近代演劇史上に残る成果を残した。
現在のヨーロッパ諸言語で悲劇を指す語は、古代ギリシア語において悲劇を指す語「トラゴイディア」(tragoidia)から発展したものである。トラゴイディアの原義は「ヤギの歌」であるが、なぜこの劇形式がそのように呼ばれるかについては諸説ある。その説の一つとしては、劇の背景や状況などを歌い上げる合唱隊コロスが、牧羊神の衣装を着ていたからというものがある。この説は有力なものとされているが、研究者間で意見の一致をみているわけではない。
古代ギリシアにおいて、悲劇は三部作からなり、神ディオニュソスへの捧げものとされた。毎春の大ディオニュシア祭においては悲劇の競演が行われ、演劇の洗練と発展を促した。
キリスト教が興るとともに悲劇はすたれたが、のちルネサンス期の古典回帰以降、ふたたび注目され、フランス新古典主義では、アリストテレスの『詩学』を典拠とする新古典主義的演劇が数多く上演された。
『悲劇の誕生』の記事を参照のこと。
転用
スポーツなどで、ある国やチームが悲願達成をあと一歩のところで逃したときや、あまりに酷い負け方をしたときにその出来事を開催地の名を取って「~の悲劇」と名付ける事がある。とくにサッカーの国際大会でこのような表現がされることがある。(例)ドーハの悲劇、パリの悲劇
また、期待が大きく裏切られたり、順調に進んでいた中で突然大失敗や不慮の災害に見舞われたりすることを、「悲劇的」と言う事がある。(例)悲劇的結末
単に大きな事故や災害、その他悲惨な事態を呼ぶこともある。(例)ヒルズボロの悲劇、ヘイゼルの悲劇、コソボの悲劇、ダンピールの悲劇
関連項目
悲劇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 08:23 UTC 版)
混乱状態の楊国忠は自身の本拠地で、節度使を務めていた蜀への逃亡を玄宗に進言し、これに同意した玄宗は太子李亨・楊貴妃・楊氏一族・宦官の李輔国・高力士・韋見素・魏方進・陳玄礼らを連れ、密かに西方へと出発した。逃亡の途中で馬嵬(現在の陝西省咸陽市興平市)に至ると、乱の原因である楊国忠を強く憎んでいた陳玄礼と兵士達は反旗を翻して楊国忠と韓国夫人たちを殺害した。さらに陳玄礼らは反乱の元凶である楊貴妃を「賊の本」として断罪するように玄宗に迫った。楊貴妃を寵愛していた玄宗は「楊貴妃は後宮の奥深くにいて、謀反との関係は全くない」と言い、死を逃れさせようとかばったが、高力士に説得され、高力士によって縊死させられる楊貴妃の最期を泣きながら見届けた。この時、南方から献上のライチが届いたため、玄宗は楊貴妃がこよなく愛したライチ見て改めて嘆いたと伝えられる。 @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}楊貴妃最後の言葉は、「陛下、死んでもあなたを恨みません」であったという。[要出典]
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悲劇
出典:『Wiktionary』 (2021/06/26 03:39 UTC 版)
名詞
対義語
翻訳
「悲劇」の例文・使い方・用例・文例
- その悲劇の結末を見る勇気がなかった
- シェイクスピアの劇,とりわけ悲劇物が好きなんです
- 2人の恋愛は初めはよかったがやがて悲劇となった
- その悲劇は彼を悲しみにひたらせた
- 人を許せないことが彼女の人生の悲劇だった
- 「マクベス」はシェークスピアの有名な悲劇の1つです
- 悲劇的な事故
- 悲劇俳優
- またしても航空事故という悲劇が起こった
- 悲劇が感情の浄化をもたらすとアリストテレスは書いた。
- その悲劇が彼に精神的外傷を与えることはなかった。
- その映画は事件の悲劇性を感傷主義に走ることなく捉えている。
- オンラインゲームのプレイ中、共有地の悲劇によりデメリットを被った。
- それは、あの悲劇を思い出させる。
- 彼女は、喜劇的な役も悲劇的な役も上手に演じる事ができる。
- ある悲劇がそのイタリア人に降りかかった。
- それは悲劇を生みだす。
- それは何と悲劇的な物語でしょう。
- 彼女はまるでその悲劇を実際に見たかのように話した。
- 私は二度とこのような悲劇が起こらないことを願います。
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